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成績優秀な子ども、素敵な旦那さん。何もかも持っているあの人が羨ましい… タワマンに住む家族のリアルな苦悩

  • 2024.6.6
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タワマンと聞くと、高所得でキラキラした世界の人が住んでいるとイメージする人もいるだろう。辺りを一望できるような景観で、まるでホテルのような設備に憧れを抱く人も多いかもしれない。しかし、タワマンに住んでいるからといって、みんながみんな「幸せ」ではないようで――。

『タワマンに住んで後悔してる』(窓際三等兵:原作、グラハム子:漫画/KADOKAWA)は、タワマンに住む3つの家族の苦悩が描かれた作品だ。キラキラした世界の裏側にあるリアルな悩みを見ると、他人と比較してマウントし合うことの虚しさを感じるだろう。タワマンの生活に興味がある人や、本作の3人の主人公のように小学生の子どもを持つお母さんは、1度読んでみてもらいたい。

本作は、3人の母の視点で物語が移り変わっていく。最初の主人公は、夫の転勤で九州から東京に引っ越してきた渕上舞。平凡じゃない幸せな生活を夢見て、上京をきっかけに憧れのタワマンの6階に住みはじめた。渕上家は小学5年生の息子・悠真と夫・大輔の3人家族で、専業主婦の舞は自分なりに精いっぱい家族の生活を支えていた。

九州でのびのびと育ってきた野球が大好きな悠真は、東京でも野球チームに所属することに。入団してすぐピッチャーとしてエースに抜擢され、大活躍を果たしていた。しかし、九州とは違い、東京のママ友たちはみんな夫の仕事や子どもの塾、受験の話ばかり。マウントの取り合いに慣れていない舞は、東京の暮らしに不安を感じていた。

そんな舞に優しく接してくれたのは、共働きで2人の子どもを育てるバリキャリ・瀧本香織。舞は美人でいつもおしゃれな香織や、成績優秀な子ども、素敵な旦那さんがいる瀧本家と自分を比べ、いつしか「うらやましい」と感じるように。

ここから物語は、タワマンの26階に住む2人目の母・香織の視点に移り変わる。一見キラキラして見える香織は、家事や育児のワンオペに加え仕事もこなすという限界寸前の生活を送っていた。美しく泳いでいるように見える白鳥が実は、目に見えない水面下で一生懸命足を動かしているのと同じなのだろう。家事や育児に非協力的な夫のせいで香織はひとりで育児や子どもの進路に思い悩んでしまい、2人の子どもたちも一緒に追い詰められていく。

一方、塾に通い始めた舞の息子は順調に成績を伸ばしており、小学6年生を目前に中学受験を強く意識しはじめていた。そんなとき、野球チームの練習で起きた子ども同士のケンカで息子が「お前なんて安い低層階に住んでるくせにっ!」といわれてしまう。周りの家族と自分たちを比較してしまった舞はマウントを取り合うママ友の一員になっていく。

そして物語は、低層階に住む舞や他の住人に対しマウントを取っていた、タワマンの42階に住む3人目の母・堀恵の視点に移る。専業主婦でお菓子作りが上手な恵はキラキラタワマン生活の象徴のような存在だったが、その裏にもさまざまな事情があるようで――。

舞が周囲の話に流され息子を「良い学校」に入学させようとしたことがきっかけとなり、少しずつ家族が歪んでいく。子どものやりたいことを制限してまで無理やり勉強させるのは、果たして本当に子どものためになるのだろうか。

本作を最後まで読めば、人からの評価ばかり気にするより大切なことがあるのだと思えるようになるはずだ。タワマンに暮らすキラキラした人たちの裏側にある悩みや葛藤を通して、家族にとって本当に大切なものとは何かを考えてみてもらいたい。

文=ネゴト/ 押入れの人

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