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1000日間、1日も休まずに走った私が学んだこと

  • 2024.6.25
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ロックダウン中だけのつもりで始めたランニングが人生の一部になった。

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a person taking a selfie with a girl on a path by the water

最初に言っておくけれど、私(イギリス版ウィメンズヘルスのSNS担当エディター)は自分を“ランナー”だと思っていない。身長155cmの小柄な体形はランニングに向いていないし、最近までちゃんとしたランニングシューズも持っていなかった。でも、私は一度やると言ったら聞かないタイプ。だから1000日間、1日も休まずに走ることができたんだろう。

このチャレンジを始めるまでは真剣に走ったことがあまりなかった。2017年に5kmマラソンに出場したのも、地元のジムで参加していたクロスフィットプログラムの一部だったから。でも、ある程度の距離を走り切ったあとの達成感が結構好きで、それ以来、週2~3回は走るようになっていた。

そして2018年、私は夫と軽いノリでエントリーしたロンドンマラソンの抽選に“幸運にも”当たってしまった。そこからは、恥をかきたくない一心で文字通りペースアップ。ちゃんとしたトレーニングプログラムに従って、距離も伸ばした。

ロンドンマラソンが終わってからも、私にとってランニングは、クロスフィットやファンクショナルトレーニングの傍らでたまにする程度のアクティビティだった。それを変えたのはコロナウイルス感染症のパンデミックだった。

今回は1000日間のランニングチャレンジの経過をイギリス版ウィメンズヘルスからご紹介。

Guido Mieth

ランストリークのはじまり

ご存じの通り、パンデミックに伴うジムの閉鎖は、心身の健康にとってあまり良いものではなかった。私は頑固な上に習慣を好むタイプ。しかも、放っておくとすぐ夜行性になってしまうので、ロックダウンが始まる前は、ほぼ毎日、朝6時にはジムにいた。だから、その習慣が崩れたときは途方に暮れた。

2021年1月、仕事や子供のホームスクール以外の何かで朝型の生活に戻りたいと思った私は、1週間で50kmを1カ月続けるという目標を立てた。早朝のジムの代わりになることと言えばランニングくらいしかなかったので、1月が終わってもロックダウンが続く限りは走り続けることにした。自分でも、いつまで続けられるか楽しみだった。

(当時ランニングに活路を見い出したのは私だけでないようで、ランニング専門誌『ランナーズワールド』によると、成人の10人に4人はパンデミック中にランニングのレベルが上がったと感じている)

2021年の夏が近付くと、ついにジムの営業が再開した。この時点でランストリークを始めてから半年が経過していた。雨の日も、雪の日も、外が暗くても、疲れていても毎日走った。週5日のクロスフィットを再開してからは、少しでも体を回復させるため、走る距離を週35~40kmに減らした。

何が何でも毎日走る

VioletaStoimenova

いつの間にか冬が来て、ランニングを日課にしてから丸1年が過ぎていた。その頃ちょうど耳にしたポッドキャストの内容が胸に響いた。アスリートのリッチ・ロールとの対談の中で、“耐久系詩人”のトミー・リバーズ・プゼイは、致命的かつ極めて稀な進行性の肺がんで2020年に死にかけたのち、もう一度歩く練習と走る練習をしなければならかなったときのことを振り返り、こう言った。

「私たちは、来る日も来る日も自分に言い聞かせています。自分の責任は自分自身にあるんだと。自分はベッドから出ずに快適さばかり求める惨めな生き物なんかじゃなくて、日が昇る前に起きて頑張れる人間なんだと」。この言葉は今日の今日まで忘れていないし、疲れたときや走る意味が分からなくなったときの私を支え続けてくれている。

この言葉をランニング中のマントラにしてからは、速いペースを維持したり距離を伸ばそうとしたりして、自分にプレッシャーをかけなくなった。このときからランニングが挑戦や困難ではなく、絶対に欠かせない日課になったと思っている。体の調子と気分に合わせて距離とペースを調節し、燃え尽きてしまうほどではないけれど、頑張っている実感は湧く程度に自分自身を追い込んだ。

