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「近所の子どもに車を傷つけられた」親に注意しても『ほぼ無視』→対処法を弁護士が解説

  • 2024.8.9
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

子どもが元気いっぱいに遊んでいる姿は微笑ましいもの。ですが、遊びの度を超えた常識はずれな行動に悩まされることもあるようです。

今回は、「子どもを公道に放置しているせいで被ったトラブル」について、弁護士さんにお話を伺いました。

家の前で遊ぶよその子が我が家の車に傷を…

我が家の裏に住んでいる人がかなり常識がないタイプで、小さな子どもを公道で好きに遊ばせているんですが、ボール遊び等のせいで、車に傷をつけられました
また、いつの間にか勝手に我が家の敷地に入って来るようになり、我が家のポストを勝手に開けて、水道代の明細などを見たりと、とにかく大迷惑です。
ただ、車を傷つけた証拠がなく、間違いなくその子達が遊ぶ前は車に傷はなかったけど、録画しているわけではなく、もやもやしています。
その子どもの両親に伝えても、ほぼ無視の状態です。この子どもの行動を辞めさせるにはどうしたら良いでしょうか?
(30代女性/会社員)

こちらのケースについて、一歩法律事務所の南陽輔弁護士にお話をお伺いしました。

---この子どものボール遊びが原因で車に傷がついた、という点について、修理代を払わせるにはどのようにしたら良いでしょうか?

「子どものボール遊びが原因で車に傷がついたということは、子どもの不注意(過失)によって車の傷という損害が生じたといえますので、民法上の不法行為(709条)が成立します。車の傷の修理代については損害の1つとして、民法709条の損害賠償請求として請求することが可能です。

請求する相手ですが、一般的に12歳程度未満の子どもについては責任能力がないものとされていますので、この場合には子どもへの請求は難しいですが、他方で、子どもの親は子どもの監督者としての責任を負いますので(民法714条)、親に対して請求することが可能です。

ただ、録画しているわけではないということなので、子どものボール遊びが原因で車に傷がついたという点について立証できるかという問題は残ります」

---車の傷がボール遊びのせいであるという証拠が必要なのですね。「この子どもが、投稿者さんの家の前の公道でボール遊びをする」ということ自体を禁止することはできるのでしょうか?

子どもに対して直接的にボール遊びを禁止するというのは難しいかもしれません。ただ、公道でボール遊びをするというのは、道路交通法に違反している疑いがあります。道路交通法76条4項3号では、『交通のひんぱんな道路において、球戯をし、ローラー・スケートをし、又はこれらに類する行為をすること』を禁止しています。

道路交通法違反については警察の取り締まりの対象ですので、まずは警察に相談して、警察から子どもに注意してもらうようにするのが良いでしょう。

また、自治会や警察に相談して、『ボール遊び禁止』などの看板を付けてもらうことを検討するという方法も考えられます」

---また、勝手に他人の家の敷地内に入り込んでくる、ポストを開けて中身を見るといった子どもの行為を放置していることは、罪にならないのでしょうか? また、どのように辞めさせることが可能ですか?

勝手に他人の家の敷地に入るというのは住居侵入罪(刑法130条)、ポストを開けて中身を見るというのは信書開封罪(刑法133条)などの犯罪に該当しうる行為です。

ただ、子どもが14歳未満の場合には少年法により罪に問うことができませんし、親が子どもに指示していたなどの特別な事情がない限りは、放置していただけで親に犯罪が成立することはありません。ただ、罪にならないといえども、犯罪被害に遭っているわけですので、警察に被害相談し、警察の判断で警察から親に指導・注意してもらうことは考えられます。

また、犯罪は成立しなくても、これらの行為は民法上の不法行為にも当たりますので、上で回答した通りに、親に対して監督義務者として民法上の不法行為に基づく損害賠償を請求するという手段を採ることは可能です。

こうした警察からの親への注意や、親への損害賠償請求を行うことで、親が子どもにこうした行為を止めるように教育し、子どもに止めさせることができるかもしれません」

---どちらの行為についても、まずは警察に相談したほうが良さそうですね。ありがとうございました!

いけないことはいけないと教育を

子どもの行為については、親に監督義務責任者としての責任があります。子どもが迷惑をかけていないか、子ども自身に危険が及んでいないか、目を配りたいものです。

我が子の成長のためにも、「他の家の敷地内に勝手に入ってはいけない」「他の家のポストを勝手に開けてはいけない」という常識をきちんと理解できるように教えてあげてほしいですね。



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※本記事は媒体独自に募集したアンケートを元に構成しています
・募集方法:インターネットサービスによる任意回答(記述式)
・募集対象:全国の18歳以上
・募集期間:2024/7/17〜7/22