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「日本は貧しい国になった」円安の今、問われる日本の“国力低下”。政府、企業、個人はどうすべき?

  • 2024.6.14
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All About ニュース編集部は、全国の293人を対象にアンケート調査を実施しました。歴史的な円安、人口の減少などにより問われる日本の「国力の低下」。国力を回復するにはどうしたらいいか、幅広い世代の回答者から意見を聞きました。
All About ニュース編集部は、全国の293人を対象にアンケート調査を実施しました。歴史的な円安、人口の減少などにより問われる日本の「国力の低下」。国力を回復するにはどうしたらいいか、幅広い世代の回答者から意見を聞きました。

「国力は回復しない、日本はとても貧しい国になった。じゃあそのうえでどうするか、と腹をくくること(40代女性/兵庫県)」

人口の減少、生産力の低下、34年ぶりの歴史的な円安……さまざまな要因から、日本の「国力の低下」が問われています。All Aboutニュース編集部では、全国の10〜60代の男女293人を対象に「円安の今、出稼ぎ・移住したい国」に関する独自アンケート調査をインターネット上で実施(調査期間:2024年5月7〜31日)。本記事では、日本の国力回復について聞いた、回答者からのコメントを紹介します。

東京都の合計特殊出生率「0.99」の衝撃

厚生労働省は6月5日、2023年の「人口動態統計」の概数を公表しました。1人の女性が一生のうちに産む子どもの数の指標「合計特殊出生率」は、1.20。統計を取り始めた1947年以降、過去最低を記録しました。都道府県別の合計特殊出生率は、全ての県で2022年を下回り、特に最も低かった東京都の「0.99」という“1を下回る数値”は、各メディアで大きく取り上げられました。

回答者からは、「子供手当て、教育に力を入れる。この国で産みたいと思わせること(20代女性/青森県)」「とにもかくにもマンパワーを増やさないことには手数がどんどん減るだけだと思うので、少子化にもっと力を入れるべき。瞬発的な解決にはならないが、安定的に解決につなげていくためには絶対的に必要だと思う(20代女性/富山県)」などの声がありました。

また、「少子高齢化を食い止め、働く人口を増やすべきである。そのために子育て世代への支援充実が求められる。働く世代の増加によって経済も良い方向へ進んでいくだろう。また、残り少ない資源をどう活用していくかについての検討も必要である。再生可能エネルギーの開発をいち早く進めるべきだ(10代女性/群馬県)」とのコメントも寄せられました。

インバウンド需要の裏で、低下する日本人の士気?

4月に観光庁が発表した「訪日外国人消費動向調査」によると、2024年1~3月期の訪日外国人旅行消費額(速報)は1兆7505億円となり、2023年同期比73.3%増、新型コロナウイルス感染症が拡大する前の2019年同期比52.0%増となり、今後も訪日観光客によるインバウンド需要の増加が見込まれています。

そんな中、「今はとりあえず、海外からの観光客からの外貨を稼ぐしかない(30代女性/新潟県)」「バリ島では外国人観光客に対して、観光税を課するようになりました。日本もさらなる円安でインバウンドの勢いがある今、外国人観光客から観光税を取るべきだと思います(30代女性/奈良県)」などの声がある一方で、「外国人旅行者を規制すべき。インバウンドによるオーバーツーリズムが日本人の士気を低下させ、外出しない人が増えることで経済も回らなくなっているため。国内で経済を回し、景気を活性化させるべきだと思う(20代女性/東京都)」というコメントもありました。

円安の今だからこそ、「内需拡大」に注力

「円安は、国力の低下ではありません。輸出に注力してガッポリ稼ぐ好機です(50代男性/愛知県)」との声もあるように、「円安」の今だからこそできることを、という声が多数ありました。

