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炭治郎の笑みがちょっと怖い…原作ファン必見のシーンと今後の見どころは? アニメ『鬼滅の刃《柱稽古》編』考察&感想レビュー

  • 2024.6.11
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【「鬼滅の刃」公式Xより】

大人気アニメ『鬼滅の刃』第4シリーズ「柱稽古編」が放送中。鬼の総大将・鬼舞辻無惨との来たる決戦に向け、鬼殺隊最強の剣士《柱》と鬼殺隊士たちによる《柱稽古》が開幕するーー。今回は、物語序盤の作画、ストーリーなどにフォーカスしたレビューをお届けする。(文・ジュウ・ショ) 【あらすじ キャスト 考察 解説 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:ジュウ・ショ】
フリーランスとしてサブカル系、アート系Webメディアなどの立ち上げ・運営を経験。コンセプトは「カルチャーを知ると、昨日より作品がおもしろくなる」。美術・文学・アニメ・マンガ・音楽など、堅苦しく書かれがちな話を、深くたのしく伝えていく。

 【「鬼滅の刃」公式Xより】
鬼滅の刃公式Xより

待ちに待った『鬼滅の刃』のアニメ4期が始まった。

第1話は先日映画館で上映された『絆の奇跡、そして柱稽古へ』でも上映された回だ。冒頭で「柱」の不死川実弥と伊黒小芭内が敵本拠地・無限城に肉薄するシーンは、原作にないアニメオリジナルとなっている。柱とは鬼殺隊の中で最も階級が高く優れた9名の隊士のことだ。

このシーンのCGがとにかくすごい。無限城は建物自体がからくりのような仕様になっていて動く。この奇妙な動きを見事なCGで表現しきっているのは、さすがのひと言だ。3期も引き続き制作はufotableが担当しており、期待感を高めてくれる。

2話、3話でもところどころで、高品質なCG表現が見られる。特に今期では山中にこもっての修行のシーンが多い。その木々や川など自然の描写がCGでくっきりと表現されているのは注目だ。

1~3話ではまだ戦闘のシーンは少ない。しかし3話、夜の山中にて、元柱の宇随天元と炭治郎の戦いが描かれる。このアクションシーンの作画も素晴らしい。二人の殺陣のスピーディーさにハラハラさせられる。

 【「鬼滅の刃」公式Xより】
鬼滅の刃公式Xより

今期のサブタイトルは「柱稽古編」であり、「柱それぞれが鬼殺隊に稽古を付ける様」が描かれる。本作でフォーカスされるのは、柱の面々である。柱キャラの人気については今さら多言は無用だろう。『鬼滅の刃』の公式人気投票で上位を占めるのは、ほぼ柱のキャラクターである。

1話の最後では、稽古を付ける宇随天元が「○○は○○の稽古をつけてくれる」と、かなりの説明口調で柱稽古の全体プランを説明する。

これまで柱は、煉獄杏寿郎、時透無一郎、甘露寺蜜璃など、戦いに参加したメンバーしかフォーカスされなかった。しかし、4期であらためて一人ひとりのことがわかるはずだ。柱推しの方は必見である。

1話~3話では、前期の「刀鍛冶の里編」で大活躍した宇随天元が、隊士たちに稽古をつけるシーンがメインだ。とんでもないスパルタで隊士たちは食事も取れないほど疲弊する日々を送るが、宇随は兄貴肌のキャラであることから、終始明るい雰囲気でストーリーが進む。

3話の最後では、宇随天元の稽古を卒業した炭治郎が時透無一郎の稽古場を訪れるシーンが描かれる。クールで人の心が分からなそうな天才剣士・時透無一郎の稽古はこれまでよりシリアスな雰囲気が流れる。

 【「鬼滅の刃」公式Xより】
鬼滅の刃公式Xより

また1話、2話では炭治郎を鬼殺隊に招いた富岡義勇がフォーカスされる。富岡義勇は最初「今回の柱稽古には参加しない」と、柱合会議会議を中抜けしてしまう。柱合会議とは、柱たちが集まる会議のことだ。

