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どの痛みレベルで病院に行くべき…? 女医が教える「病院にかかる際のNG、OK行動」

  • 2024.6.10
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体に異変を感じたとき、病院に行くべきかどうか迷った経験はありませんか? 我慢できないほどの痛みを感じたり、意識を失ってしまったり、明らかにいつもと違う症状の場合には、すぐにでも受診した方がいいのは誰しもがわかるところかと思います。ですが、我慢しようと思えば我慢できるような慢性的な痛みや不調の場合は、受診を先送りしてしまうことも多いのではないでしょうか。そこで今回は、そんな悩みに対する解決策を解説します。病院をうまく活用するための「OK行動」と避けるべき「NG行動」についてもお伝えしますので、ぜひ参考にしてくださいね。

Q.慢性的な痛みがあるけれど、いつ受診したらいいですか?

普段通りの生活を送っていても、腰痛や頭痛などの痛みに襲われることがあるでしょう。その対処法としては、まずは市販の鎮痛薬を使って様子をみるという人が多いかもしれませんね。

例えばどこかでぶつけたとか、片頭痛と診断されたことがあるなど、明らかに原因がわかっている痛みの場合は適切な対処ができるかと思います。ですが、痛みの原因がわからない場合は注意が必要です。むやみに我慢して様子をみるのはNG。痛みが1か月以上続いたり、すでに病気や怪我が治っているはずなのに痛みが続く場合には病院の受診を検討しましょう。

また、増強する痛みにも注意が必要です。痛みの部位にもよりますが、頭痛の場合は脳神経内科/外科、腹痛の場合は内科/消化器内科(女性の場合は婦人科も)、腰痛や関節痛の場合は整形外科の受診を考慮するといいでしょう。対処療法では改善しない場合は注意が必要です。

腰痛や頭痛の際に、即時受診が必要ないわゆるレッドフラッグサインをご紹介しておきます。

腰痛のレッドフラッグサイン

  • 発症年齢が20歳未満または50歳以上
  • 時間や活動性に関係のない腰痛(長時間の運転や、PC作業など、明らかな因果関係がない腰痛)
  • 胸部痛
  • がん、ステロイド治療、HIV感染の既往
  • 栄養不良
  • 体重減少
  • 広範囲に及ぶ神経症状(下肢の筋力低下や膀胱直腸障害:頻尿、排尿障害、排便障害など)
  • 脊椎の変形
  • 発熱

上記の症状をともなうような腰痛は、脊椎の感染症や骨折等の骨の異常、腫瘍、大動脈疾患などのハイリスク疾患による腰痛のおそれがありますので、速やかな受診が望ましいです。

頭痛のレッドフラッグサイン

  • 突然発症の頭痛
  • 今までに経験したことがない人生最悪の頭痛
  • いつもと様子の異なる頭痛
  • 頻度と程度が増していく頭痛
  • 50歳以降に初発の頭痛
  • 神経脱落症状(言語障害や手足の麻痺など)や視力障害を有する頭痛
  • 癌や免疫不全の病態を有する患者の頭痛
  • 精神症状を伴う患者の頭痛
  • 発熱、項部硬直、髄膜刺激症状を有する頭痛
  • Valsalva手技(息こらえなど)で増悪、体位で変化する頭痛

こういった頭痛は、くも膜下出血や脳出血、脳腫瘍、髄膜炎などの致命的な疾患のサインの可能性があるため、すみやかな受診が望ましいです。

その他、慢性的な症状は、放置すると治療に難渋することもありますので、自己判断せず、痛みがつらいと感じる場合は我慢せずに早めに受診しましょう。

Q.セカンドオピニオンを受けてみたいけど、どうすればいいですか?

