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タバコって目にも影響するって知っていた?いわみ眼科院長の岩見先生に伺いました!

  • 2024.6.3
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毎年、5月31日は、世界保健機関(WHO)が定めた「世界禁煙デー」です。
また、厚生労働省では、5月31日から6月6日までの1週間を「禁煙週間」と定めています。

タバコが体に悪いということを知らない方はいないと思います。
肺や器官、歯にヤニがつくなどはイメージできる方も多いと思いますが、実は目にも影響があるってご存じですか?
今回は、いわみ眼科院長の岩見久司先生にタバコと目の関係についてお話を伺いました。

タバコって、お金もかかるし、煙や臭いは周囲に気も使うのに、なかなかやめられませんよね。
でも、そもそもどうして吸いたくなるのか、なぜやめられないのか、考えたことはありますか?

眼科医である私がまとめてみました。

タバコはある意味ドラッグ?タバコがなかなかやめられない理由

喫煙とはタバコの葉を燃やす、あるいは熱することで生じた煙を吸い込むことです。
煙の中には主にニコチン、タール、一酸化炭素といった化学物質が含まれます。
ニコチンは喫煙後速やかに脳に作用して、ドーパミンという快楽物質を生じます。
この作用は一瞬で消えますが、その一瞬に快楽が伴います。
この作用でスカッとしたり、気持ちが落ち着いたりします。
しかしこの快楽に慣れてしまうと、体と心がドーパミンによる快楽をもっと欲しがってしまいます。
そして喫煙が習慣化し、喫煙回数も増えていくのです。
さらにニコチンの作用が切れると、イライラしたりするいわゆる禁断症状を自覚するようになります。
文献によれば、ニコチン依存症の禁断症状の強さは麻薬のひとつであるコカインよりも強力とされています(出典:NicotineAddictioninBritain:AReportoftheTobaccoAdvisoryGroupoftheRoyalCollegeofPhysicians.RCPLondon(2002))。

全身への影響

タバコの体への影響としては、発がん、動脈硬化、酸欠です。
発がんは特に煙の通り道に多くがんが生じ、特に有名な肺がんが4.5倍、喉頭がんに至っては32.5倍になるといわれています。
それだけでなく全身のがんのリスクが高まるとされています。
動脈硬化は血管のダメージそのものを意味し、心筋梗塞や脳卒中(脳出血や脳梗塞)を増やします。
一酸化炭素による酸欠は妊娠時の胎児への悪影響を与えることもはっきりしています。
これ以外に肺をボロボロにしてしまう慢性閉塞性肺疾患(COPD)にもなります。
少し前になりますがCOPDで酸素吸入をしながらテレビに出演されていた噺家の桂歌丸師匠も、ヘビースモーカーだったといわれています。
これらをまとめてハッキリ書くと、寿命が縮むということです。

眼への影響

私は眼科医なので眼への影響も述べさせてください。
有名どころでは日本の失明原因の4位である加齢黄斑変性に数倍なりやすくなるといわれています。
歌手の和田アキ子さんが加齢黄斑変性の治療をおこなっていることをテレビで告白されていました。
彼女は今は禁煙されていますが、それまではヘビースモーカーとして有名でした。
失明原因1位である緑内障も、まだ諸説あるものの喫煙が進行を早めるのではといわれています。
40歳以上の50人に1人がなると言われる網膜静脈閉塞症も増加します。
これは簡単にいうと目の中の脳卒中と同じです。
白内障にも悪影響を与えるといわれています。
これもまとめると、タバコを吸っているとそのうち眼が見えなくなる、ということです。

禁煙への近道

以上をまとめると、タバコはニコチンによる強い依存性によって止め難く、しかもタバコを吸い続けると発がんや動脈硬化で体が悪くなり、眼も見えなくなる、ということになります。
ニコチン依存症は自力で治すのは至難の業であり、基本的には禁煙外来に通うのが近道になります。
タバコの煙は、受動喫煙といって周りの人にも悪影響を与えることもわかっています。
あなたに守るものがあって、タバコがやめられないと思っているなら、禁煙外来にすぐいきましょう。

[執筆者]


岩見久司先生
いわみ眼科院長
大阪市立大学医学部卒
医療法人社団久視会 いわみ眼科理事長
眼科専門医・レーザー専門医
医学博士
兵庫医科大学非常勤講師

1日100人を超す外来をこなしながら、若手医師の教育や医師・医療関係者向けの講演も頻繁に行っている。
加齢黄斑変性や糖尿病網膜症などを得意とする網膜内科医。
網膜の病気に将来繋がっていく可能性のある小児の近視が現在急増しており、近視治療にも積極的に取り組んでいる。
令和5年度より、「100歳まで見える目」をたくさんの方が持てるように啓蒙活動を展開している。

いわみ眼科チャンネル(youtube)https://www.youtube.com/@dr.iwami911eye

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