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【プロが伝授!】寄せ植えが絶対きれいに見える法則

  • 2024.6.8

寄せ植えは広い庭がなくても、さまざまな草花のハーモニーが1鉢の中で楽しめるガーデニングの楽しみの一つです。寄せ植えは花を選ぶことから始まりますが、園芸店に行くとたくさんの種類があり、何をどう選んで組み合わせればよいか、迷ってしまうことはありませんか? そんな方に、寄せ植え名人M&Bフローラの難波良憲さんが、寄せ植えが絶対きれいに見える法則を伝授します。

花を1種に絞って主役を明確にする

何を選んでどう組み合わせればよいか、迷ったときは花を1種に絞ってみましょう。園芸店に行くとたくさんのかわいらしい花が並んでいて、あれもこれもとたくさん組み合わせてみたくなるものですが、主役級にかわいい花を集めてみても、寄せ植えがかわいくなるかといったら、むしろ逆。花の個性がぶつかり合って印象が散漫になってしまうことがあります。

主役になる花の特徴

さて、主役になる花とは、どんな花でしょうか。主役になる花は概ね以下の条件が当てはまります。

  1. 大輪
  2. 鮮やか・個性的な色彩
  3. 株を花が覆うような多花性

このような特徴をもった花は、1種類で存在感が抜群です。同様の個性を持つ花を集めるよりも、1種に絞ったほうがまとまりがよく、見応えのある寄せ植えを作りやすいです。

ペチュニア‘アマゾナス・プラム・コカトゥー’が主役の寄せ植え

ペチュニア‘アマゾナス プラム コカトゥー’

上記の条件にぴったり当てはまるこの季節の花が、例えばペチュニア‘アマゾナス・プラム コカトゥー’。ライムグリーンに紫色の筋模様が入り、花弁の縁が波打つ個性的な花が目を引く新品種のペチュニアです。ペチュニアの中では大輪に分類され、多花性で葉っぱが見えないくらいぎっしり花が咲きます。暑さにはもちろん、雨にも強いので、この時期の寄せ植えの主役としておすすめです。

ペチュニアの寄せ植え

ペチュニア‘アマゾナス・プラム コカトゥー’を主役とした場合、必ずきれいに見える組み合わせは、花ではなくリーフ類を選ぶことです。もちろん、他の花を組み合わせても面白いのですが、「花1種+リーフいっぱい」の組み合わせは主役がはっきり際立ち、たいてい美しくまとまるので、迷ったらこの法則にのっとると失敗しません。リーフは主役の花を引き立たせてくれる名脇役として常に活躍してくれます。

花色を分解してリーフ類を選び出す

上の寄せ植えは一見すると複雑で上級者という感じがするかもしれませんが、じつはリーフの選び方はそう難しくはありません。主役となる花の色をよく観察し、その中にある色と同じ色のリーフを選びます。‘アマゾナス・プラム・コカトゥー’の場合、花色は①ライムグリーン ②紫 ③花心のほぼ黒に近い紫がキーカラーになります。この3色のリーフを選ぶと、花を引き立てる脇役として活躍し、寄せ植え全体のまとまりがよくなります。

ペチュニアの寄せ植え

今回使ったリーフは以下です。

① ライムグリーン/ルーとオレガノ‘ミルフィーユリーフ’
② 紫/キンギョソウ‘クレバータッチ’
③ ほぼ黒に近い紫/ミカニア・デンタータ

そして、もう一つ寄せ植えに動きを加えるリーフとして、つる性の斑入りジャスミンを加えています。

植栽位置のポイント

ペチュニアの寄せ植え

このバスケットの器の場合、全方向から見られることを前提とし、植物の配置は中央を高く、器の縁に向かって低くラウンド型になるようにするとまとまりがよくなります。この寄せ植えでは中央に草丈の高いキンギョソウ‘クレバータッチ’と斑入りジャスミンを配置。花は器の両サイドに植栽し、その株元にミカニア・デンタータを入れました。ミカニア・デンタータはほぼ黒色の葉なので、影として花をより美しく際立たせる役目を担います。

ペチュニア‘ゆうやけこやけ’を主役にした寄せ植え

ペチュニア‘ゆうやけこやけ’

