健康や美容のために、積極的に取り入れたい大豆製品。豆腐の専門家がおいしく楽しく日常に取り入れる“豆”知識を伝授します!
江戸野陽子さん
豆腐を固めるだけじゃない凝固剤で変わる豆腐の味の話
豆腐を固めるものを凝固剤と呼ぶのですが、一番なじみ深いのはにがりではないでしょうか。
凝固剤にはいくつか種類があるのですが、それぞれ特徴があり豆腐の風味に大きく影響してきます。ここでは最も使われているにがりとすまし粉を取り上げるので豆腐選びの参考にしてください。
1.にがり
昔からある凝固剤で、今最も多く使われているのがにがりです。にがりは海水から塩を取った後に残る液体のことで、成分は塩化マグネシウムです。
にがりは漢字で苦汁と書くように、しょっぱくて苦い液体で、少量でも豆乳をしっかりと固めることができます。
にがりの豆腐は大豆の甘みが引き出され、まろやかで強いうま味を感じられます。
ちなみに塩化マグネシウムとあるものはにがり、粗製海水塩化マグネシウムはにがりから余分な成分(塩化ナトリウムや塩化カリウム)を取り除いたもののことです。
2.すまし粉
戦前から昭和の終わりまで多く使われていたのがすまし粉です。すまし粉の主成分は硫酸カルシウムで、これは石膏(せっこう)を精製したものです。
すまし粉は保水力が高いので、なめらかな豆腐を作るのに向いています。食感はつるんとしており、淡白でクセのない豆腐に仕上がります。湯豆腐が有名な京都では今でもすまし粉の豆腐が多く作られています。
このように凝固剤は味を大きく左右するので、豆腐店はこれぞというものを選んでいるものです。また独自の配合でにがりとすまし粉をブレンドすることで新たなおいしさを追求していることもあります。ぜひ自分好みの豆腐を見つけてください。
パッケージで凝固剤にも注目すると豆腐選びはさらに奥深いものに! ※写真はイメージ