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ドイツの知られざる伝統行事とは?伝統や風習を学んで、旅をツウに楽しもう!

  • 2024.5.30
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こんにちは、ドイツ在住トラベルライターのYuです。

ドイツの有名な伝統行事といえばクリスマス。冬季はクリスマスマーケットめあてにドイツへ旅する方も多いのではないでしょうか。

しかし、ドイツにはまだ知られていない伝統行事がたくさん。私も実際に住んでみるまで知らなかった行事が多くあり、毎回文化の違いを楽しんでます。

そこで今回は、ドイツ人が愛してやまない“知られざる”伝統行事をご紹介。

旅行する時期のイベントを知っていると、さらに旅の楽しみもアップしますし、文化への造詣も深まります。ぜひ旅のご参考にしてみてくださいね。

州によって祝日や伝統行事が異なるドイツ

ドイツの正式国名は「ドイツ連邦共和国」で、それぞれ自治権のある16州で国が構成されています。そのため州ごとに政治体制や教育制度などの決定権があり、祝日も州ごとに異なるという一面が。(クリスマスや元旦などドイツ全土で共通の祝日もあります)

そして、ドイツの祝日は基本的に日付が毎年変わります。

たとえば「〇月の第2日曜日」というような決め方や、イースターにいたっては「春分の日後の、満月直後の日曜日」というようになかなか難解なものまで。(そしてこの春分の日も毎年変わるという……!)

ドイツでは日曜日・祝日はお店がすべて閉まってしまうので、ドイツ旅行時には事前に祝日をチェックしておきましょう!

また州やエリアによっても、伝統行事が異なります。各地それぞれに伝統文化がある日本と同じですね♪

ドイツを旅する時期に何かの祝日にあたると、お店は閉まりますがお祭りや伝統行事を楽しむことができるチャンス。ぜひドイツの伝統や風習を楽しんでみてくださいね!

どれも独特!ドイツならではの伝統を楽しもう

ドイツ国内でもっとも多数派である宗教はキリスト教。祝日もキリスト教関連のものが半数以上を占めます。

たとえばクリスマスやカーニバル、イースターはキリスト教関連の祝日でもとても重要な日。この時期になると街中がデコレーションされ、ワクワク感が伝わってきます。

ひとえにキリスト教といっても宗派によって祝う日が異なり、一般的にカトリック信者の多い南部ではカトリック関連、中部~北部ではプロテスタント関連の伝統が祝われます。

東西に分断されていたドイツが統一されたのは、1990年10月3日。「ドイツ統一記念日」は、現代ドイツを象徴する祝日です。

地域限定で祝われる日の代表と言えば、「マイバウム」。

私の住んでいるドイツ西部や南部では盛大に祝われていますが、他エリアではその習慣はほとんどないのだそう。

さて、ここからは日本ではあまり馴染みがないけれど、ドイツ人に愛される“知られざる祝日”にフォーカスしてご紹介していきます。

ランタンが幻想的な、聖マルティン祭(St.Martinstag)

まずご紹介するのは、毎年11月11日に開催される「聖マルティン祭」。

ドイツでもっとも愛される聖人「聖マルティン」の伝説に基づいた祭りで、ドイツ各地で行われています。(※地域によっては、別日に行われているところもあるので要注意)

10月になると幼稚園や小学校では聖マルティンの歌を覚えたり、ランタンを手作りしたり、伝説を勉強したり……と聖マルティン一色になります。

まずこのお祭りについて知るには聖マルティン伝説を理解する必要があります。

元はローマ帝国の騎士だったマルティン。ある極寒の日に馬に乗って城門まで行くと、破れた服を着た乞食に助けを求められます。哀れに思ったマルティンでしたが、手持ちのものは何もない。

そこで自分が着ているマントを剣で2つに切り分け与えました。その後も生涯をかけて困っている人々を助け続けたと伝えられており、この慈悲深い行動が今でも愛されている理由なんです。

聖マルティン祭の日には、夕方ごろからランタンを持った子どもたちを中心に大勢の人々が街を歩きます。

この行列の先頭にいるのは、松明を掲げ騎乗した騎士(=聖マルティン)。そしてそのゴール地点には、大きな焚火が待ち構えています。

そこで振舞われるのは、巨大な聖マルティンプレッツェル!

通常の塩気のあるプレッツェルと違い、フワフワ食感のパン生地にはたっぷりの砂糖がまぶされていてとってもおいしいんです。

地域によっては「ヴェックマン(Weckmann)」という人間の形をしたパンのところもあります。10~11月にドイツ旅行をするときには、ぜひパン屋さんで期間限定の味をお楽しみください♪

クリスマスの終わりを告げる「三王来朝」(Heilige Drei Könige)

「ドイツのクリスマスシーズンが終わるのは1月6日」という事はご存じでしょうか?ドイツ人家庭では、この日までクリスマスツリーを飾る伝統があります。

この1月6日、「三王来朝」または「公現祭(東方の三博士の来訪記念日)」と訳されるのですが、正直この名前からではどんな日なのかよく分かりませんよね。

これもキリスト教関連の伝統で、東方から三人の賢者が星に導かれてやってきて赤ん坊のキリストを見つけたという伝説に基づいています。

三王来朝は、3人の賢者に扮した地元の子どもたちが各家庭を訪問し歌を歌ってくれる伝統があります。

これは、寄付金や保存食品を集めて困っている人々に分け与えるという、三王来朝に行われる慈善活動のひとつ。訪問した家の玄関ドアには、このようなステッカーが貼られます。

