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世界が熱狂…! 米アカデミー賞を制覇した日本映画の傑作(2)「死」を正面から描いて…邦画史上初の快挙とは?

  • 2024.6.10
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本木雅弘【Getty Images】

世界共通の文化である映画。毎年素晴らしい作品には、栄誉あるアカデミー賞が贈られる。アカデミー賞を受賞した作品は後世に語り継がれる名作となり、人々の心に生き続けるものとなる。しかし日本映画がアカデミー賞を受賞するのは容易くはない。そこで今回は、米アカデミー賞を席巻した日本映画をセレクトして紹介する。第2回。(文・寺島武志)

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『おくりびと』(国際長編映画賞)
製作年:2008年
上映時間:130分
監督:滝田洋二郎
脚本:小山薫堂
キャスト:本木雅弘、広末涼子、山崎努、余貴美子、杉本哲太、峰岸徹、山田辰夫、橘ユキコ、吉行和子、笹野高史

【作品内容】

本木演じる元チェロ奏者の小林大悟は、所属楽団が経営不振で解散してしまい、山形へ帰省、求人広告をきっかけに納棺師として働くことになる。

はじめは納棺師という仕事に戸惑いを感じ、広末涼子演じる妻の美香もあからさまに嫌悪感を示され、日常生活の中で様々な差別を受ける上、孤独死した腐乱死体の処理まで任され、大悟の心は折れかける…。

【注目ポイント】

邦画史上初となるアカデミー賞外国語映画賞を受賞した本作。主演の本木雅弘が、『納棺夫日記』を読んで感銘を受け、自ら著者の青木新門を訪ね、映画化の許可を取り付ける。

しかし、小山薫堂による脚本は、大きく改変がなされ、これに不満を抱いた青木から映画化許可の約束を反故にされる。結果、全く別の作品として製作されることになる。

アカデミー賞で、日本映画史上初の外国語映画賞を獲得した本作。誰にでも訪れるものの、敬遠されがちな「死」を真正面から描いた物語に、特に国外での評価が高く、アカデミー賞ノミネートのニュースが流れた途端、国内での上映館が急増したというエピソードが残っている。

さらには、公開から13年後の2021には4K修復版が中国で上映され、異例のリバイバルヒットを果たし、中国人の死生観にも影響を与えた。その根底には、中国にも日本と同じく、少子高齢化社会が迫っているからともいわれている。

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