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玄関の覗き穴から覗いているのは…誰? 自分にも起こるかもしれない身近な恐怖に、背筋が凍る

  • 2024.6.4
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怖い話の中でも「幽霊」や「ホラー」に比べて、日常の中に潜む恐怖や心理的な葛藤に焦点を当てた恐怖は「自分にも起こるかもしれない」不安も重なり、脳裏に残りやすい。『扉の向こうに誰かいる』(ちなきち/KADOKAWA)は、見えない現実がどれほど怖いかを描いたサスペンスマンガである。

著者はちなきちさん。SNSやブログに投稿しているマンガが話題で、フォロワー51万人を超えている人気ぶりである。黒をふんだんに使った「目だけ」「影だけ」のリアルな描写に、読者は怖いながらも続きが気になり、ストーリーに引き込まれる。

物語は、大学進学を機に単身上京した主人公・ちなが、ひとり暮らしをするところから始まる。初めてのひとり暮らしに胸を躍らせるちなだが、アパートでの生活に違和感を抱きはじめる。薄い壁から聞こえる隣の部屋の物音、不気味な視線、謎めいた出来事の連続に、ちなは次第に恐怖に包まれていく。

さらに、彼女の恋人であるAとの関係にも変化が訪れる。アパートでの恐怖に加え、恋人Aの奇行に、ちなの恐怖と苦悩が最高潮に達した時、彼女の生活が一変する衝撃の事実が明らかになる。

実際にありそうな事実に緊張感があり、読者は主人公と共に恐怖を体験する。一方で、主人公であるちなの心理描写や彼女の葛藤が丁寧に描かれている。読者は彼女の立場でストーリーを追うことで共感し、彼女の心情に共鳴することで物語に引き込まれるだろう。

読者がこの作品を読んだ際に感じるのは、身近にある恐怖といえる。違和感を覚えながらも見過ごしていたために起こる不幸な展開や不気味な出来事に、読者は怖さを感じながらも目が離せなくなるに違いない。

主人公が恋人との関係に葛藤したり苦悩する姿に共感しながら、彼女の生きる姿勢に勇気づけられるシーンもある。また、恐怖に立ち向かう姿勢や、自分を取り巻く環境に対する警戒心を呼び起こすきっかけにもなるだろう。作品を読むことで、読者は日常生活の中に潜む恐怖や心理的な不安に対する警戒心を高めることができる。また、恋愛や人間関係におけるトラブルに対する理解も深まりそうだ。

緊迫感のあるストーリーと、主人公の内面の描写が見事に融合したこの作品は、一度手に取れば一気に最後まで読んでしまうに違いない。そして、物語が終わった後も、読者の心に残るシーンや考えさせられるテーマが数多くあることも作品の魅力である。

文=ネゴト/ 松永つむじ

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