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私の誕生日はいつも夏休み中。「おめでとう」と直接言われたかった

  • 2024.6.11
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昔から誕生日はあまり祝ってもらえなかった。

わたしの誕生日は7月の終わり。学校でいえば、ちょうど学校が夏休みに突入したところだ。そのため友達にも会えず、祝ってくれるのは、いつも家族だったような気がする。夏休みに入ってすぐ誕生日を迎えてしまうため、2学期に入ってからお祝いされることもない。

◎ ◎

高校生になると、誕生日の友達がいればいつも友達同士でお祝いをした。コンビニでお菓子を買って、メッセージを書いてプレゼントしたり、部活の仲間とサプライズを考えたり。年に一度の特別な日にしたくて、喜んでもらいたくて、たくさんの人の誕生日を祝った。みんなの喜んでいる顔が好きだった。誕生日という日を祝えることが嬉しかった。

でも、わたしの誕生日にはLINEのメッセージをもらうだけ。“だけ”という言葉を使うと、メッセージさえも嬉しくないように見えてしまうが、メッセージをもらえることはもちろん嬉しい。会えない中で自分の誕生日を覚えていてくれ、「おめでとう」と言ってもらえるのはとてもありがたかった。

それでも、わたしもみんなと同じように、自分が他の子を祝ったように、メッセージ入りのお菓子が欲しかった。面と向かって「おめでとう」と祝ってほしかった。日常の学校生活の中で祝ってもらえないこと、それがとても寂しかった。

◎ ◎

大学生になると、バイトもしてお金の余裕もでき、友達の誕生日にはちょっとおしゃれなカフェやレストランに行くようになった。そして予約しておいたバースデープレートでお祝いをするのが、誕生日の定番のようになっていた。Instagramを見ても、誕生日にはバースデープレートとともに写真に写っている子がたくさんいた。

そしてわたしも、自分の誕生日には高校生のときからの友達が、おしゃれな都内のバルに連れて行ってくれ、小さな花火がパチパチと煌めく、“Happy Birthday”と書かれたプレートをプレゼントしてくれた。初めてみんなと同じように、誕生日をお祝いしてもらえた!そのことがとてつもなく嬉しかった。

彼氏ができてからは、一緒に旅行に行き、その中でお祝いをしてもらったり、ケーキを買ってもらいお家でのんびりと過ごしたり。大人になるにつれ、夏休みの時期に生まれたから祝ってもらえないということは少なくなっていった。

◎ ◎

そもそも誕生日を迎えることが特別嬉しいわけではない。ひとつ若さを失ってしまうし、社会人になってからは誕生日など関係なく、休みでなければ仕事している。それでも誕生日は何の取り柄もない自分が、唯一主役になることを許される年に一度の特別な1日。この日に生まれたという事実だけで、「おめでとう」と言ってもらえる、この日を迎えたことを祝ってくれる。自分にそんな友達がいること、またその気持ちが嬉しいのだ。

でも今年はどうだろう。誕生日まであと2ヶ月。社会人になり実家を出て他県に移住したので、友達とも家族とも離れてしまった。近くに友達はまだ作れていない。そして、2年半付き合っていた彼氏とはついこの前別れた。今年は仕事とともに誕生日を迎えるのだろうか。それとも誕生日までに友達や彼氏を新しく作るのだろうか。

密かに心の中で思う。24歳になる日に、自分を大切に思ってくれる誰かに面と向かって「おめでとう」と祝ってもらいたいと。

■雲和のプロフィール
人口1000人のまちで田舎暮らし。子どもの「生きる」に寄り添います。好きなことは、日光浴と食べること。

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