ドイツの街でこの暗号のようなステッカーを見かけたら「この家には、今年も子ども賢者たちが来たんだなぁ」と微笑ましい光景を想像してみてはいかがでしょうか♪

また、バイエルン州・バーデン=ヴュルテンベルク州、ザクセン=アンハルト州では祝日となるので、旅行時はご注意くださいね。

ドイツの"第5の季節"はカーニバルで!(Fasching)

ドイツでは「ファッシング(Fasching)」や「ファスナハト(Fasnacht)」と呼ばれ、日本語では「謝肉祭」と訳されるカーニバル。

春の訪れを祝うカトリックの祝日で、とくに盛り上がるのはケルン・マインツ・デュッセルドルフの3都市が有名です。この都市の住民たちは、並々ならぬ情熱・労力をカーニバルにそそぎます。

古来の風習を元に現代では「イースター(復活祭)の断食期間前に、思いっきり食べて飲んで騒ごう!」という日に変容してきたのだそう。

カーニバル期間中は大規模なパレードが開催され、さまざまな趣向がこらされたフロートが街中を練り歩きます。

パレードでは観客にお菓子やお酒が大盤振る舞いされ、参加者も観客も一緒に大盛り上がりをみせます。

カーニバルの掛け声「Helau!(ヘラウ)」や「Alaaf!(アラーフ) 」を覚えておくと、カーニバル参加時に一緒に盛り上がることができますよ♪

また、カトリック圏にある学校ではカーニバル週間はコスチュームを着て登校する日があったり、さまざまな関連イベント・アクティビティが用意されていたりします。子どものころから慣れ親しむ伝統行事という一面もあるようですよ。

カーニバル期間は、基本的にイースター(復活祭)からさかのぼって、6週間前の日曜日からの3~4日間。例年2月中旬~後半になることが多く、その期間は祝日扱いとなり店が閉まるエリアも。この時期にドイツ旅行をする際はご注意くださいね。

「イースター(Ostern)」は家族団らんの日

日本語では「復活祭」と訳されるイースター。十字架にかけられて処刑されたキリストが、3日後に復活したことを祝うお祭りで、キリスト教においては重要な行事のひとつです。

毎年3月中旬~4月中旬ころのどこかの日曜日がイースターに該当することから、春らしいイメージのあるお祭りでもありますよね。

イースターに欠かせないのがイースターエッグとイースターバニー。卵はキリストの復活を表し、ウサギは多産であることから豊穣のシンボルとされています。この期間になるとお店や家は卵やウサギのデコレーションがされて、どこも可愛らしい雰囲気に。

ドイツでは「イースターバニー」が夜中に卵を隠していくという伝統があり、翌日には子どもたちが大好きな「イースター・エッグハント(卵探しのアクティビティ)」が行われます。

イースター家族が集まって団らんする日……という意味を込めて、期間中は家でごちそうを食べたり、普段教会へ行かない人もこの日だけはミサに行くというドイツ人も多いです。

期間中前後の平日も祝日となる場所が多く、その期間はすべてのお店が閉まります。この時期に旅行する際には、計画的に行動しましょう。

これを知ってたらドイツ通!「マイバウム」(Maibaum)

5月1日は「労働の日(メーデー)」で、ドイツ全土の祝日として定められています。

しかしドイツ南西部(バイエルン州やラインラント=プファルツ州、ヘッセン州など)では、5月1日といえば「マイバウムの日」!

どんなに小さな村でも祝われるほど親しまれている、春の訪れを告げる伝統行事なのです。

マイバウム(Maibaum)とは、ドイツ語で「5月の木」という意味。装飾された長い木(=マイバウム)が、街の中心地にそびえ立つのを見たことがある方もいるかもしれません。

バイエルン州ではカラフルなリボンや、それぞれの街を象徴する職業の絵などで華やかに飾られているのが特徴です。

私の住んでいるラインラント=プファルツ州の村では、素朴な飾りつけがされます。でも木の飾りは村々によって異なります。それぞれのデザインを見るのがこの時期の楽しみでもあるんです。

数日前から祭りが開催されることも多いですが、本番は5月1日。楽団のパレードに合わせて、この日のために選ばれた特別なマイバウムが街の中心地に運ばれます。それをゆっくりと立てるのを、伝統衣装に身を包んだ人々が見守ります。

マイバウムは新しい生命と成長のシンボル。地域社会の結束や繁栄を祈る儀式として、古代ゲルマン民族の時代から続いてきた伝統といわれています。

シーズン中にドイツ南西部を旅行するときには、街の中心地にあるマイバウムをぜひチェックしてみてくださいね。

大きな都市ではたくさんの屋台やステージが並び、お祭りムード満点!遭遇できたらラッキーですよ♪

伝統行事を学んで、ツウなドイツ旅行を楽しもう

クリスマスやオクトーバーフェストが脚光を浴びがちですが、ドイツにはまだまだ知られざる伝統行事があります。

季節ごとの伝統イベントが多く、地域色が豊かなのも特徴。

ドイツを旅する際にはそのシーズンの伝統行事について知っておくと、より奥深く思い出深い旅になるはずですよ♪

All photos by Yu Villegas

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