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あまりにも多才!ガンダム、ヤマト…安彦良和氏の回顧展が神戸で

  • 2024.6.11
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アムロ・レイやシャア・アズナブルなど・・・不朽の名作『機動戦士ガンダム』のキャラクターデザイナーで同作のアニメーションディレクターとしても知られ、マンガ家としても活躍する安彦良和(やすひこよしかず)氏の大規模回顧展『描く人、安彦良和』が兵庫県で開催中だ。

兵庫県立美術館の『描く人、安彦良和』(会期:2024年6月8日~9月1日)入り口ポスター

■ 展示物は約1400点、貴重な絵コンテも

同展担当の学芸員が「あまりにも多才。これを観たら、大抵の絵描きは泣くんじゃないかと思うほどの画力」と力説するほど、全6章構成で約1400点という圧倒的なボリュームの作品や資料から、まさに「描く人」として、77歳になる現在までの超人的な仕事ぶりを通覧できる同展。

その卓越した画力を示す伝説的な逸話がガンダム以前に携わった『宇宙戦艦ヤマト』で残っている。テレビ版の成功を受けて制作された劇場版第2弾『さらば宇宙戦艦ヤマト愛の戦士たち』の主人公・古代進が恋人・森雪の亡骸を抱きかかえる静かなラストシーンでは、当初、絵コンテで参加していたものの、このシーンの複雑な心情表現が難しすぎて誰も描けないと、急きょ原画も担当することになったのだ。

プロデューサーの西﨑義展氏は、このシーンに惚れ込み、「一切の変更はまかりならん」と厳命を下したという。同展では、その名ラストシーンのアニメーションと絵コンテを実際に見比べることができるので必見だ。

展示風景より。向かって右上がLPレコード『機動戦士ガンダム 戦場で オリジナルサウンドトラックⅡ」ジャケット用イラスト原画(1979) Ⓒ創通・サンライズ

■ 「アニメのファン層がガラッと…」

第3章では、カリスマ・アニメーターの名を不動のものにしたガンダムシリーズにおける仕事を中心に紹介。ガンダムは、戦争を舞台としたリアリティに富んだ人間ドラマが特徴で、メカを現実感ある兵器として位置付け、後に「リアルロボットもの」と呼ばれるジャンルの先駆けとなった作品だ。

特に主人公のアムロは、否応なく戦争に巻き込まれる等身大の若者として描かれ、当時のアニメに多い英雄的な主人公像とは一線を画した。ガンダムは、中高生だけでなく青年層にも受け、重厚な色彩のLPレコードのジャケット用イラストについて担当の学芸員は、「アニメのファン層がガラッと変わった象徴的な作品」と説明。

第5章「歴史を描く」展示風景より、「近代史シリーズ」で、開拓時代の北海道を舞台にした作品『王道の狗』の一部

また、歴史マンガ好きなら、安彦氏の「古代史シリーズ」「近代史シリーズ」「西洋史シリーズ」を読んだことがあるのではないだろうか?約20年アニメ業界に関わったあと、ライフワークとして、現在まで歴史を題材としたマンガを描いている。

歴史マンガの出発点の作品である『ナムジ』は、『古事記』を題材にしているが、担当学芸員によると、安彦氏のマンガは「原典があっても、そのままのストーリーをなぞらない特徴があり、その歴史的事件が起きたのは、どのような人間心理からであったのかを描いている」とのこと。

『機動戦士ガンダム』のキャラクターデザイナー兼アニメーションディレクターとしても知られ、マンガ家としても活躍する安彦良和氏(6月7日・神戸市内)

安彦氏は北海道遠軽町出身であることから、開拓時代の北海道を舞台にした作品『王道の狗』も。同作は、自由党の壮士で網走監獄を脱獄した主人公2人とアイヌ人の女性・タキの恋愛を軸に描かれているが、勝海舟や陸奥宗光といった実在の偉人も次々登場する。同展は、マンガの原稿なども展示することで、安彦氏の創作活動の全貌に迫る初の試みでもある。

『描く人、安彦良和』は、「神戸県立美術館」にて9月1日までの開催。料金は一般1900円ほか、詳しくは公式サイトにて。

取材・文・写真/いずみゆか

『描く人、安彦良和』

会 場:兵庫県立美術館 企画展示室
会 期:2024年6月8日(土)~9月1日(日)
休館日:月曜日(ただし、7月15日(月・祝)と8月12日(月・振休)は開館
※7月16日(火)と8月13日(火)は休館
開館時間:午前10時~午後6時(入場は閉館の30分前まで)

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