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笑うと「歯茎」が目立つ…「ガミースマイル」はなぜ起こる?歯科医師に聞いて分かった“4つの原因”

  • 2024.6.4
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「ガミースマイル」になってしまうのはどうして?
「ガミースマイル」になってしまうのはどうして?

笑ったときに歯茎が大きく見え過ぎてしまう状態を指す「ガミースマイル」という言葉があります。「チャームポイント」「かわいい」という声もありますが、「恥ずかしい」「気になって思い切り笑えない…」と気にする人は少なくありません。歯並びに問題がある人だけでなく、歯並びがきれいな人にもみられることがあるようですが、なぜ「ガミースマイル」になってしまうのでしょうか。千葉センシティ矯正歯科(千葉市中央区)院長で歯科医師の石川宗理さんが解説します。

「3ミリ以上の歯茎の露出」が基準

「ガミースマイル」とは、自然な笑顔の状態で上顎の歯茎が強く露出する状態のことです。医学的な基準としては、歯科医師や論文によって多少の差がありますが、「笑ったときに3ミリ以上の歯茎の露出がある」場合に、ガミースマイルとして捉えることが多いです。笑ったときに1~2ミリ程度の歯茎が見えることは問題ありません。

ガミースマイルの原因は、大きく次の4つに分けられます。

(1)歯茎自体が問題となるもの ・薬物や炎症、全身疾患に伴う「歯肉増殖症」・生まれつき「付着歯肉」と呼ばれる歯茎の部位が長い

(2)唇が問題となるもの ・笑うときに上唇を持ち上げる筋肉が、過度に発達している ・唇自体が薄い

(3)歯が問題となるもの ・前歯が下方に出ている ・歯列のでこぼこによって、一部の前歯が内側に入っている

(4)骨格が問題となるもの ・骨格的に上顎が前方に出ている ・骨格的に上顎が下方に伸びている

基本的には、これらが単体で生じることは少なく、原因が複合的に重なってガミースマイルとなることが多いです。

また、ガミースマイルになりやすい人の特徴として、医学的な根拠は弱いですが、1999年に海外で発表された論文では、「アジア人は白色人種に比べると、スマイルライン(笑ったときの上唇の位置)が高い」「35歳以下」「男性よりは女性に多い」という報告があります。

なお、ガミースマイルは「歯並びがいい人」にもみられることがあります。先述の(1)(2)(4)に関しては、歯並びがよい状態でも起こり得ます。歯茎や唇といった軟組織、骨格自体の問題のためです。

そのままにしておいても問題ない?

ガミースマイルは改善した方がよいのか、それとも、そのままにしておいても問題ないのか――。悩む人もいると思います。

審美・美容的な面を除くと、ガミースマイルそのものが大きく健康面に影響することはありません。しかし、骨格的に口が閉じづらい場合は口呼吸になりやすいため、口が乾きやすくなり、虫歯や歯周病のリスクが上昇します。また、上顎が前方にある場合は外傷によって前歯をぶつけてしまうリスクが上がります。このような、ガミースマイルそのものというよりも、その“原因”によって生じるリスクには注意が必要です。

ガミースマイルの治療を希望する場合、問題別に次のような治療方法が挙げられます(注意していただきたいこととして、次の処置はあくまでアプローチ方法であり、処置自体を医療的に推奨するものではないことをご了承ください)。

【歯茎自体が問題となるもの】 ・薬物や炎症、全身疾患に伴う「歯肉増殖症」の場合……治療によって歯肉の増殖を改善させる ・生まれつき「付着歯肉」が長い場合……精査により、歯茎の切除や、必要に応じて歯茎の下の骨の削去を行う

【唇が問題となるもの】 ・笑うときに上唇を持ち上げる筋肉が、過度に発達している場合 (1)ボトックス注射を行う(3~6カ月の効果) (2)上唇と歯茎を内側で縫い、物理的に上がらなくする ・唇自体が薄い場合……ヒアルロン酸注射を行う

【歯が問題となるもの】 ・前歯が下方に出ている場合……矯正治療によって前歯を上方に持ち上げる ・歯列のでこぼこによって、一部の前歯が内側に入っている場合……矯正治療によって歯列を整える

【骨格が問題となるもの】 ・骨格的に上顎が前方に出ている場合 (1)顎の手術を行い、上顎を後方に下げる (2)矯正治療によって前方に出た歯を後方に下げる

・骨格的に上顎が下方に伸びている場合 (1)顎の手術を行い、上顎を上方に上げる (2)矯正治療によって、歯を上方に上げる

先述した通り、ガミースマイルが単体の原因で起こるケースは少なく、また機能的に問題がない場合もあるため、非可逆的な処置に関しては、しっかりとした判定と患者さんの意向が大切になります。特に、歯茎や歯槽骨の切除、被せもの、手術、矯正治療による全体的な歯の上方移動などはかなり非可逆なものとなるため、メリットやリスクを事前にしっかりと考えていくことがとても重要です。

オトナンサー編集部

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