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相続を放棄したのに...亡くなった親戚の未払金を払う義務はある?プロが解説

  • 2024.8.5
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出典:photoAC

家を借りる際には「保証人」の判を求められます。家族や身近な親戚に依頼することが多いのではないでしょうか。

賃貸契約の連帯保証人になると、当然ながら責務が生じます。もし借り主が亡くなった場合、その責務はどこまで連帯保証人に及ぶのでしょうか?

連帯保証人ではあるけれど相続を放棄したケースについて、行政書士の奥村美妃子さんにお伺いしました。

相続放棄したのに負担すべきものがある?

長らくあまりやり取りのなかった親戚が亡くなりました。
私は遺産相続人だったのですが、遺産の額もほぼゼロに近く、あまり関わり合いになりたくなかったのと、もし借金などがあったらそれも承継することになるのは嫌だと思い、相続放棄しました

ところが、ある日、親戚が住んでいたアパートの不動産屋さんから連絡があり、清掃費や家財撤去費、亡くなった月の未払い分の家賃を払うように言われました。

確かに、その親戚は身寄りがないため、アパートを借りる際の保証人になっていましたが、相続を放棄した私にこれらの費用を支払う義務はあるのでしょうか?

こちらのケースについて、行政書士である奥村行政書士事務所の奥村美妃子さんにお話をお伺いしました。

---この投稿者さんは、清掃費や家財撤去費、亡くなった月の未払い分の家賃、どれも払う義務があるのでしょうか?

「アパートを借りる際の保証人になられていたとのことですが、住宅を借りる場合の保証人は『連帯保証人』である場合が多く、相続放棄をしても、連帯保証人の立場が消えることはありません。ご自身が連帯保証人であるか、ぜひ契約書の控えをご確認ください。連帯保証人である場合、未払家賃の支払いや家財撤去費の支払いが必要です」

---そうなんですね。不動産屋や大家さんに対処してほしい気もしてしまいますが…。

「清掃費については、原則として貸主が負担するものですが、契約書で借主が負担するものと定められている場合には借主が負担することになり、今回のように借主が亡くなっている場合には連帯保証人が支払うことになります。支払いについて納得がいかない、一括で支払うのが難しい、という場合にはお早めに弁護士へのご相談をおすすめします」

---連帯保証人になるとどのような責務があり、借りている人が亡くなった場合にはどういった責務が発生するのでしょうか?

「賃貸契約の連帯保証人であるならば、賃料支払いはもちろんのこと、賃料に関する利息や違約金、物件や設備を壊した場合の損害賠償などを行う必要があります

---相続を放棄した場合、しなかった場合では、保証人としての責務に違いがあるのでしょうか?

相続を放棄したからといって、連帯保証人としての責務がなくなるわけではないため注意が必要です。なお、2020年4月1日以降に締結された賃貸借契約書には、『保証する金額の上限額を設けること』と『限度額についての内容を契約書に示すこと』が必要になり、連帯保証人の責任が軽減されています。(民法第465条2)

連帯保証を含めた賃貸借契約のルールについては、法務省のホームページにもパンフレットがありますので、ぜひご覧ください」

民法の一部を改正する法律(債権法改正)について:法務省
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_001070000.html

---保証人になる際は契約書の確認が必須ですね。解説ありがとうございました!

連帯保証人については契約書をよく確認

賃貸契約に保証人は欠かせないため、親戚などに頼まれたら断りにくいですよね。しかし、借り主が亡くなった場合、連帯保証人にまで支払い義務が生じるとは驚きでした。

もし連帯保証人を引き受けることになったら、契約書をしっかりと確認し、いざという時に発生する責務や金額を把握しておきましょう。



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