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にんにくを食べ過ぎるとどうなる?薬剤師直伝!食べ過ぎた後の対処法

  • 2024.5.28
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にんにくは体にいいイメージはあるものの、どのような栄養素が含まれていて、どんな効果があるのか知らない人も多いのではないでしょうか。また、にんにくの食べ過ぎには注意が必要です。

にんにくに含まれる栄養素や期待される効果、食べ過ぎによる影響から、1日どのくらいまでセーフなのかという摂取目安量、そして食べ過ぎのデメリットを防ぐおすすめの食べ合わせを紹介します。

解説は、牛角・吉野家他薬膳レストラン等15社以上のメニューを開発してきた、薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーターの山形ゆかりさんです。

にんにくが持つすごいパワー! こんな栄養素が詰まってる

にんにくには、ビタミンB1、B6、アリイン、カロテン、リンなど多くの栄養素が含まれています。

にんにく(生)1個50gあたりの栄養成分

エネルギー 65kcal
たんぱく質 3.2g
脂質 0.5g
炭水化物 13.8g
─食物繊維 3.1g
ナトリウム 4mg
カリウム 260mg
カルシウム 7mg
マグネシウム 12mg
リン 80mg
鉄 0.4mg
亜鉛 0.4mg
銅 0.08mg
ビタミンE(α−トコフェロール) 0.3mg
ビタミンB1 0.10mg
ビタミンB2 0.04mg
ナイアシン当量 0.9mg
ビタミンB6 0.77mg
葉酸 47μg
パントテン酸 0.28mg
ビオチン 1.0μg
ビタミンC 6mg

出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

にんにくって何がいいの? 期待できる効果とは

にんにくに含まれる「アリイン」は重要栄養素

なかでも、アリインは健康にとって重要な働きが期待されている栄養素です。

アリインは体内で分解されてアリシンという成分になります。アリシンはにんにく特有のニオイの原因成分でもありますが、私たちの健康をサポートしてくれる成分です。

具体的には以下のような働きが期待できます。

  • 疲労回復
  • 生活習慣病予防
  • 血糖値の上昇を抑える
  • 血流を改善する

アリシンは、にんにくのほかに長ネギ、らっきょう、ニラなどにも含まれます。言われてみれば、どれも疲れ対策におすすめの食べ物としてよく登場しますね。

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にんにくを食べ過ぎるとどんな症状が出る?

健康にいい効果がたくさんあるにんにくですが、食べ過ぎると、さまざまな悪影響を引き起こす可能性があります。

にんにくの食べ過ぎが原因で起こりうる4つの症状を紹介します。

腸内環境の悪化により腹痛・下痢が起こる

にんにくを摂り過ぎると、アリシンによって腸内環境が悪化してしまう可能性があります。

アリシンには強い殺菌作用があり、体内でアリシンが大量に生成されると、腸内の悪玉菌だけではなく善玉菌も死滅させてしまうのです。

また、強い殺菌作用によって、胃の粘膜や胃壁が荒れることもあります。胃腸への刺激が強くなり、腹痛や下痢を引き起こす場合があります。

腸内環境の悪化により、肌荒れ・口内炎を引き起こす

にんにくの摂り過ぎによる腸内環境の悪化は、肌荒れや口内炎を引き起こすこともあります。

腸内にはビタミンを生成する細菌も存在していますが、善玉菌と同様に、アリシンが大量に生成されるとビタミンを生成する細菌も死滅しやすくなるのです。

細菌の死滅によってビタミン不足となり、肌荒れや口内炎の原因となります。

アリインの過剰摂取により貧血を招く

ホイル焼きや醤油漬けのようににんにくを丸ごと調理したものを過剰に摂取すると、アリインが体内へ吸収され、貧血やめまい、血圧低下などを引き起こす可能性があります。

アリインが大量に体内へ入ると、血中のヘモグロビンの数が減少します。ヘモグロビンは赤血球の材料のひとつであるため、ヘモグロビンが減少することで赤血球が破壊され、貧血などの症状を招いてしまうのです。

