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「会社が辛い。仕事を辞めたい」今の職場、働き方に疑問を抱いている人に読んでほしいエッセイマンガ

  • 2024.5.31
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都会さんによるエッセイマンガ『会社がツライ なりたい自分を見つけるまで』(マガジンハウス)。エピソード読了後、筆者の脳裏に過ったのは「しあわせはいつも自分のこころがきめる」という相田みつをの言葉だった。

某企業に3年間営業アシスタントとして勤める著者。苦労した就活の末掴み取った仕事へ最初こそ懸命に取り組んでいたものの、勤続年数を重ねるにつれ自身の業務に対する過小評価に摩耗し、次第に仕事のやり甲斐や意義そのものに疑問を抱くようになり始め──。

誰もが企業に勤める中で、一度は心の中で抱えたことのある小さなもやもや。その一つ一つが、組織の歯車として働かされている人たちにとって共感できるだろう。

もちろん中には自分の今従事する仕事を天職として、日々大きなやり甲斐を持って取り組む人もいるかもしれない。しかし、「仕方のない事」と書いて“仕事”と思っている人もいるだろう。そうは思っていても、おそらく毎日の仕事に対し、100%「仕方のない事」として割り切り従事する人間は少数派なのではないだろうか。

大なり小なりの悩みや葛藤、そして「働きたくない」「やりたくない」「行きたくない」という気持ちを抱えながら。それでも嫌な気持ちを我慢し、毎日職場へと足を運ぶ。

きっと世の中はそんな人が大半だろうし、人によってはそれが“大人”というものだ、と。そう考える人も、おそらく少なくないに違いない。

日々の仕事の中の、嬉しい出来事ややり甲斐、幸せを感じる時間。

そして苦手なことや辛いこと、苦痛やしんどさを感じる時間。

おそらく多くの人たちは、その二つを天秤にかけながら日々業務に従事している。そうして後者、自分にとって不快で嫌な時間の割合の方が大きくなった時、中には仕事を辞めるという選択肢を取る人もいる。

ただし、まさに今この瞬間「仕事を辞めたいなあ」と思っていても、都会さんのように、思いきった退職に抵抗を持つ人も大勢いるだろう。環境の変化は、心身共に大きな負荷がかかることが分かっているから。さらに、生活が不安定になるという金銭面の不安。そして年齢を重ねれば重ねるほど大きくなる、“周囲からどう見られるか”という不安も押し寄せてくる。そんな都会さんの不安が痛いほどよく分かる。

より上のステップを目指す向上心のある転職を遂げる場合はまたケースが異なってくるが、そうではなく別段次に行く当ても決まっていない、という場合は、特に周囲から何と言われるかが気になり、行動に移せないという人も多いはずだ。

大勢の「仕事を辞めたいなあ」と思っている人たちにとって、仮に自分が今の仕事を退職したら…を、まるで疑似体験させてくれるような本作。働き続ける中で徐々にダメージが蓄積し、結果として退職の道を選んだ著者の姿を見て、おそらく思うことは人によって千差万別だ。

彼女が心身共にストレスから解放されてよかった、と思う人。自分も彼女のように心のままに生きて、やりたいことに素直になろう、と心を決める人。

一方で退職後の彼女の辿った道を見て、自分なら不安の方が大きくて到底無理だ、と思う人。あまりにも考えが甘い、自分だったらせめて他の道を確立してからにする、と思う人。

どんな意見でも尊重されるのが大前提だ。しかし大事なのはこのエッセイを読んだことで何を思うかでなく、何を思ったかで「自分にとっての本当の幸せは何か」が炙り出されることにある。

安定度や収入が下がっても、自分の心に嘘をつかず生きることの方が幸せか。自分の希望を通すこと以上に、今の安定した場所を失う不安を感じない方が幸せか。あるいは、ある程度の生活水準も自分のやりたいことも、どちらも強欲に手に入れて幸せになりたいのか。

「もし今仕事を辞めたら」を、限りなく自分事として考えさせてくれる本エッセイ。働くすべての現代人に勧めたいが、特に今従事する仕事に疑問を持っている、という人にはぜひ本書を読むことで、自分にとっての本当の幸せを、改めて見つめ直す機会になってほしいと思う。

文=ネゴト / 曽我美なつめ

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