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今年こそ手作りしたい!梅干し(しそ梅干し)の作り方【梅仕事/下準備・本漬け・土用干し】

  • 2024.5.29


いっときだけしか出回らない旬の素材を長く楽しむために、ひと手間をかけて仕込みたい保存食の代表といえば「梅干し」。とはいえ、作り方がわからないとか、失敗しそうとか、しり込みしている人も多いのでは?

そこで今回は、梅干し作りの基本を学べる昔ながらの王道レシピをご紹介。
今年こそ梅干し作りにチャレンジしようと考えているそこのあなた、必見です!

梅干し作りを始める前に

時間をかけてていねいに作る梅干しは、工程の管理や事前準備が大切。まずは梅干し作りの流れや基本の材料、道具などを確認しましょう。

梅干し作りの〈モデルスケジュール〉

下漬け:6月中旬
↓ (2~3週間)
本漬け:7月上旬
↓ (2~3週間)
土用干し:7月下旬
↓ (約3日間)
ねかせ始め:7月下旬
↓ (約半年)
食べごろ:翌年2月くらいから

※日程はあくまで目安です。地域によって梅の入荷時期は異なるので、購入日に合わせて進めるようにしてください。

知っておきたい〈基本の材料〉

①黄梅

完熟して黄色く色づいた梅。中~大粒の、傷のないものを選んで。 特に、和歌山県などで生産されている「南高梅」がおすすめ。 種が小さめで果肉が厚くて柔らかく、種離れがいいので、梅干しに最適。

②赤じそ

「ちりめんじそ」とも呼ばれ、葉が細かく縮れているのが特徴。梅を下漬けしたころ、ちょうど市場に出回ります。葉の表、裏ともにまんべんなく紫紅色で、いたみのないものを選んだら、なるべくその日のうちに作業しましょう。

③塩

梅を漬けるときは、粒子の粗い塩を使って。さらさらとしているものよりも梅にからみやすく、また、じんわりと梅に浸透していくことで、梅のうまみを中からしっかり引き出すことができます。

知っておきたい〈基本の道具〉

①梅を漬ける容器

下漬け~本漬けと、梅干し作りの大部分で使用する容器。ホーローやガラスなど、酸に強いタイプを選んで。もちろん、昔ながらの陶器のかめでもOK。7ℓくらいの容量の大きいもので、底が広いほうが梅がつぶれにくくて安心。

②ふた用の平皿

梅に重しをのせるときのふたとして使います。容器の口径よりひとまわり小さめの平皿を選んで。重しが白梅酢につからないよう、3~4 枚重ね、水面から5cmほど高くなるようにして。

③重しにするもの

梅を漬けるときに使う重しは、初めは5kg、途中で3kgと軽くなるので、小分けできるほうが好都合。専用のものがなくても、1kgの塩や砂糖、500mlのペットボトルなどを組み合わせて使えばOK。ペットボトルはテープでくくって固定します。

④梅を干すざる

梅や赤じその葉を干すときに使う平らなざる。数枚に分けてももちろんOKですが、直径50cmくらいの大きなものが一つあると、取り込んだり、移動させたりするときに便利。

⑤梅を保存する容器

梅を干し終わってから、冷蔵庫でねかせるときに使います。3kgの梅を、2つ~3つの容器に分けて保存すると、冷蔵庫でも場所を選ばず、衛生上も安心。

⑥消毒用の焼酎スプレー

梅干し作りをするときのいちばんの敵はカビ。アルコール度数35 度以上の焼酎で、梅や梅に触れるものすべてを殺菌し、カビを防いで。いつでも使えるよう、スプレータイプのボトルに入れておくと便利。焼酎は揮発するので、いくら吹きかけても味に影響はありません。

『しそ梅干し』のレシピ


準備ができたら、実際に梅を漬けていきましょう。ここでは作りやすい分量として、黄梅3kgのレシピをご紹介します。

材料( 作りやすい分量)

黄梅……3kɡ
赤じそ……200~300ɡ
塩(粒が粗めのもの)……450~600ɡ(梅の重量の15~20%)
赤じそ用の塩(粒が粗めのもの)……20~30ɡ(赤じその重量の10%)

梅の下準備

梅はかぶるくらいのたっぷりの水に5 時間以上(できれば一晩)つける。こうするとアクが抜け、身もふっくらと柔らかくなって、塩がなじみやすい。

容器類の下準備

下漬け用の容器に熱湯を注ぎ入れ、全体にいきわたるように容器をぐるりと傾ける。このとき、熱湯がこぼれることがあるので、手にミトンをはめて作業を。湯を捨て、自然乾燥させたあと焼酎を全体に吹きかければ、熱湯消毒は完了。保存容器を消毒するときは、煮沸消毒を。熱湯で2~3 分煮てから自然乾燥させ、焼酎で消毒すればOK。プラスチック製のふたは熱に弱いので、洗剤でしっかり汚れを落とすようにして。


作り方

●梅を「下漬け」する

①梅のへたを取る

水に浸しておいた梅をざるに上げて 水けをきり、1 個ずつペーパータオルに包んでしっかりと水けを拭き取る。梅のなり口についているへたを、竹串でひっかけるようにして取る。このとき、梅の身まで傷つけないように注意して。

