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竹内涼真の“魂の芝居“に心が揺さぶられる…白熱する考察合戦、ラスボスは? 『Believe 君にかける橋』第6話レビュー

  • 2024.6.1
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『Believe -君にかける橋-』【番組公式Instagramより】
『Believe -君にかける橋-』【番組公式Instagramより】

龍神大橋建設現場崩落事故の責任を被る形で実刑判決を受け、収監されていた狩山陸(木村拓哉)。しかし、自らの無実を証明すべく、刑務所から逃走した後、大捜査網をかいくぐっていたが、警察に出頭する寸前に半田豊(田中哲司)に連れ去られ、半田の自宅に身を潜めていた。

「永代町女子大生殺人事件」によって、理不尽に長女を失ったことで、加害者と警察に恨みを持ち、自らの手で復讐をしようとする半田に対し、仇討ちを思いとどまるよう、必死の説得を試みる狩山。

ところがその時、狩山を執拗に追い続けていた刑事・黒木正興(竹内涼真)が半田の自宅に現れる。“もはやここまで”と腹を決め、狩山は黒木の前に姿を現す。事故で亡くなり、その死に際に「すいません…」と謎の謝罪の言葉を残して逝った下請け会社の社長・若松博通(竹内涼真:二役)と黒木が兄弟だったことを知らない狩山は、黒木の顔を見て、一瞬混乱する。

このままでは半田も犯人蔵匿罪で逮捕されてしまうため、狩山は半田をかばうべく、彼を脅して匿わせたと告げ、さらに半田が被害者遺族である永代町女子大生殺人事件の捜査に不満を持っていることを付け加え、捜査の強化を求める。そしてついに狩山は逃走4日目にして、再逮捕された。

木村拓哉
木村拓哉【Getty Images】

黒木はすぐに国立署に移送することはせず、黒木と共に狩山を追っていた梶田千佳(片山友希)の反対を押し切り、沼津で1泊する。

同じ頃、帝和建設社長の磯田典孝(小日向文世)の依頼で、狩山の居場所を探っていた弁護士・秋澤良人(斎藤工)は、狩山の妻・玲子(天海祐希)のもとを訪れる。夫から手紙が届いたことを隠していた玲子だが、手練手管を弄する秋澤に、終いには、警察にも知らせていない狩山からの手紙を渡してしまう。

半田は黒木を追い、自分が狩山を匿ったと告白するが、その思いも虚しく、狩山は黒木に連行される。その車中、黒木は若松の弟であることを明かす。そして、「長い旅になりそうですね」と不気味に予言する。

ここで1つの疑問が沸く。なぜ黒木はすぐに東京へと移送しなかったのか。高速道路を使えばせいぜい1時間強の距離だ。わざわざホテルに投宿した意味はどこにあったのか。

そもそも黒木は狩山を容疑者として捕えること以上に、狩山陸がどんな人間なのかに関心があったのではないのか。そうでなければ、既に判決が出ている裁判記録を調べ続けることなどしないだろう。さらに言えば、2人きりで話し合うタイミングを見計らっていたのだろう。

天海祐希
天海祐希【Getty Images】

宿泊先のホテルの部屋で、黒木は突然、事情聴取を始める。それまで一貫してニヤニヤとしたつかみどころのないキャラクターだった黒木だったが、狩山に対し、「さぁ言えよ」と威圧的な態度に豹変する。

黒木は狩山のせいで弟が死んだと思っているようで、上から目線の聴取を続ける。さらに狩山の妻・玲子(天海祐希)は「芝浦ガンセンター」に通っていることを突き止め、狩山の逃走の理由が玲子の病気にあるという仮説を狩山にぶつける。一方、玲子は病気療養のため、聖修大学病院循環器センター看護師長を辞すことを同僚に明かすのだった。

狩山は事情聴取の中で、事故の原因は若松にあるという真実を語り出すが、黒木は聞く耳を持たない。突然、何を語り出すかと思いきや、大事故の原因が弟にあるなどと告げられたのだ。刑事である前に、兄弟のいる1人の人間である黒木が、身内を“犯人扱い”され、感情的になるのも致し方ないだろう。

