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美容室で格好つけてロイターを読んでしまう… いたって普通の主婦・ツボウチさんのシュールで楽しい日常

  • 2024.6.8
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子育てのあるあるに共感したり、かわいい子どもの成長を見てほっこりしたりできるのが育児エッセイの魅力のひとつだ。『フリースタイル家族』』(KADOKAWA)は、いたって普通の主婦・ツボウチさんのシュールさがたまらない日常エッセイだ。ゆるい絵柄も相まって、本作を読めばよりほほえましい気持ちになれるはずだ。

大阪生まれのツボウチさんは、サラリーマンの夫と息子のダボチャンと3人で暮らすいたって普通の主婦。フリースタイルでシュールな毎日をすごしていた。美容院に行くと視線のやりどころに迷うというツボウチさん。本当はX(旧:Twitter)を見たいのに、格好をつけて経済や株価、ビジネスなどの情報サイト・ロイターを見てしまう。もうこのエピソードだけで、ツボウチさんに魅了されてしまうのではないだろうか。

本作の個性的な登場人物は、ツボウチさんだけではない。ツボウチさんの姉(通称:ビッグマム)は、大阪らしいノリの良さでいつでも全力で子どもと遊んでくれる素敵なお姉さんだ。ダボチャンはそんなお姉さんのことが大好きで、遊んでもらうと笑い転げて喜んでいる。こんな素敵な伯母がいたらきっと楽しいだろうなと憧れてしまうほど、良い笑顔のダボチャンにも注目してもらいたい。

そんなダボチャンの反応の違いも、ツボウチ家のシュールさを感じさせてくれる。夫の実家に行くと義母に人見知りして顔を隠すダボチャン。お花を見たり扇風機からこぼれる光を見たりして、穏やかにすごしている。一方で、ツボウチさんの実家に行くと声の大きい家族に囲まれ構われまくることに。そして、ビッグマムに遊んでもらっては、必死の形相でほっぺをブルンブルンしながらハイハイで逃げるのだ。あまりにも違うダボチャンの反応を見ると、思わず笑ってしまうだろう。こうした温かな日常は、読むだけで心から癒やされていく。

ツボウチさんの日常には、夫もたくさん登場する。息子に頭突きされながら抱っこをしているツボウチさん。「なんか疲れたなぁ…」と抱っこを求められない夫をうらやましがる姿に、次の日にケーキを買って来てくれた夫。本当は一緒にいる時間に抱っこを代わってほしいという気持ちからの発言だったのに、ケーキで済ませようとしたことにいらだちを感じていた。育児に疲れている人であれば真意をくみ取ってくれない夫に対して、ギスギスしてしまうこともあるだろう。しかし、ツボウチさんは眉間にしわを寄せながら、もりもりとケーキを食べるのだ。

ツボウチさんのこのメンタルは、一生見習っていきたいと思う。そして、コマの外で「夫へ次は白い生クリームのケーキがいいです」と希望することも忘れない姿に、心からほっこりさせられる。ぜひ次の機会には、大きめの生クリームケーキを買ってきてあげてほしい。

とてもシュールで楽しいツボウチ家の日常は、読むだけで笑顔にさせられる。ゆるい絵柄も相まって癒やされるばかりなので、疲れている日には何度でも読み返したくなるはずだ。育児や家事のあるあるに共感しながら、ツボウチさんの日常を心ゆくまで楽しんでもらいたい。

文=ネゴト/ 押入れの人

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