姉を見下し、なんでも奪おうとする妹。ついには結婚相手まで寝取ろうとし…!? 因果応報スカッとマンガ

血がつながっているからこそ、1度壊れた関係は元に戻らない。家族だからこそ許せないこともある。

しろみさんの描くマンガ『なんでも横取りする妹が嫌い』（KADOKAWA）は、あらゆる物を横取りする妹のことが心底嫌いな姉が主人公の物語だ。自分よりかわいがられている妹のせいで嫌な思いをしたことがある人なら、きっと共感の嵐だろう。ちやほやされることと人を見下すことが大好きな妹が地の底まで落ちていくので、「ざまぁ展開」を楽しみたい人には特におすすめな作品だ。

主人公のユイは、妹のリカになんでも横取りされる人生を歩んできた。リカは目が大きくかわいらしい顔立ちをしていると人から褒められてきたことで、とにかく傲慢な人間に育ってしまった。ユイのことを自分より容姿が劣っていると見下し続け、ユイのお気に入りの物を欲しがったり壊したりする。もちろん、それが悪いことだなんて微塵も思うことはない。

ユイの物を横取りする行動は物だけには留まらず、ユイの彼氏を奪っては捨ててしまうようになる。

リカはユイの物だけでなく、他の人の物もかわいい自分が奪って当たり前だと思う歪んだ性格になってしまった。その結果、リカは大きく人の道を踏み外し、転落人生を歩むことになる。大学生になったリカは、不倫を正当化してハイスペックだと思った人の夫まで横取りしようとしたのだ。

間違っているのは自分でも不倫相手・キョウヘイでもなく、別れてくれない奥さんだというリカ。他責思考もここまで来ると、一周回って清々しさを感じてしまう。「これは不倫じゃなくて…2人が一緒になるための大切な期間なんだよ！」と自己正当化するリカに、ユイは呆れ果てていた。

どこまでも自己中心的なリカはキョウヘイの家に乗り込み、妻のマナミに別れてほしいと説得する。正妻を見下しマウントを取るために不倫の詳細を事細かに説明するとは、どうぞ訴えてくださいといっているようなものだろう。自分が悪いとは欠片も思っていないリカの要求にため息を吐きながら、マナミはその証言を不倫の証拠としてすべて録音していた。

リカの説得という名の自白やキョウヘイの残した証拠により、不倫の制裁を受けることになったふたり。実はエリートではなくフリーターだったキョウヘイは、自身の不倫や暴力が原因で離婚となり仕事も家族も失うことに。リカも不倫の事実を家族に知られてしまい、父からは厳しく叱責されることになる。

まるで地獄のような状況になっても、リカの「自分は悪くない」という考えが揺らぐことはなかった。そして、今度は自分と対照的に結婚して幸せになろうとするユイを妬み、これまでの彼氏のようにユイの夫のことも奪おうとして――。

いつも他責思考で人を見下して生きているリカは、ここから一方通行の転落人生を歩んでいくことになる。誰かの物を横取りすることでしか自分を満たせない人間は、どんなに努力しても幸せになれないのだろう。リカが真っ逆さまに地の底へ落ちていく展開にスカッとできるだけでなく、「こうだけはなりたくない」と思える反面教師のような作品だ。

リカのような妹に苦しんだ経験のある人は、本作を読んでリカのざまぁすぎる転落人生にスカッとしてストレス発散してもらいたい。

文＝ネゴト/ 押入れの人