この寄せ植えも同様に「花1種+リーフいっぱい」の寄せ植えです。主役はペチュニア‘ゆうやけこやけ’という、オレンジとブラウンのグラデーションが特徴の中輪の花です。花色をよく観察すると、花心から花弁の先まで、とても複雑に色が混じり合っています。

ペチュニア‘ゆうやけこやけ’

右上の円は、分かりやすくパソコンでペチュニア‘ゆうやけこやけ’の色を抽出してみたものです。おおまかに約8色の色が抽出できます。

ペチュニア‘ゆうやけこやけ’

この8色の花色の中から☆印の色と同じ色を持つリーフを選んで組み合わせました。

① 濃い紫の葉のアルテルナンテラ‘パープルプリンス’
② ベージュとピンクの模様が入るアルテルナンテラ‘マーブルクイーン’
③ ベージュの斑入り葉のヘーベ・バリエガータ
④ 濃い紫色の斑が入るリシマキア‘ミッドナイトサン’
⑤ ベージュの細葉のカレックス
⑥ 茶色にピンク斑が入る細葉のウンシニア・ルブラ‘エバーフレーム’

これらのリーフは寒さが増すと斑の色が濃くなり、秋に向かうにつれ、より花色と相まってシックな雰囲気になっていきます。

ペチュニア‘シャンパンゴールド’が主役の寄せ植え

ペチュニア‘シャンパンゴールド’

こちらはペチュニア‘シャンパンゴールド’を主役にした寄せ植えです。この寄せ植えも「花1種+リーフいっぱい」の法則にのっとっています。ペチュニア‘シャンパンゴールド’は、ブラウンとゴールドカラーの上品なグラデーションが魅力。ペチュニアの中では小輪に分類されますが、多花性で茎が立ち上がるように咲き、花の裏側のブラウンのグラデーションが見えるのも特徴です。

ペチュニア‘シャンパンゴールド’

花心のブラウン〜黒色のグラデーションに合わせて、リーフは以下を選びました。

① ミカニア・デンタータ
② ウンシニア・ルブラ‘エバーフレーム’
③ ペルシカリア‘シルバードラゴン’

形状の違いも意識してリーフを選ぶ

ペチュニア‘シャンパンゴールド’

リーフを選ぶときのもう一つのポイントは、形状の違いにも注目することです。ここではミカニア・デンタータは葉に細かい切れ込みが入る「レース状」で、ウンシニア・ルブラ‘エバーフレーム’は細い「ライン状」、ペルシカリア‘シルバードラゴン’は「三角形」の葉です。形状の異なるリーフを組み合わせることで、それぞれの個性が発揮され、寄せ植えに深みを与えてくれます。

単体でも、寄せ植えでも活躍してくれる主役花

ペチュニア

さて、皆さん。ここで、これまで登場した主役の花を組み合わせたところを想像してみてください。どれも一つひとつは美しいのに、組み合わせると個性が相殺されてしまい、美しさが今ひとつ伝わらないのではないでしょうか。

ペチュニア

これら3つの花は、どれも多花性でたっぷり花が咲いてくれるので、単体で植えても見事です。別々の鉢で1株ずつ育てると、上の写真のように見応えたっぷりになるので、寄せ植えに限らずおすすめです。

寄せ植えにする場合は、主役は一つの花に絞り、あとは脇役として活躍してくれるものを選ぶと美しさが引き立ちます。「花1種+リーフいっぱい」の法則は、どんな季節の植物にも使えるきれいの絶対法則。ぜひいろいろな花で試してみてくださいね。

Credit
寄せ植え制作&アドバイス / 難波良憲

八ヶ岳にある種苗メーカー「エム・アンド・ビー・フローラ」に勤務。膨大な植物の知識を生かし、花の個性を生かしたブーケのように華やかな寄せ植えが好評。同社のショップ(現在はクローズ)での店長を担当しつつ、寄せ植え教室を開催。現在は、同社インスタグラムを通じて、季節毎の華やかな寄せ植えの紹介や、水やりなどガーデニングの基本知識や様々なお役立ち情報の発信を行っている。気になる方はぜひアカウントを覗いてみてください。

まとめ・写真 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

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