絶対に欠かせない日課をつくることの難点は、妥協が許せなくなること。コロナ禍が開け、以前の多忙な生活が戻ってくると、“毎日”最低5km走るのが難しくなってきた。今日はさすがに無理と思った日はないのかと頻繁に聞かれるけれど、前述の通り私は頑固。忙しくなったぶん、起きる時間をさらに早めた。仕事のイベントや家族旅行で夜明け前に走る日や、終電で帰ってきた人と行き違いに走る日もある。

2022年12月、インフルエンザをこじらせて、ベッドから出られなくなった。それでもなんとかシューズを履いて1.5km走った私に人々は「逆効果」と言うだろう。でも、700日も連続で走ったらあとに引けない。ゼエゼエ言いながら涙目で走ったあの日は、1000日間で一番キツかったと思う。全然楽しくなかったし、頭がスッキリすることもなかった。それでも私は走るのをやめられなかった。インフルエンザという超正当な理由があったにもかかわらず、1日休んで連続記録を止めてしまうくらいなら一時的に悲惨な想いをしたほうがマシに思えた。

1000日連続で走ったあとは

Robert Decelis

 

気分が乗らなくても、二日酔いでも、疲れていても、忙しくても毎日走る生活を2年半以上続けて私は、やっと1000日目にチェックを入れた。その過程で走ることに慣れたのは間違いない。でも、私にとってランニングはやっぱり退屈。いまでもできるだけしたくないし、タイムが上がったわけでもない。ただ、カレンダーにチェックを入れたときの達成感は毎日あった。新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込みながら朝日を見たり、水たまりを避けながら走ったりして大地とつながる。今回の経験で、その30分を作ることは多少忙しくても可能なことが分かったからよしとしよう。

その後も私はなんだかんだでランニングを続けている。もう1000日続いたら、また報告させてほしい。

ランストリークのメリット

PeopleImages

 

1000日も連続で走るのは大変。でも、イギリス版ウィメンズヘルスのSNS担当エディターで今回の記事を書いたエミリー・エミンズいわく、頑張って毎日走るだけの価値は十分あるそう。

始めやすい

1000日も連続で走れたのは、ランニングが敷居の低いスポーツだから。私は当初ちゃんとしたランニングシューズやスマートウォッチを持っていなかったので、スニーカーを履いて外に出るだけでよかった(それだけでも大仕事に感じる日はあったけれど)。旅行中や外出先で、特定のマシンのあるジムや器具を探す必要もない。ランニングに乗じて海岸沿いや見知らぬ土地を探検するのも楽しかった。

朝から前向きな気持ちになれる

私は走るなら、みんなが起きて走らない理由ができてしまう前に走りたいタイプ。それに、早朝のランニングというタスクを片付けたあとは何が起きても大丈夫な気がする。ランストリークはメンタル面のバリアを乗り越え、自分の能力(自分の体にできることを含め)に対する考え方を変える上でも役に立つ。

健康状態とフィットネスレベルが向上する

あれだけ毎日走っていれば健康状態とフィットネスレベルが向上するのは言うまでもないけれど、クロスフィットのトレーニングをケガなく続けられているのは、体の声に従ってペースと距離を調節しているからだと思う。

睡眠が改善する

早く起きなければならないと思うと、嫌でも早く寝るようになる。朝一で走るならなおさら、時間通りにベッドに入り、十分な睡眠時間を確保しなければならない。私の場合は最低でも6時間寝ると調子が良かった。

オンオフの切り替えになる

仕事では1日中スマホが手放せない。でも、ランニング中の30分だけはスマホから解放されて、頭と心にゆとりができる。気分によって音楽やポッドキャストを聴く日もあれば、自分の呼吸に耳を傾ける日もあるけれど、走ったあとは集中力が高くなり、頭の中がスッキリする。いまや走らずにその日のタスクに取り掛かるなんて考えられない。

1000日続けようと思うと腰が重くなるかもしれないけれど、まずは週に1回、朝早起きして走るだけでもいい。エミリーの体験談が気になった人はぜひ一歩を踏み出してみて。


※この記事は当初、イギリス版メンズヘルスに掲載されました。

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