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「○○君はすごいね」と"さしすせそ"で褒めるのは全然ダメ…相手を痺れさせる最高の褒め言葉

  • 2024.6.4
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相手をすごいと思う気持ちを伝えるにはどうすればよいのか。モチベーション&コミュニケーション代表の桐生稔さんは「直接褒めるのが苦手なら、直接褒めなければいい。間接的に事実に触れるだけで、実は直接褒められるより言われた方は嬉しい」という――。

※本稿は、桐生稔『提案・指示・交渉・雑談・プレゼン・会議etc.あえて話さない戦略』の一部を再編集したものです。

直接褒めるのが苦手なら直接褒めなければいい

日本人は褒めるのが苦手だといいます。

本当はすごいと思っているのに素直に口にすることができなかったり、夫婦、親子、上司部下、先輩後輩など、身近な人ほど照れがあって褒めるのが恥ずかしかったりするからかもしれません。

また「初対面の人にいきなり褒めたら、うさんくさいと思われそう……」、そんな声もよく聞きます。

そのため当スクールでは、受講生に、こんなことをお伝えしています。

「直接褒めるのが苦手なら、直接褒めなければいい」と。

「何を言っているの?」と思われそうですが、最後まで聞いてもらえると、きっと理解していただけるはずです。

手で顔のあたりをおさえる顔のない人
※写真はイメージです
間接的に褒める

例えば、部下を褒めるとき。

直接褒める場合は「○○君、すごいね」「○○さん、がんばっているね」というストレートな表現になりますが、褒めるのが苦手な人や、照れや恥ずかしさがある人はなかなか言えません。

そこで、直接的にではなく、間接的に褒めるのです。

「○○君は、たとえ忙しくても納期は必ず守るもんね」
「○○君は、どんな難題でも受けたことは最後までやり切るからね」
「○○さんは、契約数が増えているのに行動量がぜんぜん落ちないね」

と。

これは間接的に事実に触れているだけです。

直接褒めてはいませんが、こっちのほうが、言われたほうは嬉しいです。

なぜなら、事実に触れるというのは、相手のことをちゃんと見ていないと伝えることができないからです。

『さしすせそ』で褒めればよいのか

相手は「自分のことをちゃんと見てくれている」と感じます。そして自分のことを見てくれている人の言葉を信用します。ここで簡単な例です。どちらが相手のことをよく見ているでしょうか?

◆例1 よく気が利く人に対してく
A「さすがだね」
B「なんでそんなに周りのことがよく見えているの?」
◆例2 頭の回転が速い人に対してく
A「頭がいいですね」
B「どうしたらそんなにいろんなことを同時に考えることができるんですか?」
きっとどちらもBではないでしょうか。

Bは相手のことをよく見ていないと発することができない言葉です。

「褒めるときの『さしすせそ』」なんてことがよく言われます。

さ=さすが、し=知らなかった、す=すごい、せ=センスあるね、そ=尊敬します。

そんな言葉は、相手を見ていなくても言える言葉です。

歯の浮くような言葉を連発しても、「本当にそう思っているの?」と疑われます。

残念なのは、褒めることが苦手な人ほど、「褒めるときの『さしすせそ』」みたいな言葉を仕入れることに必死になっていることです。

課題はそこではありません。相手のことをちゃんと見ることです。

とても明るい人がいたら、その人と、その人がいる場を見て、自分が何を感じるか、自身に問うてみてください。

単純に「○○さんは明るいですね」という言葉ではなく、「○○さんは存在感がありますね」「○○さんがいると、その場の雰囲気が変わりますね」「○○さんの周りの人はみんな笑顔ですね」と、その人をありありと感じる表現に変わると思います。

3Dピクセルアートで描かれた親指を立てる記号
※写真はイメージです
痺れた褒め言葉

昔、私が上司から言われて嬉しかった言葉があります。

「お前は最終コーナーでまくるタイプだからな」と。

どれだけ遅れを取っても、最終的には全員ごぼう抜きして1位になるのがお前だと。

痺れました。そんなところまで見てくれていたんだと。

人間には、誰しも得手不得手があります。褒めるのが苦手な人もいます。

そんな人ほど、通り一遍の褒め方より、まずちゃんと相手と向き合うことからはじめてください。

きっとこれまでと違う「相手との心の距離」を感じるはずです。

あえて間接的に褒めるほうが響く

しゃべるのをやめる

相手に気持ちよく話してもらうには、どうしたらいいでしょうか?