ほかには、「円安で儲かっているのだから、これをきっかけに国内で生産する体制にすればいいと思う(40代男性/東京都)」「円安なので内需を上げることが必須です、現在の日本の状況はスタグフレーションの様相に近いと思われます、なので早急に税制を見直して消費税を減らすか徴収を一時停止、特別復興税の廃止をして、国民の懐を潤わせることが重要です(40代女性/福岡県)」「日本人・国民の可処分所得の増加を推進する政策をとにかく実施し、内需拡大を行う。国民の生活が少しでも楽にならなければ、国力など回復しない(40代男性/静岡県)」などのコメントが寄せられました。

企業は「内部留保」から「稼ぐ」にシフト

また、日本企業の在り方について、「技術開発に投資し、優秀な人が日本にとどまるよう優遇策を打ち出す必要があると思う(30代女性/千葉県)」「もっと日本の企業が、できる人を評価しなくては良い人材はどんどん海外にいってしまう(30代女性/東京都)」などの声がありました。

さらに、「円安の今、海外など新たな市場への進出が国際競争力を高めるためにも必要だと考えます。海外への人材流出もあるため、人材育成や人材確保のため給料アップが必要になってきます。また、国力回復のためには、より教育や研究が不可欠であり、若者への技術力や育成に対する投資を増やす取り組みが重要だと考えています(40代男性/神奈川県)」「各企業の内部留保を設備投資に回して、一つ一つの企業が稼ぐ方にシフトし、外貨を稼ぐようになるといいと思います(30代女性/群馬県)」などのコメントも寄せられました。

移民政策に舵を切り、若年層の労働力を確保

厚生労働省が1月に公表した「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ」によると、2023年10月末時点での日本における外国人労働者数は204万8675人。届出が義務化された2007年以降、過去最高を更新しました。国籍別ではベトナム人が最も多く、外国人労働者数全体の25.3%を占めています。

回答者からは、「日本における最大の弱みは、人口動態により若年層の労働力(消費力)が極端に少ないことである。法整備を整えた上で、ヨーロッパと同様に、移民政策に舵を切ることで、国内産業を復興し、併せて消費力の向上を目指すべきであると考えます(50代男性/東京都)」「国力の低下は、人口減、特に地方都市の空洞化、過疎化が原因だと思います。やはり、外国人労働者を受け入れなければならないと思います。また、新しい産業、ビジネスを起こして、海外からの投資を増やすことも大事だと思います。また、観光客の受け入れも必要です(50代男性/埼玉県)」などのコメントが寄せられました。

“輸入依存型”の経済を“国内循環型”に変える政策を

まず、政府が取り組むべき課題として、「企業への補助金ではなく、食料自給率、エネルギー自給率の改善にお金を出す施策。次に消費税廃止(50代男性/大阪府)」「日本は資源がない国で資源をほぼ全て海外からの輸入に頼っているから、円安の影響をもろに受けています。ですので、政府はあまり力を入れていませんが、地下資源(原油、ガス、メタンハイドレートなど)の調査をしっかりとやりつつ、ユーグレナなどの石油に代わる環境にも優しい代替燃料の開発を推し進めることで海外からの輸入に頼らなくても国内で全てを賄えるようにしていけば、基本的には国内での循環型経済が成り立つと思います。また、小麦や家畜用の飼料も多くは輸入に頼っていますので、この部分も耕作放棄地を活用して国内生産に切り替えるのもいいと思います。要は輸入依存型の経済を国内循環型に変えていく必要があります(50代男性/大阪府)」などの声がありました。

また、「NISAなどの投資先を海外ではなく国内にした人には補助金を出すなど特典を与える(20代女性/兵庫県)」「変化を嫌う・不安性な国民性なのでベーシックインカム、減税などで生活を安心させる。余裕がある・安心だと思えば結婚・出産が増えて人口が増える、製品開発も捗る気がします(40代女性/北海道)」など、日本人の国民性を理解した上での政策を望む声もありました。

※回答者のコメントは原文ママです

文:福島 ゆき

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