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「え…もう会社員じゃないのに天引きされるの…?」夫婦で年金20万円切るのはきつい…

  • 2024.6.2

「夫婦で年金20万円切るのはきつい…」

「え…もう会社員じゃないのに天引きされるの…?」

年収が300万円未満だと、月額20万円の年金を受け取ることは難しくなります。

また、会社員でなくても、65歳以上の年金生活でも、保険料や税金を天引きされることを意識していない人もいるようです。

今回は、年金受給額が夫婦合わせて20万円以下になってしまう年収のボーダーラインや、年金の「手取り」額について見ていきましょう。
※成人してから定年の60代にかけて、厚生年金を40年支払い続けた場合(妻は専業主婦)

■国民年金のみ場合、夫婦で月額20万円は厳しい…

国民年金のみの場合、令和6年度の水準だと満額でも月額6万8,000円です。夫婦合わせても、およそ13万6,000円。月額20万円を得ることは難しいのが現実です。

老後に受け取れる年金は、働いていた際に、どの年金制度に加入していたかで異なります。

たとえば、自営業やフリーランスで国民年金のみに加入していた人なら国民年金を、会社員で厚生年金に加入していた人なら国民年金に加えて厚生年金を受け取ることが可能です。

では、夫婦で月20万円以上もらえる現役時代の年収は、いくらでしょうか。

■夫婦で年金「月20万円」ボーダー年収は約350万円

夫が厚生年金を40年支払い続けた場合、夫婦で月額20万円の年金を受け取ることができるボーダー年収は約350万円です。(※夫のみが40年間会社員として働き、平均年収が350万円の場合)

夫が会社員(国民年金+厚生年金)、妻が専業主婦(国民年金のみ)
└国民年金受給額:13万6,000円
└厚生年金月額6万4,000円

夫婦で厚生年金に加入していて、現役時代の収入がそれなりにあれば、夫婦で30万円前後受け取ることができます。

■自営業の場合月額20万円はもらえない

自営業やフリーランスの人は、年収が高くても公的年金を毎月20万円受け取ることはできません。

自営業者は第1号被保険者で、国民年金しか受給できないからです。自営業の場合、もらえる年金額は夫婦で合計月13万円程度になります。

自営業の人は、国民年金基金やiDeCoを活用して自分で年金を準備しておくと安心です。

国民年金基金とiDeCoは、合わせて月6万8,000円まで積み立てることができます。支払った金額すべてが所得控除の対象となり、節税効果も高いのが魅力です。

■見落としがちな年金の「手取り額」

年金の「手取り額」について見落としている人が多いようです。

年金は決定された「年金支払額」を、そのままもらえるわけではありません。

実際に振り込まれるのは、年金支払額から、保険料と税金が差し引かれた金額です。

「控除後振込額(実際の振込額)」=「年金支払額」ー「保険料」ー「税金」

●年金から天引きされる保険料1.国民健康保険料

65歳以上で年金収入が200万(月16万)なら1年間の保険料は約12万円(月1万円程度)です。

国民健康保険料の金額は、年金受給額だけではなく、住んでいる自治体や世帯の人数などによっても変わります。

●年金から天引きされる保険料2.介護保険料

65歳以上の介護保険料の平均は月額6,000円といわれます。介護保険料は40歳以上から徴収されますが、会社員時代は給料から天引きされます。

保険料基準額は地域により、月3,300円~9,800円となっています。保険料基準額をそのまま支払うのではなく、年収に応じた保険料率を掛けた金額を支払う仕組みです。

なお、65歳以上が支払う介護保険料は上昇傾向にあります。高齢者が増えて介護サービス費が増加しているからです。今後の動向にも注目です。

●年金から天引きされる税金

年金の受給額により、所得税や住民税が天引きされます。

所得税額および復興特別所得税額は、特別徴収された保険料や各種控除などが年金支払額から差し引かれたあとの金額に5.105%を掛けて決定されます。

たとえば年金支払額が月13万円、国民健康保険料が1万円、介護保険料が6,000円なら、約5,800円の税金が天引きされます。

(13万ー1万ー6,000)×5.105%≒5,800

※65歳に満たない方は108万円以下、65歳以上の方は158万円以下の場合、所得税や住民税を払う必要がありません。また、年金以外の収入がある場合は、さらに税金が増える可能性があります。

■事前に年金受取額のシミュレーションをしておこう

毎年届く「ねんきん定期便」捨てていませんか?

ねんきん定期便では、現段階での年金額を確認することが可能です。早いうちからどれくらいの年金を受け取れるのかを知っておけば、老後に備えることができます。

また、年金だけで生活できるか不安と感じるのであれば、現役時代からコツコツ老後資金の積立をしておくのをおすすめします。

文・勝目麻希(ファイナンシャル・プランナー)
新卒で総合職としてメガバンクに入行し、法人融資・金融商品販売等を担当。転職・結婚・出産を経て一時は専業主婦になったが、自分の金融知識や実務経験を活かしたいと独学でライターの道へ。現在はファイナンシャルプランナーの知識を活かして金融系メディアを中心に執筆。

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