炭治郎は、鬼殺隊のトップ・お館様の依頼を受けて、柱稽古に不参加を表明した富岡義勇のもとを訪れ、「稽古つけてくださいよ~」としつこく付きまとう。最初は相手にしなかった義勇も根負けし、自身のコンプレックスを告白する。

それは「最終選別で何もできなかった自分が、運よく生き延びただけで合格した」「親友の錆兎に助けられ、錆兎は死んでしまった」というもの。1話で義勇が柱たちに「俺はお前たちとは違う」と言っていたが、その言葉の真意は「自分は柱としての資格がない」ということだったのだ。

この「あまりにしつこすぎて、根負けして独白する」という展開は、『鬼滅の刃』という作品に良い意味での軽快さをもたらしている。「いや、耐えられないんかい!」と心の中でツッコミながら観るのも一興だろう。炭治郎という性善説の塊のような男の行動力を物語っているシーンだともいえる。

炭治郎が一喝することで、義勇は過去を払拭して立ち直り「炭治郎が義勇よりざるそばを多く食べたら柱稽古に参加する」という謎のゲームが始まる。2話では炭治郎がドカ食いするシーンも描かれており、彼の裏表のない性格が発揮されるシーンが多かった印象だ。

 【「鬼滅の刃」公式Xより】
鬼滅の刃公式Xより

また1話から3話までの時点で顕著だったのが、炭治郎が想像以上にパワーアップしていることだ。前期での「上弦の鬼」との戦いを経て、痣(あざ)が表れ、身体能力が大幅に上がったシーンは印象的だった。

そもそも基礎体力のレベルアップが著しい。モブ隊士たちとの体力の差は歴然で、走る速度が2倍くらい違う。みんながヘトヘトのなか、元気にごはんを食べている。もはや、まわりのモブ隊士たちも「上弦ってどんな感じなの?」と興味津々で、炭治郎のファンみたいな態度になっていくのが面白い。

特に夜の山中で天元と戦うシーンは圧巻だ。片手の天元と一進一退の攻防を繰り広げるまでに進化しているわけである。

そして山中での戦いを通して、モブたちは自分の力の限界を知る。「僕らは絶対上弦に勝てないんですけど、柱や炭治郎なら勝てると確信しました! サポートするために訓練します!」という、すがすがしいほどの負け犬宣言をする。

このセリフを炭治郎が満面の笑みで黙って聞いているのが、ちょっと怖い。「いやいや、そんなことないよ! みんなも一緒に頑張ろうよ!」くらい言ってもいいんじゃないか。モブたちがちょっとみじめすぎるぞ。

今後は柱稽古を通して、炭治郎がさらなる進化を遂げるシーンも出てくるだろう。彼の成長にも注目だ。

 【「鬼滅の刃」公式Xより】
鬼滅の刃公式Xより

また前期「刀鍛冶の里編」のラストでは、炭治郎の妹・禰豆子が太陽を克服した。今期ではそんな禰豆子を鬼舞辻無惨が狙っていることが明らかにされる。そのために、鬼殺隊全体がパワーアップする必要があり、柱稽古が開催されることになったわけだ。

今後は、鬼舞辻無惨や上弦の鬼との戦闘シーンも描かれるに違いない。痣を発現できるようになった炭治郎がどんな戦いを見せてくれるのか。今から楽しみである。

また、現時点では伏線に留まってはいるが、これからも柱の人間性が分かるシーンがどんどん出てくるはずだ。今のところ鬼たちは大人しいが、禰豆子を狙う鬼舞辻無惨がこのままのはずはない。

これからは戦闘シーンも増えていくだろう。ufotableお得意の、CGを駆使した迫力あるアクションシーンも楽しみである。

(文・ジュウ・ショ)

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