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90歳の孤独…それでも。ベストセラーエッセイ『九十歳。何がめでたい』映画化!魅力3選

  • 2024.5.28
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シリーズ累計175万部のベストセラーエッセイ『九十歳。何がめでたい』(Ⓒ佐藤愛子/小学館)。
90歳を迎えた作家自身の、日々の暮らしと世の中への怒り、戸惑いを独特なユーモアでつづった作品です。

その実写映画が、6月21日(金)に公開されます。

「読むと元気が出る」「笑って泣ける」などのエッセイの評判を耳にしながらも、正直、直木賞を受賞するような「特別な人」だからこその90歳の生き方なのだろうと、自分には関係のないもののように思っていました。

ただ、映画を観てみると、そうではないことがわかりました。
あらゆる世代に通じるメッセージがありました。

試写会に参加して感じた、映画『九十歳。何がめでたい』の魅力を3つのポイントにしぼってお伝えします。

【この記事の内容】
・魅力① 90歳が主人公、でもあらゆる世代に届くメッセージ
・魅力② 映画だからこそ…90歳の主演女優の力強さ
・魅力③ エッセイを読む前でも、読んだ後でも
・ストーリー、キャストなど

【前田哲監督インタビュー記事:「 人生ってどの時代もしんどい。だから…」監督に聞いた!映画『九十歳。何がめでたい』の見どころ】

魅力① 90歳が主人公、でもあらゆる世代に届くメッセージ

作家・佐藤愛子さんは、1923年・大正12年生まれ。1969年に『戦いすんで日が暮れて』で直木賞を受賞するなど活躍してきました。

そんな「特別な人」にも、体や心の変化は等しく訪れることを、映画は無視せず描いています。

Sitakke
Ⓒ2024映画「九十歳。何がめでたい」製作委員会 Ⓒ佐藤愛子/小学館

88歳で書き上げた長編小説『晩鐘』を最後に「断筆宣言」をしてからの、鬱々とした日々。
娘や孫には伝わらない、孤独。

その表情が、ストーリーが進むにつれて、どんどん変わっていきます。

Sitakke
Ⓒ2024映画「九十歳。何がめでたい」製作委員会 Ⓒ佐藤愛子/小学館

90歳も、楽しく生きられる…
佐藤さんが怒りも快活に表現し、表情が豊かになっていくまでの過程からは、「特別な人」だけではない、誰にでも通じる「何歳でも楽しく生きるためのヒント」が伝わってきました。

90歳前後の方にとっても自分に重ねて観られるのかと思いますが、映画の中では、ある登場人物が佐藤さんに力をもらうシーンがあります。
映画全体が明るく、笑いながら楽しく観られるのに、突然泣けるシーンがやってきたり、深い余韻のある言葉が出てきたりします。

90歳・100歳まで続くかもしれない、これからの人生。
どう年を重ねていきたいか、どう生きていきたいか…

どんな世代が観ても、老後のためではなく、現代の社会を生きるために背中を押してもらえるような、メッセージ性を感じました。

魅力② 映画だからこそ…90歳の主演女優の力強さ

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Ⓒ2024映画「九十歳。何がめでたい」製作委員会 Ⓒ佐藤愛子/小学館

佐藤さん役の草笛光子さんは、ちょうど90歳。
印象的だったのは、「これで90歳か…」と息を飲む、その声の力強さです。

佐藤さんのエッセイは、現代の生きづらい世の中を冷静に、かつズバッと切っていく口調が魅力です。
その文章を読み上げる草笛さんの声の緩急、はつらつとした言い切り方が、とにかく素敵。

文章の力に、草笛さんの声が合わさることで、さらに心に届く…
映画化したからこその魅力だと感じました。

評判を聞きながらも、自分には関係ないと読まずにいたエッセイ。
試写会の後、そのまま書店に向かい、すぐに原作2冊を買ってしまいました。
「もっと佐藤さんの言葉を聞いてみたい」と思ったからです。

