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海外で絶賛された日本のドラマは…? 世界進出に成功した名作(4)世界が震えた…視聴率90%超も出た理由は?

  • 2024.6.11
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泉ピン子【Getty Images】

国外ではあまり認知されているイメージのない日本のドラマだが、日本国内以上に高い人気や評価を獲得した作品も存在するようだ。中には海外での視聴率が90%に達した日本の朝ドラや、リメイク版がハリウッド映画化されるほどの出世を果たした作品も。今回は、そんな海外でも評価されている日本のドラマ作品をご紹介する。第4回。(文・寺島武志)

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『おしん』
放送期間:1983年4月4日~1984年3月31日
放送時間:月曜~土曜8:15~8:30
放送局:NHK総合
原作・脚本:橋田壽賀子
最高視聴率:62.9%
キャスト:小林綾子、田中裕子、乙羽信子、泉ピン子、伊東四朗、大路三千緒、渡瀬恒彦、並木史朗、中村雅俊、小林千登勢、東てる美、田中好子、山下真司、田中美佐子、浅茅陽子、野村万之丞、赤木春恵、渡辺美佐、長門裕之

【作品内容】

明治40年、山形の農家に生まれた少女・おしん(小林綾子)は不作による困窮がひどくなったことが原因で、7歳にして奉公に出されることになる。その後、おしんは、明治・大正・昭和の激動の時代を必死に生き抜くことになる…。

【注目ポイント】

言わずと知れた不朽の名作朝ドラ『おしん』。2021年に原作者の橋田壽賀子が95歳で亡くなると、再び関心が高まり、その功績と哀悼の意が世界中で表明された。

日本でも平均視聴率は50%を超え、おしんフィーバーを巻き起こしたが、注目すべきは、海外での大ヒットだ。

68の国・地域で放送された本作。日本国外で初放送されたシンガポールでは視聴率80%超え。イスラム圏のイランではなんと90%を超え、放送中は人通りがなくなったという伝説も残っている。

本作は、国籍や人種、宗教さえも超えて、世界中を感動させた。「阿信(アーシン)」というタイトルで27回も再放送された台湾では、橋田の死を伝える速報ニュースも流れた。

おしんの少女期を演じた小林綾子は、今でも放送された国を訪れると「オシン」、泉ピン子も「オシンマザー」と呼ばれるという。

なぜ、『おしん』がこれほどまでに海外で受け入れられたのか。それは我が国も通ってきた道であり、同時にどの国にも当てはまる途上国ならではの貧しかった歴史に、人々の心の琴線が触れたからだろう。

日本での放送当時はバブル前夜の好景気で、人々は物質的には豊かさを享受していた。『おしん』はそのアンチテーゼ的な作品としてヒットしたが、海外、特に途上国では、“今まさにある現実”を映し出しているように受け止められ、共感を呼び、さらには生きる勇気をもたらしたのだ。

『冬のソナタ』を皮切りに、徹底的に恋愛ドラマに特化し、韓流ブームを巻き起こした韓国とは違い、多種多様な日本のテレビドラマは、海外に売り込みにくい側面もある。しかし、日本ならではの悲哀の感情や家族の縁は、文化や宗教を超え、人々の普遍的な共通価値観に訴えるものだ。

40年以上も前の作品である『おしん』だが、日本のテレビドラマを海外展開させるヒントを多分に含み、そのポテンシャルを再確認させる作品といえるのではないだろうか。

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