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あらゆるものから解放された自由な「スター・ウォーズ」!最新ドラマシリーズ「アコライト」前半戦1~4話ネタバレなし感想

  • 2024.6.4
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いよいよ明日、6月5日(水)より「スター・ウォーズ」(以下SW)の実写ドラマシリーズ最新作「スター・ウォーズ:アコライト」がディズニープラスで独占配信される。ジェダイ黄金期に“闇”が生まれる物語を描いた本作について、MOVIE WALKER PRESSでもコラムやレビューなどで特集予定だ。今回、全8話中の前半部分にあたる1~4話を先行視聴する機会に恵まれたので、ストーリーのネタバレなしで感想をお届けしよう。

【写真を見る】青いライトセーバーを振りかざすマスター・ソル。その先にあるものとは?

まっさらな気持ちで楽しめる、新鮮な「スター・ウォーズ」

銀河帝国誕生100年前、首都惑星コルサントにあるジェダイ聖堂 [c] 2024 Lucasfilm Ltd.
銀河帝国誕生100年前、首都惑星コルサントにあるジェダイ聖堂 [c] 2024 Lucasfilm Ltd.

まず前提として、「アコライト」の舞台設定は『スター・ウォーズ/ファントム・メナス(エピソード1)』(99)の約100年前。ジェダイ全盛期にあたる、いわゆる“ハイ・リパブリック”という時代だ。“レジェンズ”と呼ばれるSWシリーズ拡張世界のスピンオフ作品群やゲームなどでは一部描かれたこともあったが、実写映像でこの時代がしっかりと描かれるのは初めて。実際に本編を視聴すると、この意欲的な設定が実に新鮮だった。

『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(16)などのサイドストーリーや、「マンダロリアン」「キャシアン・アンドー」といったドラマシリーズは、カノン(正史)である劇場版の“狭間”を描いてきた。それらはシリーズの“らしさ”を担保する一方で“制約”にもなり得る。物語のピースとしてぴったりはまるものなのか、あのキャラやあの場所は登場するのか…といった事柄は、確かにファンの心をくすぐるが、一方でハードルとなっていたのも事実だ。

チューバッカ…ではなくて、ウーキー族のジェダイ・マスター、ケルナッカ [c] 2024 Lucasfilm Ltd.
チューバッカ…ではなくて、ウーキー族のジェダイ・マスター、ケルナッカ [c] 2024 Lucasfilm Ltd.

その点、本作はさりげない引用や目配せレベルでSWとしての一定のラインを保ちつつ、かなり自由に物語が紡がれていて、話がどう転ぶのか?という点に純粋にワクワクできた。ある種のくびきから解き放たれたようで、これほどのびのびとしたSWドラマはこれまでなかったのではないだろうか。決して誇張ではなく、まったくSWに触れたことのない人も独立した作品として楽しめるはずだ。

【写真を見る】青いライトセーバーを振りかざすマスター・ソル。その先にあるものとは? [c] 2024 Lucasfilm Ltd.
【写真を見る】青いライトセーバーを振りかざすマスター・ソル。その先にあるものとは? [c] 2024 Lucasfilm Ltd.

ちなみに、『ファントム・メナス』の約100年前という設定と“闇”が芽生えるというストーリーについて。『ファントム・メナス』で、ジェダイ評議員キ=アディ=ムンディの指摘した「シスは1000年前に滅びたはずだ」や、それに同意するメイス・ウィンドゥの「我々に気づかれず復活するなど」といったセリフとの整合性が気になっていたが、4話まで視聴した時点では、うまく矛盾しないようになっていると思われた。

あっけにとられる急展開、ジェダイの存在意義、そして家族…

ジェダイ殺人事件のキーマン、メイ役に抜擢されたのは、『ハンガー・ゲーム』などのアマンドラ・ステンバーグ [c] 2024 Lucasfilm Ltd.
ジェダイ殺人事件のキーマン、メイ役に抜擢されたのは、『ハンガー・ゲーム』などのアマンドラ・ステンバーグ [c] 2024 Lucasfilm Ltd.

