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「日付が変わる瞬間」文化にモヤモヤ。人の価値観は案外簡単に変わる

  • 2024.5.29
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「誕生日の当日にこだわる人が多数派なんだ……」と、高校生の時衝撃を受けた。

私は今も昔も、誕生日というより誕生月くらいの感覚で生きている。誕生日だって、当日にこだわらないし、クリスマスも当日にこだわらない。その月のうちにお祝いすればOKだと思っている。

なぜこんな疑問を抱いたかというと、私の環境的に身についた価値観と、高校生の時のとある出来事があったからだ。

そもそも、私の家は誕生日やクリスマスなどを当日にお祝いする文化がなかった。というのも、父が単身赴任で働いていたからだ。父が一時帰宅する土日に合わせてお祝いすることが多かった。毎週帰ってこられる単身赴任先の時は、誕生日のある週の週末にお祝いしていた。月に1度しか帰ってこられない時は誕生日のある月の帰ってこられたタイミングでお祝いをしていた。

そして、私が高校生になった時、家庭の文化と友人たちの文化の違いにモヤモヤを感じた。ちょうど私が高校1年生になるころ、スマホが普及し、誰もがいつでもどこでも連絡できる環境になっていた。中学生の時は、スマホを持っていた人は1/3程度だったので大きく環境が変わった。

そこで出会ったのが、誕生日の人に日付が変わった瞬間メッセージを送る文化だった。

◎ ◎

私はこの文化に違和感を覚えていた。やりたい人だけがやるならまだ理解できた。

しかし、この文化は任意という名の半強制的なものだった。参加しないと、「夜、忙しかったの?」と、翌日、遠回しな尋問が行われる。私はこれが苦手だった。私には私の予定があるし、どうせ翌日学校で会うのだから直接言えばいいじゃないかと思っていた。

土日に誕生日が重なった人に対しても、週明けの月曜日に「おめでとう」と伝えるのではだめだろうか?と思っていた。

そして、高校を卒業すると、友人たちは別々の進路に進むため、生活がかみ合わなくなった。誕生日を日付が変わった瞬間にお祝いする文化は、多忙な人もいることや、翌日顔を合わせることもなくなったので、本当の意味で任意なものに変わっていた。

その代わりではないが、日付が変わった瞬間に……とまでとは言わないが、当日中にお祝いのメッセージを送るのがマナーのようになっていた。

それでも、私は息苦しさを感じていた。出会った人の誕生日を全部覚えている訳ではないし、毎日が忙しくて今日が何日なのか把握してないこともある。LINEの誕生日のお知らせ機能に助けられてはいるが、そもそも忙しくてLINEを数日開かないこともざらにある。

当日にこだわる人には申し訳ないが、「誕生月の範囲内でお祝いすればいいかな……」と心の中で言い訳をしている。

◎ ◎

こんな言い訳を高校卒業時から続けてはや数年。私のこんな言い訳も、徐々に多数派になってきたように感じる。20代も半ばになり、それぞれライフスタイルが変化した。生活の軸になるものが、それぞれ変化したのだと思う。高校生の時に多数派だった価値観は、今では少数派になりつつある。

人の価値観や優先順位は、環境によってあっさりと変わることもある。多数派と少数派のバランスは永続的なものではない。今、モヤモヤしていることも、いつか自然と解決されることもあるのかもしれない。そんな希望を、この出来事を通じて私は感じた。

■Aちゃんのプロフィール
心理学と教育学を専攻している大学生。通信制高校卒業→通信制大学入学の根っからの不登校。1人の世界から少しずつ皆がいる世界へ進出中。

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