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中学受験を控えた子どもの学力アップ&実力発揮には、毎日決まった時間に就寝と起床をする「睡眠リズム」がカギ

  • 2024.6.7
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塾や習い事などで忙しい子どもたち。学校から帰ってきて、おやつを食べ、ひと息ついたら、すぐに塾や習い事へ行くのは今の子どもたちにとっては当たり前のことだろう。中学受験を考えている家庭では、子どもは20時過ぎまで塾で勉強をして、その後、食事をして、さらに勉強という家庭もあるだろう。

心も体も大きく変化を迎える成長期だからこそ、たっぷり睡眠をとらせてあげたいというのが親心ではあるものの、勉強時間も必要というのが現実。「どうやって睡眠時間を捻出すればよいのか?」「勉強や習い事のパフォーマンスに支障のないように効率的に睡眠をとる方法は?」そんな親の切実な悩みに答えてくれるのが、睡眠コンサルタントで、ご自身も二児を育てる愛波あや氏の『忙しくても能力がどんどん引き出される 子どものためのベスト睡眠』(KADOKAWA)だ。本書の中で愛波氏は「とくに中学受験が間近な小学校高学年の子どもは『睡眠リズムを崩さないこと』が大事」だという。

学校で元気に活動をして、さらに塾でも勉強に集中するために大切なのは睡眠時間。そして、就寝と起床の時間を毎日一定にして、睡眠リズムを整えること。小学生高学年の推奨睡眠時間は9~11時間だが、塾や習い事をしている子どもは睡眠時間を削って勉強をしなくてはいけない時もあるはず。だからこそ「毎日早く寝かせる」というより、「睡眠リズムを整え、睡眠負債を作らないこと」を心がけることが重要だと本書は説く。

平日、遅くまで頑張っているから、学校のない週末くらいは寝だめをさせてあげようと、ゆっくり寝かせている親御さんも少なくはないのでは? しかし、平日に積み重なった睡眠負債は1~2日の長い睡眠では回復することはなく、それどころか、土日に朝、ゆっくり寝かせることは逆効果という。良かれと思って週末の朝たっぷり寝かせていたことで、夜眠れなくなり、それによって体内時計がずれるのだ。つまり、月曜の朝になると夜遅く寝たせいで起きられず、朝食もしっかり取れないので、血圧も上がらず、午前中はぼーっとした頭で過ごす、ということに。なんとか週の半ばごろに体内時計が戻っても、また週末に寝だめをすることで体内時計が狂ってしまうはめに。これはソーシャル・ジェットラグ(社会的時差ボケ)といい、子どもの日中の活動や学業に大きな影響を及ぼすといわれている。これを予防するには、土日の朝寝坊は2時間以内に押さえることと本書には具体的に記されている。

ほかにも、「塾前、塾での弁当では脳にとって唯一のエネルギー源となる糖質を腹八分目程度まで食べることでパフォーマンスが上がる」、また「糖質の源となるおにぎりには野菜や鶏肉などを加えてビタミンもタンパク質も摂取できるものにすると、食事時間が十分に取れない子どもが栄養バランスがとれる」などという、睡眠を確保するための食事法などが、実際に子育てをしている愛波氏の具体例とともに書かれている。ほかにも、「効果的な昼寝の取り方」や「帰宅から就寝時間まで時間がない場合のお風呂の入り方」、「季節ごとの寝室の室温&光のコントロール」、また「インフルエンザなどのワクチンの効果をしっかり出すための摂取した後の睡眠法」など、受験生を抱える親が子どもの睡眠に関して感じる些細な疑問に対して、世界各国の研究のエビデンスとともに解決法が掲載されている。

本書によれば、子どもたちは寝ている間に日中、学校や塾で学んだことや、スポーツで習った体の動きなどの情報の整理と統合を行い、記憶を定着させているという。もちろん、時には十分な睡眠が取れないこともあるかもしれない。それでも効率よく質の良い睡眠をとれば、起きている時に得た知識などを記憶する能力が向上し、脳の機能が回復され、問題解決能力や物事に取り組む意欲がアップし、心の安定が保たれるのだ。つまり睡眠こそが賢さと生きる力を育み、それが受験や習い事に真剣に立ち向かう子どもたちの大きな支えになるという。

これから夏に向け、特に中学受験を控える子どもとその親は、さらに長時間の勉強に取り組むことになり睡眠時間の確保に悩むことだろう。愛波氏ですら「完璧な育児なんて存在しない。子どもが夜更かしをすることも、早く寝なさいと声を荒げることもある」という。どんな家庭でも、毎日、子どもにとってパーフェクトな環境と睡眠時間を整えてあげるのは難しいこと。しかし、本書を参考に各家庭でできることから取り組むことで、少しずつ質の良い睡眠をとれるようになり、日中に学んだことの能力が発揮され、来年の冬には親子で納得のいく結果を手にすることができるようになっているはずだ。

文=知野美紀子

【著者プロフィール】 愛波あや 慶応義塾大学文学部教育学専攻卒業。外資系企業勤務後、拠点をアメリカ・ニューヨークに移し、2014年に米国IPHI公認資格(国際認定資格)を日本人で初めて取得。現在、PHI日本代表、Sleeping Smart Japan株式会社代表取締役。講演や子どもの睡眠に悩む保育者のコンサルテーションなど幅広く活動中。二児の母。著書に『ママと赤ちゃんのぐっすり本』(講談社)、『マンガで読む ぐっすり眠る赤ちゃんの寝かせ方』(主婦の友社)がある。

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