肝心の物語はというと、第1話のアバンタイトルからいきなり、怒涛の急展開が待っている。「え?どういうこと?」と、あっけにとられているうちに二転三転。謎が謎を呼び、1話あたりの体感時間がかなり短く感じられた。軸となるのは「ジェダイ連続殺人事件」。誰が、なんのために、最強であるはずのジェダイを殺すのか?グイグイと引き込まれる。懐かしい組織名や場所も出てくるものの、基本的には聞いたことのない場所で展開するまったく見たことのない物語であり、プリクエルの流麗さとも、オリジナルの頑健さとも違った、どこか鈍重なスターシップのデザインなども好印象だ。

そして、前半から早くも、ジェダイの存在について考えさせられる場面が。ショーランナーのレスリー・ヘッドランドが「本作では悪者たちが弱者でジェダイが組織側になる」と語るように、ジェダイが何千人もいる時代。あるシーンで、ジェダイの行いは本当にすべて正しいのか?という思いにかられ、ふと『ファントム・メナス』で、ジェダイになるべくタトゥイーンを去るアナキンと別れ際の母シミの悲しい表情がよぎった。

コゴナダ監督作品でおなじみのジョディ・ターナー=スミスが演じるのは謎の力を持つキャラクター [c] 2024 Lucasfilm Ltd.
コゴナダ監督作品でおなじみのジョディ・ターナー=スミスが演じるのは謎の力を持つキャラクター [c] 2024 Lucasfilm Ltd.

さらに、SWシリーズといえば、一貫して“家族”がテーマとして描かれてきたが、それは今回の「アコライト」も変わらないようだ。『アフター・ヤン』(22)のコゴナダ監督がエピソード監督として起用されているのだが、それも納得。小津安二郎監督を信奉する彼がメガホンを執った3話は、紛れもなく家族の物語といえるもの (『アフター・ヤン』に母親役で出演していたジョディ・ターナー=スミスが“母親”として登場するのも印象的) だった。

印象的なキャラクターと、演じるキャストに魅了される

「イカゲーム」でエミー賞に輝いたイ・ジョンジェが、マスター・ソル役で出演 [c] 2024 Lucasfilm Ltd.
「イカゲーム」でエミー賞に輝いたイ・ジョンジェが、マスター・ソル役で出演 [c] 2024 Lucasfilm Ltd.

そんな本作のキャストの中では、ジェダイ・マスターのソルを演じたイ・ジョンジェが抜群の存在感を発揮している。イ・ジョンジェが「イカゲーム」で演じたソン・ギフンは情けなくもアツい男だったが、ソルは思慮深さを備え、落ち着いた物腰で、優しい笑みをたたえたキャラクター。その佇まいは、まるでクワイ=ガン・ジンや、ベン爺時代のオビ=ワン・ケノービをどことなく想起させ、人気キャラクターとなりそうだ。どうやらソルは“ある過去”の苦悩を抱えているようで、過去に執着しないはずのジェダイ(ちなみにルーカスの手掛けたEP4~6、EP1~3には“回想シーン”が登場しない)としてどうなっていくのかも今後見逃せない。

もちろん、主役を務めるアマンドラ・ステンバーグにも魅せられる。ネタバレ回避のためあまり多くは書けないが、彼女が扮するのは非常に複雑なキャラクターであり、アマンドラはその表現に果敢に挑んでいる。彼女の、時にクールで、時にキュートでもある表情にすっかり虜になってしまうはず。さらに、「マトリックス」シリーズのキャリー=アン・モスも。彼女がジェダイ・マスターのインダーラとして繰り出すアクションの身のこなしは、まさに「マトリックス」(それもトリニティではなくキアヌの演じたネオ)を思い出さずにいられない。

ナイフとライトセーバー、かつてないバトルシーン [c] 2024 Lucasfilm Ltd.
ナイフとライトセーバー、かつてないバトルシーン [c] 2024 Lucasfilm Ltd.
「マトリックス」シリーズでおなじみのキャリー=アン・モスがSWに初参戦! [c] 2024 Lucasfilm Ltd.
「マトリックス」シリーズでおなじみのキャリー=アン・モスがSWに初参戦! [c] 2024 Lucasfilm Ltd.

今回先行視聴したのは、全8話の折り返しとなる4話までだが、早くも5話の配信が待ち遠しくなる展開になっている。「アコライト」がどんな仕上がりなのか、まずは6月5日配信の初回2話でチェックしてみてほしい。そして繰り返しになるが、SWにまったく触れたことのない人にもぜひオススメしたい。

文/編集部

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