崩落事故の被害者遺族であることで、黒木は捜査から外されることになるが、大いなるヒントを狩山に授ける。

黒木は若松の会社が火の車であることを知っていた。自らにも金の無心があったからだ。しかし、ケーブルの差し替えは若松自身ではなく、他の人物の手引きがあったと、証拠のメールを狩山に見せる。

狩山は事故当時を回想し、若松がなぜ事故現場から逃げようとしなかったのか、そして何故、謝罪したのか…おぼろげながらも、その記憶を辿っていく。

俳優の斎藤工
斎藤工【Getty Images】

一方で磯田は、秋澤の勧めで、証拠のSSDを完全に廃棄する。秋澤はその事実を南雲大樹(一ノ瀬颯)に告げると、南雲は突然、病室で暴れ出す。

移送の最中も狩山を挑発し続ける黒木。途中、梶田と運転を交代する隙を突いて、狩山は突然、走って逃げ出し、黒木は狩山に拳銃を発砲。梶田はわざと狩山を逃がせたと気付くが、黒木はトボけながらも否定はしない。

この逃走劇は、狩山が黒木に持ち掛け、崩落事故の真実を明らかにするという利害が一致したことで画策されたものだったのだ。狩山に対し「あんた、底抜けのバカだな」と言いつつも、黒木は刑事としては失格としか言い様のない行動に出たのだ。

磯田は玲子を訪ねる。当初は互いに謝罪し合うが、玲子は磯田に、事故の真相を明らかにするよう懇願する。しかし磯田は「事故は終わった」とその願いを一蹴する。

再び逃亡者となった狩山は磯田に公衆電話から連絡を入れる。未だに磯田の言葉を信じる狩山に「警察に見つからずに来られますか?」と問う磯田。それに対し狩山は「できます」と断言するのだった。

次回予告では、ガンを患いながらも夫の無実を信じ、証拠を手に入れようと奔走する玲子、「お前は危なすぎるんだ!」と、電話で狩山をたしなめる黒木、さらには、龍神大橋工事の1次下請業者・坂東組社長の坂東五郎(北大路欣也)に狩山が迫るシーンも収められ、東京都知事の榛名文江(賀来千香子)も事故のカギを握っているような様子も感じさせる。

竹内涼真(東京コミコン2017より)
竹内涼真【Getty Images】

今回の見どころは何といっても、木村拓哉と竹内涼真の芝居合戦だろう。2人が対峙するシーンで1話分丸々使った印象だが、“お腹いっぱい”どころか、もっと見ていたい気持ちにさせられるほど、見応え十分だった。

木村拓哉演じる狩山の再逃亡と、狩山を逮捕しながら、再逃亡を手助けした竹内涼真演じる黒木の丁々発止のやり取り、さらには、若松が黒木の弟だったという設定が、ここで生きてくる。そしてついに2人は裏で手を組むことになるのだ。再び対面することになるであろう2人の今後の動きも興味深い。

狩山の設計ミスのせいで弟を“殺された”という黒木だが、元から疎遠な兄弟の間柄だったというのだから、それは詭弁で、物語当初から狩山を追い続けていた黒木には、なにか他の目的があったのでないのか。都知事をも巻き込んだ、巨大な力が働いていることを知っているのではないのかという疑念が沸き立つ。

黒木は刑事という身分を使って、巨悪を突き止める壮大な目的があるのではないだろうか。狩山を逃がせた黒木に梶田は「それでも刑事ですか!?」という言葉を浴びせるが、「クビになるまではな」と即答する姿に黒木の覚悟が読み取れるからだ。

“まさかの味方”というキャラクター設定だった黒木だったが、これによって次回以降、さらに考察合戦が過熱しそうな展開を見せている。どう見ても悪役にしか見えない磯田を狩山が信じ続けるのは本心なのか、ブラフなのかも現時点では不明だ。そして“ラスボス”は一体、誰なのかも本作の最大の見どころだろう。

(文・寺島武志)

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