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異国で必死に心で会話した私達は、ビールを共に楽しめる大人になった

  • 2024.6.14
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2リットルほどあるビールジョッキいっぱいに注がれるビール。
ジョッキごとドンッとカウンターに置かれて、その向こうでニカッと笑うおばちゃん。
そう、ここは日本ではない。ここは夏のドイツのビール祭の一幕である。
えへへと笑って、グイッと飲んでみたけどやっぱりちょっと苦い……。

「ついにこんな歳にまでなっちゃったんだね、私たち笑」

それでも、そんな言葉が似合う思い出の味。
飲みながらお互い見合わせて、思わず笑ってしまう。
まさかこんなに長い付き合いになるなんて、なんだかくすぐったい気分だ。
そう、これは初めて私に違う世界を見せてくれた友達との思い出の味。

◎ ◎

私が初めてこんな大きなビールジョッキとビールを見たのは、中学2年生の夏。ドイツのある町のビール祭に出かけた時に、初めて見て、とてもびっくりしたことを覚えている。
当時はまだ子供だったから飲むことは出来なかったけど、ぺろっと舐めてみて「苦い〜!」と渋い顔になったことはいい思い出だ。

私がドイツに行くことになったのは、ひょんなことから決まった夏休みの海外研修がきっかけだ。2週間ドイツに滞在するこの研修は、まさかのホームステイ。初めてみる世界にドキドキしながら、ホストであるその子に出会った。

ちなみに現地に着いたら、その日中に一緒に来た学生と学校まで移動した後、すぐ各々のホームステイ先の家族に会って生活が始まる。もちろん、付き添いの先生はいるけど、各家庭まで付いて行くのは大変だから、基本的には各家庭に任せる。

つまり、着いたら当日から1人で頑張る、タフなスタートである笑。そのため「じゃあ、明日学校でね〜!」なんて、先生たちとはあっさりお別れすることになった笑。
でも、そのおかげで私の人生にとってかけがえのない友人に出会うことができた。

◎ ◎

「その子」と書いたホストの友人は私よりはひとつ年上。彼女は身長が170cm以上あって、横に並んで後ろから見たら親子ぐらいの体格差があった(私の髪の毛は黒いから本当の親子には見えないけど……笑)。
すごく気遣いができて優しくて、少し控えめな性格でちょっと大人びた雰囲気がある。
でも、時には子供みたいにはしゃぐこともあって、そのギャップが私にとってはとても心地よかった。

好奇心に満ちた目で、でも拙い英語でごちゃごちゃな質問をたくさんする私を、家族全員で優しく受け入れてくれた。そんな温かいサポートもあって、私は彼女とすぐ仲良くなった。
お互い母国語ではない英語を使って、必死に意思疎通する。大変なことも多かったけれど、自分の気持ちが相手に伝わったと感じる瞬間はとても嬉しかった。

言葉だけでなく、心で会話する。
何となく人に対してそんなイメージを持つようになったのは、彼女との経験が背景にあるのかもしれない。

◎ ◎

大学生になってからも、私はお金を貯めて時々彼女に会いに行った。

冒頭の場面はその時のものである。

ちなみにビールは最後まで飲みきれず、結局彼女のお父さんと弟に飲んでもらったのも良い思い出。

そんなこんなで10年以上の付き合いになるけど、成長するにつれて会った時に話すトピックは変わっていった。付き合ってる人、結婚、子供、家族のこと。

ちなみに彼女は私の家にもホームステイする機会があったため、私の家族もよく知っている。お互いの家族を知っているからこそ、プライベートなことも何でも話せるのが良いところ。日本のような独特の「空気を読む」みたいな雰囲気が無いのも、私にとって心理的に楽なのかもしれない。

そういえば、最後に会った時は、ドライブしながらお互いの恋愛遍歴の話もしたんだっけ……笑。その後、車の中で2人でひたすらカラオケ大会をしたのも懐かしい。

◎ ◎

あれから私たちは違う道を歩いている。
彼女は年上のすごく素敵な旦那さんと結婚して、子供が2人いる。
私はパートナーはいるけど、子供はいない。
家族がいたり、子供がいたりすることですれ違ってしまう友達もいる中、彼女の存在はとても貴重なのだ。

彼女に会うといつも10代の頃のまっすぐな気持ちを思い出す。
滅多に会えないけど、それでも大切な友達。
これからもこの素敵なご縁が続きますように。

■千葉ヒナタのプロフィール
ねこさん1匹と人間ひとりと同居中。本と編み物が趣味。最近ダーツにハマり中。

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