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全面封鎖された都庁前で、渡辺謙が走る!「TOKYO VICE Season2」1990年代の東京を再現した大規模ロケに潜入

  • 2024.6.10
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WOWOWとHBO Maxの日米合作ドラマシリーズ「TOKYO VICE Season2」(WOWOWオンデマンドにて全話独占配信中)が、ついに怒涛の最終回を迎えた。Season1から、アクションやストーリーもますます進化した本作は、新聞記者、刑事、ヤクザなど個性豊かなキャラクターたちが入り乱れ、刺激的かつドラマチックな展開は何度観ても味わい深く、視聴者を魅了し続けている。

【写真を見る】悔しさと怒りをにじませる迫真の演技!渡辺謙演じる片桐が、銃を片手に犯人を追いかける

1990年代の東京に流れる独特な空気感までを映しだした本シリーズは、東京の街自体も「主役」と言えるような大切な存在。映画やドラマなどの円滑な制作をサポートする団体「東京ロケーションボックス」が携わり、東京や周辺各所でロケが実現した。そこでMOVIE WALKER PRESSでは、Season2第7話における東京都庁前を全面封鎖して行われた大規模ロケに潜入!片桐刑事役を演じる渡辺謙の鬼気迫る表情をはじめ、日米のスタッフが国境を超えて力を合わせて仕事に取り組む姿を目撃した。制作陣へのインタビューとあわせて、撮影現場の模様をご紹介する。

警察車両が狙撃される!スリリングなシーンで渡辺謙の鬼気迫る表情を目撃

ハリウッドのスタッフと日米の実力派キャスト陣がタッグを組んだ本シリーズ。Season1は世界約120カ国で放送&配信されるなど大ヒットを記録した。Season2では、主人公である明調新聞のアメリカ人記者ジェイク(アンセル・エルゴート)が、東京の裏社会により深く入り込み、刑事の片桐(渡辺)と組んでヤクザの戸澤組の調査を開始。戸澤組が勢力を拡大するなか、ジェイクや片桐の身近な人たちにまで危機が及んでいく様子を描く。

【写真を見る】悔しさと怒りをにじませる迫真の演技!渡辺謙演じる片桐が、銃を片手に犯人を追いかける Photo: James Lisle/WOWOW
【写真を見る】悔しさと怒りをにじませる迫真の演技!渡辺謙演じる片桐が、銃を片手に犯人を追いかける Photo: James Lisle/WOWOW

筆者が訪れたのは、戸澤(谷田歩)に迫るための重要人物を護送する警察車両が狙撃されるシーンの撮影だ。片桐が運転する車は都庁前で渋滞にハマり、停止しているところを2人乗りのバイクが襲撃。エンジンをふかして猛スピードで入り去るバイクを、片桐が銃を手に追いかける…という緊迫した場面だ。渡辺は、襲撃された片桐の動揺を体現。とっさに車から降りて、空に向かって威嚇のために上空に発砲する。銃を構えた姿もクールで、狙撃犯を追いかけて走りだす表情に悔しさと怒りをにじませながら、迫真の演技を見せていた。渡辺は監督やスタッフとディスカッションしながら、夜まで続いた撮影に専念。途中、雨が降りだす瞬間もあったが、それをものともせず何度もテイクを重ねていた。

「渡辺謙さんのアクションヒーローとしての活躍を見ることができる場面」とアピールしたアラン・プール
「渡辺謙さんのアクションヒーローとしての活躍を見ることができる場面」とアピールしたアラン・プール

本シリーズのエクゼクティブ・プロデューサーを務め、Season2の第1話と第2話の監督をしたアラン・プールは「Season2の後半には、いろいろなショッキングな事件が重なってきます。このシーンもそのショッキングな出来事の一つとなる場面で、渡辺謙さんのアクションヒーローとしての活躍を見ることができる場面でもあります」とにっこり。スタッフたちも、渡辺が中心にいることでグッと集中力や熱気が高まっている様子だったが、事件に驚くという演技が必要になったエキストラも、彼の必死の形相に引っ張られる形で「なにが起きたの!?」という表情を見事に演じていた。

