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【新じゃがいもの栄養】秋冬に出回るじゃがいもとの違いは?おいしい食べ方まで栄養士ライターが解説

  • 2024.6.2

新じゃがいも・普通じゃがいもの違いは

新じゃがいものイメージ
新じゃがいものイメージ

新キャベツ、新玉ねぎ、新ごぼうなど、春から夏にかけて、「新」の付く野菜が続々と旬を迎えます。この記事では、“新じゃが”こと「新じゃがいも」にスポットをあてたいと思います。

▲収穫後すぐに出荷される新じゃがいも。皮が薄く、小ぶりなサイズのものも多い。
▲収穫後すぐに出荷される新じゃがいも。皮が薄く、小ぶりなサイズのものも多い。

「新じゃがいも」は、収穫されたばかりのじゃがいものこと。完熟する前に収穫され、すぐに出荷される場合が多いようです。鹿児島や長崎など九州地方で3月ごろから収穫が始まり、静岡や関東は5~7月ごろ、最後が最大産地の北海道で9~10月ごろに収穫のピークを迎えます。

▲収穫後に貯蔵した一般的なじゃがいも(熟成じゃがいも)は皮の色が濃く、厚め。サイズも大きめなものが多い。
▲収穫後に貯蔵した一般的なじゃがいも(熟成じゃがいも)は皮の色が濃く、厚め。サイズも大きめなものが多い。

つまり、収穫の最盛期は春夏と秋の年2回あり、主に春夏に収穫されたものが“新じゃが”として出回り、秋に収穫されたじゃがいもは貯蔵・熟成させて、冬から春まで食べられる一般的なじゃがいもとして出回ります。前者が「新じゃがいも」、後者が「熟成じゃがいも」と区別すると分かりやすいでしょうか。いずれにしろ、九州から北海道まで全国のじゃがいも農家さんがリレーのように収穫を続けてくれるおかげで、私たちは年中じゃがいもを食べることができるわけですね。

皮ごと食べられる新じゃがは、栄養面も優秀!

「新じゃがいも」と「熟成じゃがいも」の大きな違いは、貯蔵期間の有無ということが分かりました。その違いは栄養や味にどう影響するのでしょう。

●新じゃがいも

▲水洗いで皮の表面の汚れを落とし、皮付きのまま、茹でたり蒸したり揚げたりして食べたい「新じゃがいも」。
▲水洗いで皮の表面の汚れを落とし、皮付きのまま、茹でたり蒸したり揚げたりして食べたい「新じゃがいも」。

皮が薄く、水分が多くて、みずみずしい。皮ごと食べられるため、皮に多く含まれる食物繊維やミネラル、ポリフェノールの一種である抗酸化成分のクロロゲン酸を摂ることができます。また、じゃがいもに含まれるビタミンCは加熱に強い特長があり、収穫後すぐに出荷される新じゃがはビタミンCの損失も少なめ。一方、ペクチンが未熟で細胞が壊れやすく、粉吹きイモには不向きです。水分が多いため、傷みやすく長期保存がきかない弱点も。

●熟成じゃがいも

▲煮っころがしなど、じゃがいもらしい粉質感を活かしたいなら「熟成じゃがいも」がおすすめ。
▲煮っころがしなど、じゃがいもらしい粉質感を活かしたいなら「熟成じゃがいも」がおすすめ。

貯蔵・熟成させることで、主成分である、でんぷんの含有量が増え、じゃがいも特有のホクホクとした味わいと食感が増します。保存性が高く、カレーやコロッケ、肉じゃが、粉吹きイモなど幅広い料理に使いやすいのが最大のメリット。逆に、収穫から時間が経つことでビタミンCが減少し、硬く厚くなった皮をむいて食べることが多く、皮ごと食べられる新じゃがよりも摂取できる栄養成分は少なくなります。

なお、じゃがいもの代表的な品種といえば『男爵』と『メークイン』ですが、X(旧ツイッター)の投稿を見ると『きたあかり』『インカのめざめ』『ノーザンルビー』など、多彩な品種の“新じゃが”ポストがありました。珍しい品種の“新じゃが”と出会えたら、ぜひ味比べを楽しんでみてください。

※参考文献:杉田浩一ほか監修『新版 日本食品大事典』医歯薬出版株式会社,2017、名取貴光監修『新・野菜の便利帳 健康編』高橋書店,2016、板木利隆監修『新・野菜の便利帳 おいしい編』高橋書店,2016、白島早奈英・板木利隆監修『もっとからだにおいしい野菜の便利帳』高橋書店,2009、上西一弘ほか監修『健やかな毎日のための栄養大全』NHK出版,2022、池上文雄ほか監修『からだのための食材大全』NHK出版,2019、主婦の友社編『名前がわかる!フルーツ&ベジタブル図鑑』主婦の友社,2018、レジア編『日本の食材図鑑』新星出版社,2018

(野村ゆき)

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