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海外で絶賛された日本のドラマは…?世界進出に成功した名作(3)日本激震の40%超…アジアでも流行したのは?

  • 2024.6.4
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堺雅人【Getty Images】

国外ではあまり認知されているイメージのない日本のドラマだが、日本国内以上に高い人気や評価を獲得した作品も存在するようだ。中には海外での視聴率が90%に達した日本の朝ドラや、リメイク版がハリウッド映画化されるほどの出世を果たした作品も。今回は、そんな海外でも評価されている日本のドラマ作品をご紹介する。第3回。(文・寺島武志)

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『半沢直樹』
放送期間:2013年7月7日~9月22日
放送時間:日曜 21:00~21:54
放送局:TBS系
原作:池井戸潤
脚本:八津弘幸
最高視聴率:42.2%
キャスト:堺雅人、上戸彩、及川光博、滝藤賢一、笑福亭鶴瓶、志垣太郎、香川照之、片岡愛之助、北大路欣也、古田新太、段田安則、吉田鋼太郎、岡山天音、石丸幹二、宮川一朗太、中島裕翔

【作品内容】

メガバンク「東京中央銀行」に入行したバブル世代の銀行員・半沢直樹(堺雅人)が、銀行内での出世争いや銀行上層部による不正の告発、さらにそれによる圧力に屈さずに奮闘する姿を描いている経済ドラマ。

元三菱銀行の行員だった池井戸潤の原作による、リアリティーたっぷりのストーリーが人気を呼び。半沢の決めゼリフ「やられたらやり返す、倍返しだ!」は流行語にもなった。

【注目ポイント】

本作は実のところ、TBS内でさえも期待されていたわけではなかった。中年男性だらけのキャストに、テーマソングもなし。恋愛要素も皆無で、ひたすら銀行での“コップの中の嵐”を描いたストーリーとあって、視聴率で苦戦するだろうという見立てがなされていた。

しかし、始まってみると実力派俳優たちの演技合戦、善悪の分かりやすさ、半沢による勧善懲悪ストーリーが、「自分もこうありたい」と半沢にシンパシーを感じたビジネスパーソンに受け入れられ、視聴率は右肩上がりで、最終回の視聴率は40%超えを果たし、2020年には続編も製作された。

TBS系での放送終了後、台湾や中国、韓国、米国にも番組が販売され、特に台湾では、日本語チャンネル「緯来日本台」で放送されると、開局以来最高視聴率を記録。中国でもブームを起こし「倍返し」が流行語となる。

その要因としては、香川照之、市川猿之助、尾上松也、片岡愛之助という歌舞伎役者をキャストに加え、「顔芸」とも呼ばれた演出も一役買っている。反面、この“オーバーアクション”ともいえる彼らの演技は、米国では受け入れられず、海外でのブームは東アジア圏にとどまっている。

企業文化や商習慣の違いも、会社で不本意な扱いを受ければ、何のためらいもなく転職する米国人には理解できないことも理由だろう。

また、他の日本のテレビドラマとの違いを挙げれば、「テンポの良さ」も外せない。個人的に、海外で日本のドラマが売れない理由の1つがテンポの遅さにあるのではないかと考えているのだが、本作はその点において全く問題ない。日本のみならず、東アジア圏で受けた理由はそこにあると筆者は考える。

しかし、本作はあくまで、日本のテレビ局が製作した日本人視聴者向けのドラマだ。人口が日本の半分以下の韓国のように、初めから“輸出”を意識した作りにしたとしたら、これほどまでの人気シリーズになっただろうか。ベクトルをどちらに向けるかで、結果は全く違ったものになっていたかもしれないのだ。

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