都庁通りを全面封鎖して、1990年代の東京を完全再現

同シーンでは都庁通りを大胆に封鎖し、50台にも及ぶ車を並べて渋滞を表現。車の準備は、朝の3時から始められたという。「TOKYO VICE」といえば、当時の街並みやヒットソング、ファッション、カルチャーなど目や耳からも1990年代に没入できるシリーズだが、渋滞に並んだ車も現在は珍しくなったセダン車を中心に、スカイラインやBMWなど、1990年代の道を走っていたモデルがズラリ。

エキストラが持参したという1990年代の車がズラリ Photo: James Lisle/WOWOW
エキストラが持参したという1990年代の車がズラリ Photo: James Lisle/WOWOW

なんとこの車は、エキストラが持参したものだそう。さらに車のなかにいる人だけでなく、歩道を行き交うエキストラも1990年代のファッションに身を包むなど、彼らの厚い協力があってこそ完成したシーンだ。エグゼクティブ・プロデューサーのプールは「『TOKYO VICE』はすべて細かいところまで、その時代に合わせています。当時はなかったようなデジタルの看板などが映り込んだ場合は、VFXで消すことになります」とコメント。様々なアイデアを込めて、都庁通りを1990年代の東京として再現した様子は圧巻。ぜひ列をなした車にも目を凝らしながら、警察、そしてヤクザにとっても激動となった時代に飛び込んでほしい。

車やファッション、携帯電話などあらゆるアイテムから1990年代を感じることができる Photo: James Lisle/WOWOW
車やファッション、携帯電話などあらゆるアイテムから1990年代を感じることができる Photo: James Lisle/WOWOW

都庁通りを全面封鎖して行う大規模なロケは『翔んで埼玉』(19)以来、今作が2度目とのこと。ロケーションスーパーバイザーの相川真範によると、「監督から『東京のアイコニックとも言える場所を映したい』という話があり、プロデューサー陣とも相談しながら、東京で一番映える道であり、護送車が走っていてもおかしくない道。加えて、1990年代の東京にも見える場所をセレクトしました」とあらゆるポイントを押さえた、都庁通りが今回の撮影場所に選ばれた。エグゼクティブ・プロデューサーのプールは「物語の舞台である1990年代に、都庁が完成していてよかった」と笑顔を見せつつ、「こんなに壮大なアクションシーンをできたことは、僕にとっても自慢です」と誇らしげ。エグゼクティブ・プロデューサーのアレックス・ボーデンも「今日はとても特別な日になりました」と切りだし、「都庁通りを封鎖して大規模な撮影ができるなんて、夢のようなこと。都知事や都庁関係者の皆さんのバックアップがあって叶えられたことです」と感謝しきりだ。

アレックス・ボーデンは「今日はとても特別な日になりました」と都庁前でのロケが叶ったことに感激しきり
アレックス・ボーデンは「今日はとても特別な日になりました」と都庁前でのロケが叶ったことに感激しきり

日曜日に敢行された撮影では、もちろん新宿の街を訪れる人々も通行していたが、ダイナミックなロケに周囲も足を止めて驚きの表情を見せていた。そんななか「東京ロケーションボックス」を始めとするスタッフは「こんにちは」と笑顔で声がけをしながら、街の人々を進行方向へと案内。あらゆるスタッフが、街の人にとっても気持ちよく、安全に撮影が進むようにと心がけながら仕事に励んでいた。

“世界で最も撮影が難しい都市”と言われる東京で、未来へとつながるものづくりが実現

「TOKYO VICE」では東京の街自体が本シリーズの登場人物の一人であり、主役の一人となる Photo: James Lisle/WOWOW
「TOKYO VICE」では東京の街自体が本シリーズの登場人物の一人であり、主役の一人となる Photo: James Lisle/WOWOW

