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森高千里が語る、ミニスカートが私を一番輝かせてくれる。【ロマンスはボリューム#02】

  • 2024.6.10
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森高千里のアイコンといえば、とびきり可愛らしい衣装。あのロマンティックな服は誰のために選ばれたものなのか?

「ミニスカートがステージ上の私をいちばん輝かせてくれる」

休む暇なくお客様のオーダーに対応するウェイトレスの気持ちを当時の自分に重ねた「ザ・ストレス」。アイドルとバンドブーム全盛の中でひとりの女の子が確かなインパクトを残した。

「あれこれそれ。あいつイライラするわ。関係ないセリフ、冗談じゃない。ストレスが地球をだめにする。ストレスが女をだめにする。ストレスが......」

「ザ・ストレス」でパフスリーブとミニ丈が印象的なウェイトレスのコスチュームを纏った森高千里は、愛らしい姿とは裏腹に当時の女性が抱く不満を強くストレートに歌った。本人は「17歳で上京して右も左もわからないまま活動を始め、うまくいかなかった時の気持ちを歌っただけ」と言うが、そのギャップで世の視線を釘付けにすることに。1987年のデビュー時はデニムセットアップやレザージャケットといった服を着ていた彼女が、後のパブリックイメージとなるガーリーな衣装を選ぶようになった理由をこう振り返る。

1990年にリリースされたシングル「臭いものにはフタをしろ!!」。当時流行したボディコンスタイルを取り入れたメリハリが利いたシルエットが印象的。

曲調に合わせて哀愁漂うバーで歌うシンガーをイメージした「SO BLUE」のジャケット写真。キュートなポルカドットのトップ×ボリュームスカートをモノトーンで統一してシックに。

「私はアイドルではなく本格派アーティストとも違う、その中間のような存在だったと思うんです。でもCMやドラマ出演などいろいろ経験していく中でいちばん好きだったのが、やっぱりステージで歌うことでした。デビュー当時は方向性を探っていて、コンサートでGジャンとジーパンを着ていた時期もありましたが、観客の後ろの方まで衣装がわかるように派手になっていったんです」

91年にリリースしたベストアルバム『ザ・森高』には、パフスリーブのジャケット×ミニスカートで登場。随所にあしらわれたスパンコールが煌めく。

アルバム『非実力派宣言』はチュールのスカート姿で。スラリと伸びる美脚こそ森高千里のアイコン。

自らの身を包む衣装に対して明確な意図を持つようになったのは、89年にリリースされ初のヒット作となった「17才」から。直前のコンサートで着たふわりと広がるフェミニンなミニスカートがとても好評だったため色違いで製作し、同作をテレビで披露する際に着用したことが、私たちが変わらず抱く"森高千里像"を定着させるきっかけとなった。「そこからミニスカートのシルエットを気にするようになりましたね。歌詞も自分で書いていましたし、歌手業を全うするうえで衣装が大切な要素のひとつだったんです」というこだわりは、脚が最も美しく見えるバランスを求めて数ミリ単位でスタイリストと調整を繰り返していたという逸話が何よりもその事実を物語る。

好評だったステージ衣装を複数のカラーバリエーションでリメイク。フリルジャケットとチュールスカートで、17才のピュアな女性像を表現。

「もちろん男性ファンの目線を意識した面もあったとは思いますが、テレビ番組に出演する際にミニスカートの衣装を要望されることにはジレンマを抱えていました。私としては曲の世界観と合わせたいのに、イメージがズレてしまうことがあるので......。でもミニスカートが似合う脚だと言っていただけることが想像以上に多くて、私自身もすごく好きだし、スタイルがよく見えることでより自分を大きく表現できるのなら、とポジティブに捉えていましたね」

2020年から22年まで開催された「この街」ツアーでは、空気をはらむように膨らむゴールドのスカートを着用。50歳を超えてニーハイブーツとのコーディネートを完璧にものにする姿が話題となった。80〜90年代の衣装をオマージュして製作する機会もあるという。

「『17才』を歌っていた時のような衣装はちょっと着づらい」と笑いながらも、デビューから37年を迎え、いまなお変わらぬミニスカート姿が度々ネットニュースやSNSで話題になるが、「現在の私をステージ上でいちばん魅力的に見せてくれるから」という理由も変わらない。あの時もいまもロマンティックな服は、森高だけでなく、すべての女性の身と心を最も輝かせてくれるものなのだ。

Chisato Moritaka
1969年生まれ、熊本県出身。87年にシングル「NEW SEASON」でデビュー。代表曲である「雨」、「私がオバさんになっても」、「渡良瀬橋」、「気分爽快」などを含む各作品が販売、配信中。現在は全国24カ所を巡るコンサート「森高千里2024『今度はモアベターよ!』」の真っ只中。

*「フィガロジャポン」2024年6月号より抜粋

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