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好きにならざるを得ない…齋藤潤と木戸大聖のやりとりに魅了されたワケ。ドラマ『9ボーダー』第6話考察&感想レビュー

  • 2024.5.29
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『9ボーダー』第6話より ©TBS

川口春奈がTBS金ドラ初主演。木南晴夏&畑芽育と3姉妹役を演じるドラマ『9ボーダー』。19歳、29歳、39歳…各年代のラストイヤーで、3姉妹がモヤり、焦りながら、自分の生きる道を模索するヒューマンラブストーリー。今回は第6話のレビューをお届けする。(文・菜本かな)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:菜本かな】
メディア学科卒のライター。19歳の頃から109ブランドにてアパレル店員を経験。大学時代は学生記者としての活動を行っていた。エンタメとファッションが大好き。

『9ボーダー』第6話より ©TBS
『9ボーダー』第6話より ©TBS

辛いことがあったとき、そばにいてほしいと思う人。何も言わずに背中をさすってくれる人。七苗(川口春奈)にとって、それはコウタロウ(松下洸平)だった。

【写真】斎藤潤と木戸大聖の姿が堪能できるカットはこちら。ドラマ『9ボーダー』劇中カット一覧

どんなに彼が危ない人だとしても、好きな気持ちは止めることができない。回想シーン(記憶を失う前)のコウタロウは、何やらダークな雰囲気を纏っていたが、七苗もわたしたち視聴者も、今の平和で温厚な空気を醸し出している彼を信じるしかないのだ。

それにしても、『9ボーダー』(TBS系、毎週金曜よる10時)第6話は波乱続きの回だった。失踪していた父・五郎(高橋克実)が帰ってきて、三姉妹に弟がいることが明らかになる。

17歳の九吾(齋藤潤)は、三姉妹の母が家を出て行ったあとにお腹にいることが明らかになったようだが、実の弟らしい。19歳、29歳、39歳とむずかしい年頃の三姉妹と、多感な17歳がすんなり打ち解けられるわけがなく……。その上、母が3年前に亡くなったことが明らかになり、三姉妹は“これからの人生”を考えるどころではなくなってしまった。

そんなとき、七苗の心にそっと寄り添ったのは、やっぱりコウタロウだった。コウタロウの優しさって、押し付けがましくない。そよ風のようにヒュルヒュルとやってきて、心のなかにスーッと入ってくるような。軽やかな優しさ。

落ち込んでいる七苗の背中を優しくさすってあげている姿を見て、やっぱりコウタロウは素敵な人だなと再確認した。この先、「違いますよ、本当は悪い人ですよ」なんてことがあったとても、「でも、今はいい人なんだからいいじゃないですか!」と反論したくなってしまうかもしれない。どうか、いい人であってくれ……。

『9ボーダー』第6話より ©TBS
『9ボーダー』第6話より ©TBS

陽ちゃん(木戸大聖)は、思春期の子の心に寄り添うのがうまい。現世では酒屋だけれど、前世は思春期コンサルタント(なんだ、それ)でもやっていたのではないだろうか。八海(畑芽育)が、姉妹喧嘩をして家を飛び出したときも、「俺が行く」と真っ先に追いかけていた陽ちゃん。

八海の場合は、たしかに陽ちゃんが行くのがいちばん良さそうだよな……と思ったけれど、出会ったばかりの九吾が飛び出したときにまで、「俺が行って見てくる」と立候補するなんて。しかも、九吾が大庭家に帰りづらそうなのを察して、自分の家に泊めてあげるのも優しすぎる。

みんなが心配しないように、「九吾うちに泊めるから心配すんな」とメッセージを送るところまで含めて、完璧だ。

こんな姿をずっと見てきた八海は、陽ちゃんのことを好きにならざるを得なかったんだろうなと思う。10代の頃って、身近にいる年上の男性がすごく大人っぽく魅力的に映ったりするもの。

それだけでなく、陽ちゃんは八海が寂しいとき、ずっと一緒にいてくれた。ただ、陽ちゃんからしたら、それは九吾に優しくするのと同じような感覚。だから、八海は陽ちゃんに優しくされるのが嫌だった。

優しくされると、子ども扱いされているような気持ちになるから。七苗の前では不器用で空回りしているくせに、自分の前では器用に立ち振る舞う陽ちゃんを見るのが、苦しかったんだと思う。

「もうすぐ、ハタチだよ。まだまだこれから伸び代だらけだし。きっとすぐ誰かに出会うと思う。だから、心配しないで」

陽ちゃんに振られるのを察知した八海が言った言葉。これが本心なのかは分からないが、筆者は八海はもう陽ちゃんのことを吹っ切ったんじゃないかな? と思っている。陽ちゃんに恋をしたことで、八海は新しい夢を見つけることができた。

“妹的存在”から昇格することはできなかったけれど、陽ちゃんが与えてくれた恋の喜びや悲しみやもどかしさを抱きながら、八海はまた歩き出していくのだろう。まだ、ハタチ。これから、たくさんの伸び代がある。それに、きちんと終わらせることができた恋は、“思い出”にできる。

『9ボーダー』第6話より ©TBS
『9ボーダー』第6話より ©TBS

“三姉妹の弟”九吾を演じている齋藤潤は、綾野剛と共演した『カラオケ行こ!』(2024年)で大きな話題を集めた16歳。まだそこまで多くの作品に出演しているわけではないが、何年後かには演技派俳優として名を馳せている予感がするので、チェックしておきたい新星だ。

齋藤は、憂いのある表情がうまい。思春期特有の鬱屈とした気持ちを、瞳の揺れでうまく表現することができる。『9ボーダー』でも、口では生意気なことを言いながらも、心の奥では“助けて”と叫んでいるような。瞳の奥まで神経を尖らせた繊細な演技が印象的だった。

そんな九吾が新加入した大庭家。銭湯リニューアル計画や、六月(木南晴夏)と朔(井之脇海)の恋愛はどうなるのか? など気になる部分がたくさんあるが、なかでもコウタロウの正体は七苗のみならず大庭家全体を揺るがす大問題になってくるだろう。

第6話のラスト、八海がSNSに投稿したコウタロウの歌唱動画が、異常にバズっていた理由とは……。次週の放送が待ちきれない!

(文・菜本かな)

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