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父の死後に知った300万円以上の借金…『30万円の遺産』を相続したら借金は私が返済するの?→プロに答えを聞いてみました

  • 2024.8.2
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

家族が亡くなった後に、実は借金を抱えていた…など思わぬ事実が発覚することがあります。子どもの立場からすると関係ないと言いたいところですが、親子だと、返済の義務が生じるのかが気になるところです。

親の残した借金の返済について、行政書士さんにお伺いしました。

父の死後初めて知った借金

父が亡くなってから、父が生前ギャンブルでつくった借金があると判明しました。父の遺産と呼べるようなものは30万円程度。借金はゆうにその10倍以上はあります。

30万円は父の遺品整理代に使いたいのですが、この30万円を使ったら、私は相続したことになり、数百万円の借金を抱えなくてはいけなくなるのでしょうか?

母はすでに他界しており、ほかの兄弟はいません。生前、自分勝手に生きていた父の借金を肩代わりしたくないのはもちろんのこと、正直なところ、遺品整理にも自分の金を払いたくないのですが…。

こちらのケースについて、行政書士である奥村行政書士事務所の奥村美妃子さんにお話をお伺いしました。

---子どもには、親の借金を返さなくてはいけない義務があるのでしょうか?

「相続人なので、何もしなければ借金を返す意思があるとみなされ、返済の義務が発生しますが、相続放棄の手続により借金返済を回避できます。なお、相談者様が相続放棄をされた場合、他に相続人がいれば他の相続人が借金を相続する可能性がありますので、相続放棄をすることを、あらかじめ他の相続人に伝えるなどして、トラブルを防ぐことをお勧めします。

---遺品整理代に30万円を使ったら相続したことになり、数百万円の借金を抱えなくてはいけなくなるのでしょうか?

「相談者様のご心配されるとおり、30万円を使って遺品整理をした場合、民法921条1号では『負債を含めた故人の財産を相続する意思がある』と判断され、借金の返済義務が生じる恐れがあります。基本的に遺品には手をつけず、自分の判断で遺品を処分しないでください

なお割れた窓ガラスをふさぐ、冷蔵庫の中の古い食品を処分する、という行為は『相続した』とはみなされず、近隣のお宅に迷惑がかかりそうな場合、メンテナンスをすることは、問題ありません」

---投稿者さんが親の借金を肩代わりしなくていいようにするには、どうしたら良いのでしょうか?

「借金の肩代わりをしたくなければ、遺品に手をつけることはせず、一日も早く相続放棄の手続をとられることをおすすめします。相続放棄に関する詳細は、裁判所のリンクからもご覧いただけます」

相続の放棄の申述 | 裁判所
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_13/index.html

相続財産清算人の選任 | 裁判所
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_15/index.html

---もし投稿者さんの父親が「借金は全てこの投稿者さんに承継させる」という遺言書を残していたらどうなるのでしょうか…。

遺言に従う必要はありません。『遺言があるんだから借金を払ってくれ』と言われても絶対に支払わないでください。民法915条では、むしろ相続放棄の手続には期限があるので、速やかに放棄の手続をされることをおすすめします

---慌てて一人で対処せず、きちんと手続きをした方が良さそうですね。ありがとうございました!

親の借金は相続放棄により回避可能

親子といえど、相続放棄をすれば、借金の返済義務はなくなります。たとえ借金元に迫られても、慌てて払わないように気をつけたいですね。

しかし、遺産に手をつけると相続の意志があるとみなされ、返済義務が生じる可能性があります。遺品整理は慎重に行いましょう。



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