それは「しゃべるのをやめる」ことです。

日常では、仕事の話だけではなく、ちょっとした雑談や何気ない会話も存在します。

例えば、会社のエレベーターで同僚とバッタリ会ったり、営業先に向かう途中、上司と2人きりで移動したり。

はじめましての人との会話も、ちょっとした地域のコミュニティに参加するときも、他愛もない会話で互いの関係性を育むことがあります。

そんな場面で、マシンガンのようにしゃべりまくる人がいたら……。

聞いているほうはきっと居心地が悪いでしょう。

「おしゃべり」という言葉は、決していい意味では使われません。

私はこれまで雑談力の本を3冊書いてきましたが、これはハッキリ言えます。

会話がはずむポイントは、「自分がしゃべるのをやめて、相手にしゃべってもらうこと」だと。

「しゃべるのをやめる」と言いましたが、ずっと無言でいることではありません。

相手から会話を引き出すことです。

カウンセリングを受ける女性の手
※写真はイメージです
会話を引き出すポイント

会話を引き出すポイントは3つの循環を意識すること。

1.質問する

2.リアクションする

3.フィードバックする

具体的にはこうです。

質問「おはようございます。先輩、最近忙しそうですね?」
リアクション「えっ! そんなにたくさん仕事を抱えているんですか」
フィードバック「先輩、相当タフですね」

何気ない会話ですが、質問して、相手の回答にリアクションをし、自分の感想をフィードバックする。これだけで、また相手が何か話してくれます。

質問「はじめまして。今日はどちらからお越しになられたんですか?」
リアクション「山梨からですか!」
フィードバック 「私も一度行ったことがあるのですが、本当にいいところですよね」

こんな感じで、質問→リアクション→フィードバックを通じて相手から会話を引き出します。

この3つがないと、

・質問されない=興味を持たれていないと感じる

・リアクションがない=話を聞いていないと感じる

・フィードバックがない=何を考えているかわからない人だと感じる

相手にこんな印象を与えてしまいます。

3つの循環を意識する

「質問やリアクションが大事なのはわかっているのですが……。それでもなかなか会話が弾まないです……」という方もいます。

その理由は明確です。

ひとつずつを単体で捉えているからです。

さきほど「3つの循環を意識する」と言いました。

ここが雑談の核です。3つがつながっているからこそ会話が発展します。

さきほどの先輩との会話の続きです。

質問「ちなみに先輩って仕事を断ることはないんですか?」
リアクション「ないんですか!」
フィードバック「ときどき先輩の体が心配になりますよ(笑)」

質問「休みとかはちゃんと取っているんですか?」
リアクション「しっかり取っているんですね!」
フィードバック「そういうところ私も見習わないと」

質問「ところでどうやって休みを確保されているんですか?」

というふうに、「Q質問→Rリアクション→Fフィードバック」をぐるぐる循環させるとスパイラル上に会話が広がっていきます。

質問「やっぱり山梨といえば富士山に登る人が多いんですか?」
リアクション「えっ! 地元の人はあまり登らないんですか!」
フィードバック「私、登山が趣味なんで一度は登ってみたいんです」

質問「○○さんも何かハマっていることとかあるんですか?」
リアクション「ゴルフをはじめたんですか!」
フィードバック「いいな~、いずれ私もやってみたいと思っていたんです」

質問「やっぱり最初はゴルフの打ちっぱなしからはじめるのがいいですか?」

という感じでQ→R→Fで会話を波及させていきます。

会話がはずむQRFスパイラル
桐生稔『提案・指示・交渉・雑談・プレゼン・会議etc.あえて話さない戦略』(大和出版)p163より
人は誰でも自分のことをわかってほしい

人は自分の話をさせてくれる人に好意を抱きます。

桐生稔『提案・指示・交渉・雑談・プレゼン・会議etc. あえて話さない戦略』(大和出版)
桐生稔『提案・指示・交渉・雑談・プレゼン・会議etc. あえて話さない戦略』(大和出版)

誰だって自分のことをわかってほしいし、理解してほしいからです。

だからこそ一流のコミュニケーターは、相手から会話を引き出し、相手に気持ちよく話してもらい、ちょっとした雑談の場ですら、楽しい空間を演出します。

常に軸を相手に置いています。

改めて思います。

良質な人間関係の極意は相手がしてほしいことをすることだと。

あえてしゃべらず相手から会話を引き出す

桐生 稔(きりゅう・みのる)
モチベーション&コミュニケーション代表取締役
1978年生まれ。新潟県出身。2017年、「伝わる話し方」を教育する株式会社モチベーション&コミュニケーションを設立。日本能力開発推進協会メンタル心理カウンセラー、日本能力開発推進協会上級心理カウンセラー、一般社団法人日本声診断協会音声心理士。著書に『10秒でズバッと伝わる話し方』(扶桑社)、『雑談の一流、二流、三流』、『質問の一流、二流、三流』(ともに明日香出版社)がある。

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