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これ以上好きにさせないでくれ…松下洸平&井之脇海が女心を掴んで放さないワケ。ドラマ『9ボーダー』第7話考察&感想レビュー

  • 2024.6.4
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『9ボーダー』第7話より ©TBS

川口春奈がTBS金ドラ初主演。木南晴夏&畑芽育と3姉妹役を演じるドラマ『9ボーダー』。19歳、29歳、39歳…各年代のラストイヤーで、3姉妹がモヤり、焦りながら、自分の生きる道を模索するヒューマンラブストーリー。今回は第7話のレビューをお届けする。(文・菜本かな)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:菜本かな】
メディア学科卒のライター。19歳の頃から109ブランドにてアパレル店員を経験。大学時代は学生記者としての活動を行っていた。エンタメとファッションが大好き。

『9ボーダー』第7話より ©TBS
『9ボーダー』第7話より ©TBS

三姉妹の弟・九吾(齋藤潤)が、大庭家で暮らし始めた『9ボーダー』(TBS系)第7話。おおば湯リニューアル計画に断固反対していた父・五郎(高橋克実)も渋々(?)納得してくれて、三姉妹は新たなフェーズに突き進んでいくことに。

【写真】松下洸平、井之脇海の柔らかい笑顔に癒される…劇中カットはこちら。ドラマ『9ボーダー』劇中カット一覧

順風満帆かのように見えるが、気がかりなのは七苗(川口春奈)の恋人・コウタロウ(松下洸平)のこと。戸籍を作るための書類を出してくると言いながら、しまったままにしていたのも怪しいし、オレンジペコを注文したことがない朔(井之脇海)に、「いつものオレンジペコ?」と質問していたのも謎すぎる。

ただの間違いならそれでいいのだが、“オレンジペコ”というフレーズを出してしまったあとのコウタロウは、「やべっ」と焦るような表情をしていた。もしかすると、記憶が戻ってきているのだろうか。

しかし、今週も乙女心をつかむ模範解答を叩き出してきたコウタロウ。豪雨のなか、七苗がひとりで家にいると知って、すぐに駆けつけてくれただけでも「惚れてまうやろ〜!」案件なのに、「怖くない」と強がっているのを察知して、「嘘、本当は怖い?」と優しく本音を引き出してくれるのがズルい。

『9ボーダー』第7話より ©TBS
『9ボーダー』第7話より ©TBS

思い返せば、2人の距離がグッと縮まったのも、「寂しくない」と強がる七苗に、コウタロウが「嘘、本当は寂しい?」と問いかけてからだった。

痩せ我慢をしてしまう七苗にとって、「怖い」「寂しい」と本音を吐露させてくれるコウタロウは、かけがえのない存在なのだろう。強さを引き出してくれる人はたくさんいても、弱さを引き出し、その弱さを理解しようとしてくれる人には、そう簡単に出会えるわけじゃない。

「約束しよう。これからは、本当のことを言う。遠慮はなし」

“これから”もずっと一緒にいるつもりの2人だが、さよならをしなければならない日が着々と近づいている予感がする。

八海(畑芽育)がSNSに投稿したコウタロウの動画を見た人から届いた「ギターを弾いている人(=コウタロウ)を知っています」「うちの兄に似ています。会いたいです」というメッセージ。これまでベールに包まれてきたコウタロウの過去がついに明らかになるのだろうか。

最初は、はやく正体を知りたいと思っていたはずなのに、コウタロウのことを好きになりすぎてしまったからか、本当のことを知るのがちょっぴり怖い。いまのコウタロウは、ピュアで優しくて、どうしようもないくらいに七苗を愛している。

それなら、過去のことなんてどうでもいいじゃん……という気持ちもあるが、人間にはみんな過去があり、その歴史には抗えない。今はただ、どうかいい人であってくれと願うのみだ。

『9ボーダー』第7話より ©TBS
『9ボーダー』第7話より ©TBS

恋をするって、楽しいことばかりじゃない。誰かを好きになると心を乱されるし、相手がいるものだから自分の気持ちだけではどうにもならなかったりする。

だからこそ、大好きだった夫と別れることになった六月が、「また誰かに期待して、傷つけられたら怖い」「恋なんて有効期限があるものに振り回されたくない」と“セルフハッピー”な生き方を選択しようとしているのも痛いほどよく分かる。そうすれば、人生の舵を他人に委ねなくてすむ。期待をしなければ、裏切られることもない。でも、やっぱりどこか寂しい。

長年連れ添った夫を失った喪失感を抱えながら踏ん張っているときに、まっすぐに愛をぶつけてくれる人がいたら、惹かれるのは時間の問題ではないだろうか。六月の心にぽっかりと空いた穴を、たっぷりの愛情で満たそうとしてくれている朔。

しかし、六月は彼を受け入れない理由ばかりを探していた。上司だからとか、バツイチだとか、もう傷つきたくないとか。

でも、朔が怪我をして入院したことを聞き、部屋着のまま慌てて家を飛び出したとき、六月は本当の気持ちに気づいたのだろう。もう、傷つくかもしれないから……と身を引けるような段階ではない。また傷ついてもいいから、朔の胸に飛び込みたいと思うくらいに、愛が膨らんでしまっているのだ。

『9ボーダー』第7話より ©TBS
『9ボーダー』第7話より ©TBS

「せっかく、理由探してたのに。あなたを受け入れない理由。なんで超えてくるの?」

元夫の前ではなかなか素直になれなくて、強気な自分ばかりを見せてきた六月。不倫をされた挙句に離婚を言い渡されたときだって、すがりついて泣くようなか弱い女を演じることはできなかった。

最後まで、“あなたなんていなくても生きていけるのよ”と言わんばかりの笑顔を見せることしかできなかった六月が、朔の前では素直な自分でいることができている。それはきっと、朔がどこまでもまっすぐな人だから。

「いいんですか? そんなこと言われたら、もっと好きになりますよ」

そう言ったときの朔の顔があまりにもピュアで尊くて。もう、最悪この人になら騙されてもいい。どこまでも信じて、とことん好きになってしまえばいい。傷つくことを恐れていた六月が、傷ついてもいいから……と思うくらいに好きな人と出会うことができた。

恋をするって、楽しいことばかりじゃない。でも、どうしようもなく幸福な気分にさせてくれるのも、また恋なのかもしれない。

(文・菜本かな)

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