新聞記者、刑事、ヤクザ、その周囲の人々まで、どのキャラクターも血の通った人物として深く掘り下げ、あらゆる視点から東京アンダーグラウンドにうごめく人間模様を楽しめる本シリーズ。作品に魂を込めるためには、「Season1の撮影に入る前から、これは絶対に東京および、東京の周辺で撮らなければいけない作品だと思っていました。東京の街自体が本シリーズの登場人物の一人であり、主役の一人だと思っています」とエグゼクティブ・プロデューサーのプールは話す。

「たくさんの方にSeason1を愛してもらった」と感謝を語ったショーランナーのJ・T・ロジャース
「たくさんの方にSeason1を愛してもらった」と感謝を語ったショーランナーのJ・T・ロジャース

しかし東京は、“世界で最も撮影が難しい都市”と言われており、オールロケが実現するまでには苦労も多かったという。「僕はこれまでロンドンやパリ、トロント、ニューヨークなどあらゆる街で撮影をしたことがありますが、やはりそのなかでも東京は一番撮影が難しい場所だと思います」と口火を切り、「東京は、住んでいる人の権利をとても大切にする街です。例えば商店街で撮影をするとなると、すべてのお店の家主に許可をもらわなければ撮影をすることはできません。そうなるとどうしても撮影の許可を取り、準備をするまでに時間がかかります」と証言。そんななかSeason1が好評を得たことで、撮影がスムーズに進むこともあったそう。ショーランナーのJ・T・ロジャースは「たくさんの方にSeason1を愛してもらい、認識していただけたことで、Season2ではいろいろな協力を得ることができました。これからも海外のプロダクションが、東京で撮影できるような道筋を作れたらいいなと思っています」と本シリーズは、大きな一歩になったはずだと力強く語る。

日米のスタッフが集結し、英語と日本語が飛び交う撮影現場 Photo: James Lisle/WOWOW
日米のスタッフが集結し、英語と日本語が飛び交う撮影現場 Photo: James Lisle/WOWOW

撮影現場では、日米のスタッフが交流をしながら仕事に取り組み、英語と日本語が飛び交うなど熱気にあふれていた。エグゼクティブ・プロデューサーのプールは「日本のスタッフがたくさん参加してくれました。全員で『日本の観客から観ても、違和感のない日本を描こう』と頑張っています」とキッパリ。エグゼクティブ・プロデューサーのボーデンは「作品をつくるためには、能力のある大勢の人たちがワンチームとなって取り組むことが必要になります。キャスト、スタッフも含め、今回はSeason1から継続して参加している方をはじめとする、経験豊富な人たちが集まってくれました。この作品に参加したことを誇りに思い、それを今後の作品づくりにつなげていきたい」。ロケーションスーパーバイザーの相川も「本シリーズによって刺激をもらって、海外作品や合作を積極的にやっていきたいというスタッフも増えてきている」と話すなど、スタッフやキャストもお互いにいい刺激を受け取っている様子だ。

ストーリーもますます深化!個性豊かなキャラクターが入り乱れ、怒涛の最終回へと突き進んだ Photo: James Lisle/WOWOW
ストーリーもますます深化!個性豊かなキャラクターが入り乱れ、怒涛の最終回へと突き進んだ Photo: James Lisle/WOWOW

明け方から準備が始まった都庁通り封鎖のシーンは、日が暮れるまで撮影が続いていたが、実際の放送時間はわずか1分ほどのシーンだ。そうやって誰もが妥協せずに全力を注いだ瞬間の積み重ねが、本シリーズの衝撃的なおもしろさにつながっている。「本日の撮影、終了です!」との声が響くと、スタッフ陣が晴れやかな笑顔でサムズアップを送り合うなどその場には充実感が漂っていた。ぜひ1990年代の東京の魅力を味わいながら、日米のすばらしいタッグを堪能してほしい。

取材・文/成田おり枝

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