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「”闇落ち”すらも…」妻夫木聡が出演する最高の映画(3)。なぜ、なぜ…? 新境地を開いた名作

  • 2024.6.4
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主演の妻夫木聡【Getty Images】

数々の映画やドラマで主演を務めている妻夫木聡。1998年にテレビドラマ「すばらしい日々」で俳優デビューして以来、着実にキャリアを積み重ね、名実共に現代の日本映画界になくてはならない名優となった。そんな彼の、今一度振り返りたい出演作を5本セレクトした。今回は第3回。(文:ZAKKY)

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『悪人』(2010)
監督:李相日
原作:吉田修一
脚本:吉田修一、李相日
キャスト:妻夫木聡、深津絵里、満島ひかり、岡田将生、柄本明

【作品内容】

日本アカデミー賞、モントリオール国際映画祭などで高い評価を得た、ヒューマンドラマ。原作は吉田修一の長編小説であり、人間の内に秘める善と悪の感情について、繊細かつ大胆に追求している。

殺人を犯してしまった清水祐一役の妻夫木聡と、彼を愛してしまい逃避行へと誘う馬込光代役の深津絵里。「なぜ、殺したのか」「なぜ、愛したのか」。全編を漂う不穏な空気に目を奪われる。

これまでの爽やかなイメージを裏切る「悪人」を演じたことによって、役者人生におけるターニングポイントとなった作品である。容姿は良いが、口下手。妻夫木の芝居は、そんな原作の主人公像に驚くほどマッチしている。本作の製作を聞きつけた妻夫木が「この役をどうしてもやりたい」と志願したというエピソードは有名だ。

たどたどしい口調と、殺人を犯すシーンの鬼気迫る表情のギャップには戦慄が走る。例えば、車のハンドルに頭をぶつけながら、慟哭するシーンでは、感情をうまく表現できないゆえに、苦悩する内面が繊細に表現されている。

主人公は「悪人」であるとは言え、かつては「善人」であった。限りなくグレーな領域でもがく妻夫木の姿を堪能でき、何とも言えないカタルシスを味わえること請け合いの一品である。

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