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この間0.3秒!なぜルービックキューブを瞬速で揃えられる人たちがいるのか?

  • 2024.6.2

誰もが一度は触ったことのある「ルービックキューブ」は、子供から大人まで、世界中で高い人気を誇ります。

ルービックキューブを揃える速さを競う「世界ルービックキューブ選手権大会」が開かれるほどです。

しかし、どんなに訓練されたキューバー(愛好家の名称)であっても、ロボットに勝つことはできません。

現在世界記録を持つ三菱電機株式会社が開発したパズルキューブを解くロボット「TOKUFASTbot」は、ルービックキューブをたったの0.305秒で全面揃えられるといいます。

ロボットがこの速度で揃えられるということは、ルービックキューブには明確な回答のロジックがあるということです。

今回は知らないとなかなか揃えられないルービックキューブの6面を簡単に揃えるための方法と合わせて、この驚くべきロボットについて紹介していきます。

目次

  • 三菱が開発した「キューブパズルを解くロボット」がギネス世界記録樹立
  • 簡単にルービックキューブを揃える方法

三菱が開発した「キューブパズルを解くロボット」がギネス世界記録樹立

有名なルービックキューブのGIF画像

ルービックキューブと言えば、真っ先にこのGIF画像を思い浮かべるという人も多いかもしれません。

ルービックキューブ(メガハウス社の登録商標)は、80年代初頭に大流行した3Dパズルであり、キューブの6つの面全てを同じ色に揃えることで、「パズルが解けた」ことになります。

現在、ルービックキューブの人間の世界記録は3.13秒であり、2023年にカリフォルニア州出身のマックス・パーク氏によって樹立されています。

それら達人たちの流れるような手付きを見ると、誰もが「人間業ではない」と言いたくなるでしょう。

実際多くの人は、真似してみようと思っても上のGIFのような状態になってしまうため、この画像がウケているのでしょうが、ルービックキューブには明確な解答のためのロジックが存在しており、これを理解しているあっという間に解くことができます。

そのため、適切にブロックを回す機構を備えたロボットなら、驚くような速度でルービックキューブ全面を揃えることができます。

三菱のロボットが一瞬でルービックキューブを解く。※ギネス認定時とは異なる測定方式で撮影したもの
三菱のロボットが一瞬でルービックキューブを解く。※ギネス認定時とは異なる測定方式で撮影したもの / Credit:三菱電機 公式チャンネル(YouTube)_「パズルキューブを最速で解くロボット」ギネス世界記録認定(2024)

これは、三菱電機株式会社が開発したパズルキューブを解くロボット「TOKUFASTbot(トクファストボット)」で、右上のタイマーを見ると分かる通り、漫画でよく見る「この間0.3秒」をガチで実現しています

このロボットは、公式記録0.305秒で全面を揃え、2024年5月21日、ギネス世界記録に認定されました。

これはまさに一瞬の出来事であり、言われないとキューブを回したことにさえ気付けないかもしれません。

動画では一連の動作をスローモーション映像でも記録しているため、これを見ると確かに順番に回転しているのが分かります。

三菱によると、このロボットは、「回転機構に小型・高出力かつ信号応答性の高い三菱製サーボモーターを使用」し、「90°回転0.009秒の動作と独自のAI技術を応用した色認識アルゴリズム」によって、世界最速の称号を得ることができたのだといいます

ロボットの神業を人間が再現することはできないとはいえ、ルービックキューブは実はそれほど難しいパズルではなく、理屈がわかっていれば簡単に解決へ導くことができます。

そのため、ロボットでも人間でも、主に揃える速さに着目される事が多いのです。

ただ、ほとんどの人は、このルービックキューブを揃えるロジックを理解していないため、とても難しいパズルに見えるのです。

ではそのロジックとはどのようなものなのでしょうか?

次項で、その誰でもあっさりルービックキューブを揃えられる、解法について解説します。

これを知っていれば周囲を「あっ」と驚かせることができるでしょう。

簡単にルービックキューブを揃える方法

複雑に思えるルービックキューブですが、実は決まった解き方があります。

以前ナゾロジーでは、ルービックキューブアジア大会2018年「最少手数部門」チャンピオンだった上野柊斗(うえの しゅうと)氏に、インタビューしています。

彼によると、「初心者こそ解法書に出会ってほしい」と話します。

なせなら、初心者が一番早く上達するコツは、「解法書をともに手順を覚えること」だからです。

そして上野氏が知る限り、「一番親切で分かりやすい」のは、ルービックキューブの元世界記録保持者などが運営するサイトtriboxが発行する解法書です。

そのサイトでは、動画と図解で手順がステップごとに解説されています。

ここでは、その手順を簡単に紹介しましょう。

  1. 白色の十字を作る
  2. 完全一面(最初の一面が揃い、さらにその側面が揃ったもの)を作る
  3. 2段目(真ん中の段)を揃える
  4. 3段目(最後の段)の面を上に向け、角以外の色を揃えて十字の面を作る
  5. 3段目の上面の色を一色に揃える
  6. 3段目の角を調整し、側面の色も揃える
  7. 3段目の角以外を調整し、全面の色を揃える

最初からなんとなく揃えていくのではなく、一段ずつ揃えていくのが成功へのカギです。

気になる方は、下記の動画をチェックしながら、チャレンジしてみてください。

最初は時間がかかるものですが、1度完成させられると、苦手意識が薄れ、簡単にルービックキューブが揃えられるようになってしまいます。

そうなるともう、揃えることが目的ではなく、揃える速さを競いたくなるはずです。

神業に思えた世界チャンピオンや三菱のロボットが、どうやって瞬間的にパズルを解いているのか、それが実感できるようになるでしょう。

参考文献

「パズルキューブを最速で解くロボット」ギネス世界記録認定
https://www.mitsubishielectric.co.jp/news/2024/0523.html

Video: Air-con wiring robot sets new Rubik’s Cube world record
https://newatlas.com/robotics/mitsubishi-electric-robot-rubiks-cube/

初めてのルービックキューブ
https://tribox.com/3x3x3/solution/easy/

ライター

大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。

編集者

海沼 賢: ナゾロジーのディレクションを担当。大学では電気電子工学、大学院では知識科学を専攻。科学進歩と共に分断されがちな分野間交流の場、一般の人々が科学知識とふれあう場の創出を目指しています。

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