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コンビニでちょっとだけ…のつもりが、いつの間にか借金300万円に!? カード払いを繰り返す妻の多額借金返済ストーリー

  • 2024.6.12
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コンビニの店内がキラキラして見える。そんな経験はだれしもがあるのではないだろうか。スナック菓子、コンビニスイーツ、レジ横のあたたかい肉まん……。魅力的な商品が所狭しと並んでいる。あれも欲しいこれも欲しいと、つい物欲が止まらなくなってしまう。ついでにコーヒーくらいなら買ってもいいよね……。それが、借金に手を出すきっかけになるとは知らずに。

本書の主人公である涼子は、ある日醤油を買おうとコンビニに立ち寄った際にコーヒーも買ってしまう。そのときに感じた解放感が忘れられなくて、「ちょっとだけならいいよね」と次々に散財を繰り返してしまうのだ。そして、気づいたころには多額の借金を背負っていた。こっそり借金を抱えてしまった主婦が家族に秘密で返済を試みるのが、『夫に内緒で借金300万』(海原こうめ:漫画、涼子:原作/KADOKAWA)だ。

涼子は、夫の健一と子どもたち2人の4人暮らし。健一から頼まれ、お金の管理が苦手にもかかわらず家計管理をすることになる。化粧品や美容室での髪の手入れ、ママ友会の食費など、どんどん重なる出費。お会計のときに現金が足りず、次第にカード払いをするようになる。エスカレートするカード払いのせいで、ついに限度額ギリギリになってしまう。仕方なくカードローンやキャッシングに手を出す涼子は、泥沼の借金地獄へと足を踏み入れるのだった。

この借金地獄に陥ってしまう流れが、とてもリアルでおそろしい。「なんとかなるよね」と自分に言い聞かせて散財してしまうのはよくあることだ。絶対に自分は借金なんてしないと言い切れないリアリティが、涼子の言動が他人事とは思えない恐怖につながっている。

さらに、涼子が見栄やストレスからお金を使いすぎてしまう点に共感する。ママ友会で楽しそうにしている子どもたちのために、今度はもっとおしゃれして行かないと……。決して楽しいとは言えないママ友との集まりでも、見栄から散財に走ってしまう。加えて、夫の理想の妻であるために多少の出費は仕方ないと考えるのだ。理想を求めるがゆえに、ますます追い詰められていく姿が見ていて苦しい。

涼子は自分の作った借金だけではなく、義母の借金まで肩代わりすることになる。義母も多額の借金を抱えている上に、それをまったく悪いと思っていないとても困った人だ。しかし、義母がお金や物がないと人間関係を築けないさびしい人だと分かる。義母と同じような性格の人はきっと少なくないだろう。なぜ人はお金を使いすぎてしまうのか? という問いに鋭く切り込んだ、読んでいて胸にぐさりと刺さるシーンが多い作品だ。

積み重なる借金の返済生活を描いた本書だが、借金をして得たものも描いている。家族の笑顔を守りたい、その一心で涼子は借金と戦い続ける。過酷な展開が多い分、その中で描かれる夫の優しさや子どもたちの無邪気さがより一層尊く感じられるのだ。ついつい散財してしまう浪費癖のある人は、本書を読んでお金を使いすぎる恐怖をあらためて再確認してみてはいかがだろうか。

文=ネゴト/ まわる まがり

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