セカンドオピニオンとは、患者さん自身が納得のいく治療方法を選べるように、主治医とは違う医療機関で病気の診断や治療方針について相談を求めることを指します。転院したり、担当医を次々に変えて、自分の求める結果が出るまでさまざまな病院を渡り歩くドクターショッピングとは異なります。

セカンドオピニオンは特にがんや進行性の難病など、治療方法が複雑で、治癒が困難な疾患の場合に求められることが多いです。ただし、セカンドオピニオンは原則自費になります。また受診する手間がかかったり、治療までに時間を要することもあります。

セカンドオピニオンを求めたい理由としては、現在の治療が本当に正しいのか不安という場合もあれば、主治医との意思疎通がとれていないと感じる場合など様々です。どのような理由にせよ、セカンドオピニオンを求めることは患者さんの権利であり、適切な治療を受けるために重要です。診断や治療方針に疑問を感じた場合、他の医師の意見を聞くことで、より広い視野で病状を理解することにつながることもあります。そのため、少しでも不安に感じることがあれば、積極的に検討してもいいと思います。

もし現在の担当医に伝えにくいという場合は、相談支援センターや担当医以外の看護師などに相談してみるのも一つの手です。我慢せずに納得した上で治療を進めていきたいですね。

Q.医師や看護師の態度が悪くて、病院に行きたくないときはどうすればいいですか?

医療従事者とのコミュニケーションが円滑にいかなくて、病院に行きたくないと思う人もいらっしゃるかもしれません。人間同士なので、合う合わないがあるのも当然です。大きい病院であれば別の担当医を選ぶこともできますし、クリニックであれば転院するという選択肢があります。通院する曜日を変更することで担当医師が変わることもあるので、安心して通院できるような主治医を探すことも可能です。

幸い、日本の医療保険制度の特徴として、保険証があれば、医療機関を自由に選ぶことができるフリーアクセス制度があります。どこの医療機関を選ぶのか、どの医師に診てもらうのかも選ぶことができるんですね。

ただ、むやみなドクターショッピングはNG。違う医療機関にかかると、その度に検査費用などの負担がかさむ上に、必要な診療情報が引き継がれずにかえって状況が悪化する場合もあります。複数の病院やクリニックを試して、自分に合った医療機関を見つけることは大切ですが、ここと決めたらそこでしっかり通院してみることも大切です。

Q.いざ体調が悪化しても、救急車を呼ぶのに躊躇したらどうすればいいですか?

救急車を呼ぶとサイレン音などで近所に迷惑をかけたり噂になるのが嫌だと思ってしまったり、まだ痛みは我慢できそうだから、などの理由から通報をためらってしまう方もいらっしゃいます。ただ、緊急時には迅速な対応が必要な場合があり、我慢すると命に関わるリスクがありますので、通報をためらうのはNGです。

例えば、日本人の死亡原因の上位であり、一刻一秒を争う疾患である脳卒中や心筋梗塞が想定されるような症状には注意しましょう。突然の激しい胸痛や呼吸困難、意識が朦朧とする、激しい頭痛、麻痺などの症状が現れた場合は、ためらわずに119番に電話して救急車を呼んでください。

また、通報時には冷静に状況を伝えることも重要で、正しい住所や目印になるようなものを伝えるのも大切です。救急車の到着までに、保険証やお薬手帳、かかりつけ医がわかる診察券などを用意し、つきそう人も外出準備を整えるようにしましょう。
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筆者情報

ママ女医ちえこ(産婦人科医)
産婦人科専門医であり、プライベートでは4人の子どもを育てる母。2020年からはYouTuberとしても活躍し、性教育としての医学情報や健康情報を中心に、女性が自分の体について考えるきっかけになる専門性を生かした情報を発信。現在のチャンネル登録者数は16万人を超える。著書に『子宮にいいこと大全 産婦人科医が教える、オトナ女子のセルフケア』(KADOKAWA)、『医師がすすめる エビデンスベースの「体にいい」食習慣』(クロスメディア・パブリッシング(インプレス))がある。
YouTube:https://www.youtube.com/c/mama女医ちえこ
X:@mamajoy_chieko

産婦人科専門医/ママ女医ちえこ

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