魅力③ エッセイを読む前でも、読んだ後でも

Sitakke
Ⓒ佐藤愛子/小学館

原作エッセイ『九十歳。何がめでたい』、『九十八歳。戦いやまず日は暮れず』(Ⓒ佐藤愛子/小学館)。

映画の中でも印象的だった、90年生きてきたからこその視点にハッとする言葉もありました。
映画では描かれなかった、実際のニュースや社会問題に切り込む話もあり、「"みんな"がああ見ていたニュースをそう見るんだ」と驚いたりしました。
軽く、面白く読めるのに、読んだ後には余韻が残るのです。

反対に、エッセイにはなかった映画ならではの楽しみも再発見しました。

映画で描かれるのは、エッセイが誕生するまでのストーリーと、エッセイを書くことによる佐藤さん自身や周囲の変化。

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Ⓒ2024映画「九十歳。何がめでたい」製作委員会 Ⓒ佐藤愛子/小学館

唐沢寿明さんがコミカルに、かつ真剣に演じきる、個性的な編集者・吉川真也が、映画だからこその見どころの一つです。
吉川と家族のストーリーには、エッセイから力をもらう読者の姿のひとつが表現されているように感じました。同時に吉川も、佐藤先生に大きな影響を与えていきます。

木村多江さんや三谷幸喜さんなどなど、豪華なキャストが演じる、周囲の個性的なキャラクターたちも、映画全体の明るい雰囲気や痛快さを生み出しています。

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Ⓒ2024映画「九十歳。何がめでたい」製作委員会 Ⓒ佐藤愛子/小学館

真矢ミキさんが演じた佐藤さんの娘、藤間爽子さんが演じた孫も魅力的。2人の演技はもちろん、衣装や自宅セットにもこだわりを感じました。

Sitakke
Ⓒ2024映画「九十歳。何がめでたい」製作委員会 Ⓒ佐藤愛子/小学館

草笛さんと唐沢さんは、なぜこんな衣装を着ているのか、何をしているのか…
ここも観ていて楽しいシーンの一つです。

エッセイを読まずに映画を観ても楽しめ、後から読んだエッセイも楽しめました。
反対にすでにエッセイを読んだ方にとっても、どう映画化しているのか、どのようにエッセイに登場するエピソードが盛り込まれているのかを楽しむことができると思います。

楽しいだけではない人生、生きづらい世の中。
去年100歳を迎えた佐藤さんの人生にも、たくさんの苦労がありましたが、その乗り切り方がすごいのです。

人生100年時代。これからを前向きに生きるためのヒントを探しに、映画『九十歳。何がめでたい』を観てみてはいかがでしょうか。

映画『九十歳。何がめでたい』 6月21日(金)全国公開

Sitakke
Ⓒ2024映画「九十歳。何がめでたい」製作委員会 Ⓒ佐藤愛子/小学館

・ストーリー
数々の文学賞を受賞してきた佐藤愛子。90歳を過ぎ断筆をして人付き合いも減り、鬱々と過ごしていたところに、中年の編集者・吉川がエッセイの依頼を持ち込む。「いちいちうるせえ!」と世の中への怒りを赤裸々に書いたエッセイは意図せず大好評となり、愛子の人生は90歳にして大きく変わっていくのだが…

・キャスト
草笛光子
唐沢寿明 / 藤間爽子 片岡千之助 中島瑠菜
オダギリジョー 清水ミチコ LiLiCo 宮野真守 石田ひかり 三谷幸喜
木村多江 真矢ミキ

(実は、HBC大竹彩加アナウンサーも出演しています…!
大竹アナによる監督インタビュー記事:「 人生ってどの時代もしんどい。だから…」監督に聞いた!映画『九十歳。何がめでたい』の見どころ)

・企画・プロデュース:岡田有正
・企画:古賀誠一 石塚慶生
・プロデューサー:近藤あゆみ 山田大作

・原作:佐藤愛子『九十歳。何がめでたい』『九十八歳。戦いやまず日は暮れず』(小学館刊)

・監督:前田哲
・脚本:大島里美
・音楽:富貴晴美
・製作:2024映画「九十歳。何がめでたい」製作委員会
・制作プロダクション:スタジオブルー
・配給:松竹

ⓒ2024映画 「九十歳。何がめでたい」製作委員会 ⓒ佐藤愛子 小学館

文:Sitakke編集部IKU

※掲載の内容は試写会時(2024年5月)の情報に基づきます。

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