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母の『お別れ会』は、相続控除の対象にならない?→葬儀でも対象外になるパターンをプロが解説

  • 2024.8.3
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

故人の意志を尊重し、宗教や形式にとらわれない葬儀が行われる時代となりました。その葬儀費用が相続税の控除対象になることをご存知でしょうか?しかし、気をつけたいのがその“形式”です。

葬儀費用が相続控除の対象になるか否かの注意点について、行政書士の奥村美妃子さんにお伺いしました。

お別れ会って相続控除される?

女手一つで私たちを育ててくれた母が亡くなり、生前の本人の希望通り、大きな葬儀にはせず家族のみの直葬とし、その後に小規模な「お別れ会」を予定しています。

調べていたら、お葬式は相続財産の控除の対象になるけれど、お別れ会は控除の対象になるものもあればならないものもあると目にしました。

私たちは、地元の小さな会議室を借りて、母の写真やお花を飾り、親戚やごく親しかった人たちだけを招き、弔辞を述べたり、母について皆で語らうといった会合を想定しています。
これは、控除対象にはなりますか?
また、どういった「お別れ会」なら控除対象になり、どういったものは対象にならないのか、教えてください。

こちらのケースについて、行政書士である奥村行政書士事務所の奥村美妃子さんにお話をお伺いしました。

---この投稿者さんの想定している「お別れ会」は控除の対象になりそうでしょうか?

「お別れ会がどのように執り行われたかにより、判断が異なります。お別れ会が、単に集まって故人を偲び会食する程度のものでは控除の対象となりません

---内容によるのですね。

「今回のご説明では『弔辞を読む』という、一般的な葬儀や告別式の際に行われるものが含まれているものの、その他の手順は書かれていないので、もう少し詳しくお聞きする必要がありますが、葬儀の手順を踏んで執り行われていた場合には、葬式費用に該当する可能性があります」

---手順によって異なるとは驚きです

「お別れ会が葬儀とみなされ、控除の対象となるかについて、国税不服審判所では『葬儀の形式には宗教や地域の慣習により差異があるため、葬式費用に該当するか否かは、個々の事案について社会通念に照らして判断することになる』と見解を示しており、『葬儀としての手順を踏んで取り行った』場合には、葬式費用に該当するとの見解を示しています」

---控除対象になるか否かの明確な基準はあるのでしょうか?

「お別れ会が『葬儀の手順を踏んでいる』場合には控除対象となります。しかし、故人を偲ぶ会であり、葬儀の形式がないものは控除の対象となりません

もし『自分が死んだら葬儀ではなくお別れ会をしてほしい』とお考えの場合には、相続税に詳しい税理士にあらかじめご相談されることをおすすめします

---故人の意志を尊重したいですが、残った家族には大きな影響がありますね。そのほかに、葬儀や告別式についても、相続財産の控除の範囲外になるパターンを教えてください。

「葬儀の形式は地域の慣習や宗教により異なるため、明確な基準は設けられていません。下記に該当するものは、相続財産の控除対象外とされます。

  • 香典返しにかかった費用
  • 墓石や墓地の買入のためにかかった費用、墓地を借りるためにかかった費用
  • 初七日、一周忌など、葬儀とは異なり追善供養のために要する費用

国税庁のホームページには、相続財産から控除できる葬式費用について、さらに詳しい情報が書かれていますので、ぜひご覧ください」

No.4129 相続財産から控除できる葬式費用|国税庁(nta.go.jp)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4129.htm

---詳しいご説明ありがとうございました!

お別れ会の形式は事前に擦り合わせを

葬儀費用が相続税控除の対象になることを知らなかった方も少なくないと思います。さらに、葬儀の形式によって対象外になる可能性もあるとは驚きですね。

家族で葬儀の話をするのは気まずいかもしれませんが、終活の一環として、事前に形式の擦り合わせをしておく方が良さそうです。



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