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2023年は衝撃の【出生率1.2】と過去最低!世界でも215位と最低レベル!上位国との違いとは?

  • 2024.6.8
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厚生労働省は、「令和5年(2023)人口動態統計月報年計(概数)」の概況を公表しました。その結果、2023年の国内での日本人の出生数は72万7,277人で、前の年より4万3,482人減少し、8年連続で過去最少を更新しました。

産む世代の女性の人数が減っているから出生数も減っていく

2023年の婚姻件数は47万4,717組で、前年の50万4,930組より3万213組減少、婚姻率(人口千対)は3.9で、前年の4.1より低下しています。また、平均初婚年齢は夫 31.1 歳、妻は29.7歳です。

女性の平均初婚年齢である30歳の人口の推移を見てみると、10年前の2013年と比較し約19%減少しています。

このことから、子どもを産む世代の女性が減ってしまっていることも、出生数の減少に繋がっていると考えられます。

しかしながら、今後も子どもを産む世代の女性は減少し続けていくため、注目すべきは、1人の女性が生涯に産む子どもの人数を示す指標「合計特殊出生率」です。

日本の合計特殊出生率は227の国と地域の中で215位!?

2023年の「合計特殊出生率」は、1.20で、1947年以降、最も低くなりました。

アメリカの中央情報局(CIA)が推計している2023年版の国・地域別の世界の合計特殊出生率ランキングでは、日本の合計特殊出生率は1.39、国・地域別のランキングで227の国と地域中215位と予測されていました。

しかし、実際は1.20と予測を下回っており、さらに低い順位になっている可能性があります。

出生数の減少の原因はズバリ「経済的不安」!

ベビーカレンダーは2022年10月に、子ども1人以上の出産を経験したベビーカレンダー会員ママ881人を対象に妊娠・出産に関する意識調査をおこないました。

その結果、「現在の子どもの人数はもともと希望していた人数ではない」と回答した人が全体の4割を超え、その要因として「経済的な理由から」と答えた人が約3割を占めました。

さらに、少子化支援を前提に「1人の出産に対する支援額として、いくらが妥当であるか」を調査。その結果をPSM分析したところ、「妥協価格は75万円」「理想価格は80万円」であることが明らかに。このことにより、金銭面での不安が大きなネックとなっていることが判明しました。

さらに、今回、ベビーカレンダーアプリを利用している317人に「もう1人産み育てる場合、未就学児の期間に追加で必要な最低額」について調査をした結果、約4割の人が「毎月4〜6万円必要」と回答していました。

子育て支援としてさまざまな施策が検討、実施されてはいますが、現状、物価高、実質賃金の低下など、各家庭の経済的負担が軽くなる気配がありません。

ベビーカレンダーが開催した座談会でも、ママたちのリアルな声を聞くことができました。

【Aさん 30代 2児の母(3歳・1歳)】
Q.もう1人子どもを産み育てるなら、追加で必要な最低額は?

A.5万円くらい

5万円くらいないと、貯蓄ができない。今現在のことよりも、将来への不安がある。できれば3人子どもが欲しいが、2人目を産んでからお金がどんどん減っていき、不安が大きく3人目に踏み切れない。特に食費がかかり、想定していたよりも経済的に厳しい状況。(コロナ禍が落ち着いてから、外食の頻度が増えたが、収入は増えていないため)結局、お金がないと子どもを預けることもできず、塞ぎ込んでしまい心の余裕もなくなって悪循環になると思う。

【Bさん 30代 1児の母(2歳)】
Q.もう1人子どもを産み育てるなら、追加で必要な最低額は?
A.4〜6万円くらい

先輩ママから「2人目、3人目はラク」とは聞くけど、今現在1人だけでもこんなに大変で、正直、2人目を産むのはどうなんだろう?と考えてしまう。子どもを預けるのにもお金がかかるし、結論、お金で解決できることが多いと思う。夫との家事・育児の分担などもしっかり話し合えていない状況で、2人目以降でお金がないと、自分の負担も大きくなることが想像できるので、積極的に2人目は考えられない。今よりつらい状況になるなら、1人でいいかなと思ってしまう。

少子化解決のためには1人あたりが多く産むことが今後の課題

そんな危機的状況の中、岡山県勝田郡奈義町は、定住促進のための「子育て支援」「住宅施策」「就労の場の確保施策」などを打ち出し、町民を巻き込んで取り組んだ結果、2005年時点で1.41だった合計特殊出生率を、2019年には2.95まで引き上げています。

また、フランスでは出産・子育てと就労に関して幅広い選択ができるような環境整備、すなわち「両立支援」を強める方向で政策が進められ、合計特殊出生率を回復させていますし、フィンランドではネウボラ(妊娠期から就学前までの切れ目のない子育て支援制度)を市町村が主体で実施し、子育てにおける心身や経済の負担軽減に努めています。

これらの事例をみると、子育てのみに焦点を当てるのではなく、定住や就労への支援、住民を巻き込んで取り組むことも重要なポイントと言えそうです。

さらに、子どもを産むことのみに着目すると、日本では出生に占める婚外子の割合が、欧米主要国に比べてとても低くなっています。その理由は、「結婚してから出産するのが普通」「婚外子は社会的な保障が不十分」という風潮が、現在も広く浸透していることが大きいと言われています。
※日本:2.4%(2020年)、フランス:61.0%、スウェーデン:54.5%、イギリス:48.2%、アメリカ:40.0%、イタリア:35.4%、ドイツ:33.3%(イギリス2017年、その他は2019年)。

夫婦のカタチが多様化してきているとは言え、やはり婚姻数を増やすための対策も必要になってきます。コロナ禍によって異性と出会う場が減少してしまったのも影響してか、最近では「マッチングアプリ」がきっかけで結婚に至ったカップルが増加しているようです。そこで、マッチングアプリの会社と連携したり、独自のアプリを開発したりして、出会いの場を提供する自治体も増加してきています。合計特殊出生率を上げるためには、このような出会いの場の提供なども重要となりそうです。

2022年に不妊治療が保険適応となり、不妊治療によって生まれた子どもの割合が全体の約1割となりました。保険適応が後押しになっていると思われます。また、2026年度を目途に、正常分娩の保険適用導入が検討されています。内容のさらなる検討も求められますが、保険適用が実現すれば、さらに出産費用の自己負担が軽くなる可能性も期待されます。

今後も厳しい状況が予測されていますが、成功事例を研究し、より良い形で取り入れて、赤ちゃんを産み・育てたいと思う世の中になるようにしていくことが必要と考えます。 そして、ベビーカレンダーがその一助となれるよう活動していきたいと考えています。

ベビーカレンダー編集部

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