へたを取ったら、梅をボールに入れて消毒用の焼酎を吹きかけ、ボールを上下に揺らし、焼酎を全体にいきわたらせる。

②梅と塩を重ね、下漬けする。

梅と塩を3 回に分けて重ねる。 塩はどんどん下に落ちていくので、上のほうの塩を多めにすることを意識して。まず、塩を小さめのボールに入れ、ざっと4 等分にする。熱湯消毒した下漬け用の容器に、1/4量の塩の1/2量をつかみ、底にまんべんなく広げる(残りの塩の1/2量は最後にとっておく)。

梅の1/3量をなるべく重ならないように並べ、塩の1/4量を全体にふり入れる。この作業をあと2 回繰り返す。ただし、最後にふり入れる塩に、先ほど残しておいた塩を加える。この後、塩の塩分によって梅から出る水分を、「白梅酢」という。白梅酢が上がらないとカビが生えやすいので、ここで塩を全体にいきわたらせておくことが大切。

③重しをのせる

ふた用の平皿3 ~ 4 枚に焼酎を吹きかけて消毒し、裏返して容器にかぶせる。塩や砂糖、ペットボトルなどを組み合わせた計5kg 分の重しを焼酎で消毒し、のせる。ほこりなどが入らないように紙をかぶせ、ひもで結ぶ。密閉状態にするとカビが繁殖しやすいので、通気性の高い新聞紙を使うとよい。

④2~3週間漬ける

容器を風通しのいい冷暗所に置き、白梅酢が充分に上がってくるまで2 ~3 週間漬ける。まず、3 ~ 4日で様子をみて、白梅酢の上がりぐあいを確認する。梅がやっと浸るくらいまで上がっていたら(写真左)、重しを3kg分に減らす。ただし、梅の完熟度などによっても違うので、上がりにくい場合は、焼酎で消毒した清潔なスプーンで混ぜ、梅に塩をよくからめる。

さらに梅がかぶるくらいたっぷりと上がってくるまで(写真右)、2 週間ほど漬ける。この間もカビが生えやすいので、2日に1 回くらいは中の様子をみるようにし、そのつど、重しや平皿、容器の内側を焼酎で消毒する。

もしカビが生えてしまったら……
カビの種類はひだ状のものから、ひらひらとした帯状、黒っぽいものまでさまざま。いずれも焼酎で消毒した清潔なスプーンですくい、完全に取り除けばOK。

●赤じそを加え、「本漬け」をする

⑤赤じそを洗い、葉を摘む

白梅酢が充分に上がってきたら、赤じその準備をする。赤じそを流水でよく洗い、ざるに上げて水けをきる。さらにペーパータオルで押さえてしっかりと水けを取り、葉を摘んで(茎はとっておく)、ボールに入れる。

⑥赤じそを塩もみし、白梅酢をからめる

⑤の赤じそに、赤じそ用の塩の2/3 量くらいを加え、 全体にまぶすようにしながら手でしっかりともむ。塩もみすることでアクが抜け、発色もよくなる。しんなりとしてきたらぎゅっぎゅっと手で押すようにし、さらにもみつづける。ボールの底にたまるくらい汁が出たら、手でよく絞り、汁けをきる。別のボールに移して残りの塩を加え、さらによくもんでからめる。

焼酎で消毒したおたまで、④の白梅酢を、梅がひたひたにつかるくらいまですくい取る。このうち、白梅酢1/2カップくらい(おたま1 杯分が目安)を赤じそに加え、よくからめる。

⑦梅に赤じそをのせ、本漬けする

④の梅にふたをするように赤じそを全体にのせ、残った汁もかける。③と同様、焼酎で消毒した平皿と、3kg 分くらいの重しを順にのせる。新聞紙をかぶせてひもで結び、風通しのいい冷暗所に置く。梅雨が明けるまでの2 ~ 3 週間、本漬けする。

●梅を「土用干し」し、ねかせる

⑧梅をざるに並べ、干す

3日間晴天が続きそうな日を選び、土用干しを行う。⑦の梅を梅酢から引き上げ、ざるに並べる。赤じそはよく汁けを絞り、ざるに広げる。残った梅酢もざるといっしょに並べ、気温の安定している9 ~ 15 時を目安に、6 時間くらい干す。ほこりなどが気になるときは、ざるをかぶせ、ペットボトルで重しをする。

常に日光が当たるよう、状況を見てざるや容器を移動させながら干し、梅は12 時くらいで一度裏返す。干し終わったら、梅、赤じそを再び梅酢の容器に戻し入れ、新聞紙をかぶせてひもで結び、冷暗所に置く。

⑨さらに2日間干す


⑧と同様に、さらに2日間干す。雨や曇りで連続して干せないときは、そのまま室内に置いて待てばOK。3 日間干した梅をさわってみて、果肉がふくふくと柔らかくなり、種から離れた状態になっているのがわかれば干し終わりの目安。

⑩保存容器に移し冷蔵庫でねかせる


煮沸消毒した保存容器に⑨の梅を入れ、赤じそ適宜をのせる。梅酢を梅の高さの七分目くらいまで入れてふたをし、冷蔵庫で保存する。3カ月くらいで食べられるが、半年以上ねかせたほうが、梅がさらに柔らかくなり、塩の角が取れたまろやかな味わいになっておいしい。


梅を塩漬けにして、赤じそを準備して、干して、またねかせて……と、梅干し作りはそれはそれは根気のいる作業。だからこそ、手間と時間をかけただけある風味豊かなおいしさには、喜びもまたひとしおです。

冷蔵庫で約2年間保存可能な〈しそ梅干し〉。ぜひチャレンジしてみてくださいね!

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