アリシンにより体臭・口臭に影響する

にんにくに含まれるアリインが分解されてできるアリシンは、にんにくの独特のにおいのもとです。そのアリシンは加熱などを行うと化学反応によってジアスルファイドに変わります。

ジアリルジスルファイドは悪臭の原因であり、にんにくを大量に摂取すると、生成したジアリルジスルファイドが口や皮膚から放出され、ニオイがキツくなるのです。

にんにくは1日何粒まで? 摂取目安量は2〜3片

にんにくの1日の推奨摂取量は以下が目安です。

  • 生のにんにく5〜10g(1〜2かけら)
  • 加熱したにんにく10〜15g(2〜3かけら)

ただし、胃腸が弱っているときや体調が優れないときに食べると胃腸に負担がかかる可能性があります。とくに、生のにんにくは刺激が強いため摂取量を減らしましょう。

すりおろしの場合、スプーンのサイズにもよりますが、1杯程度でしょう。

にんにくを大量に食べたい! 食べ過ぎによるデメリットをなるべく防ぐ方法

にんにくは適量を食べるのが一番ですが、食べ過ぎてしまった場合でも、工夫次第で影響を防げる可能性があります。

にんにくは加熱してから食べる

生のにんにくを食べずに、加熱してから食べるのがポイントです。生のままで食べるとアリシンが胃腸を刺激し、負担がかかるおそれがあります。

にんにくに含まれるアリインは「アリナーゼ」という酵素によって分解されアリシンが作られます。この「アリナーゼ」は熱に弱い性質をもつため、加熱調理することでアリシンの生成を抑えられるのです。

空腹時は避ける

にんにくを空腹時に食べると、胃の粘膜への刺激が強く、腹痛などの不調を引き起こしやすくなります。

空腹時、にんにくだけを食べるのは避け、食事の際にほかの食材と一緒に少しずつ食べるのがおすすめです。

カテキンを含む飲み物を一緒に飲む

にんにくを食べるときは、緑茶やウーロン茶、ジャスミンティーを飲むことでニオイを抑えることができます。

これらの飲み物に含まれているカテキンには消臭効果があり、にんにくのニオイを軽減する効果が期待できるのです。食事中だけでなく、食後に飲むのもおすすめです。

時すでに遅し! にんにくを食べ過ぎた後の対処法

にんにくすりおろし、にんにくのホイル焼き……つい食べ過ぎてしまった場合、どのような対処法があるでしょうか。

水分を摂取し、にんにくの成分を早く排出する

にんにくを食べ過ぎてしまった場合は、水分をたくさん摂り、体からにんにくの成分を早く排出しましょう。

アリシンは水溶性の成分であるため、水分を摂取することで排出しやすくなります。冷たい飲み物だと胃腸を刺激してしまうため、白湯を飲むのがおすすめです。

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にんにくの栄養を引き出す、おすすめの食べ合わせ食材

にんにくは単体でも栄養豊富な食材ですが、食べ合わせを工夫することで、さらに相乗効果が期待できます。

ビタミンB1を多く含む食材

ビタミンB1は糖質をエネルギーに変換する働きに関係している栄養素です。にんにくと一緒にビタミンB1を多く含む食材を食べると、ビタミンB1が体内に吸収されやすくなり、より高い疲労回復効果が期待できます。

ビタミンB1を多く含む食材は、豚肉やほうれん草、玄米などがあります。

タンパク質を多く含む食材

にんにくに含まれるビタミンB6には、タンパク質の分解を助け、エネルギーの変換をサポートする働きがあります。

肉や魚などタンパク質を豊富に含む食材と一緒に食べると、効率的にエネルギーへ変換できます。

発酵食品

ヨーグルトやキムチなどの発酵食品と一緒に食べると、腸内環境を整える効果が期待できます。

にんにくの食べ過ぎは腸内環境の悪化の原因となりますが、適量であれば、にんにくに含まれるオリゴ糖が善玉菌のえさとなり、腸内環境を整えるのに役立ちます。

ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌を含む発酵食品と一緒に摂取することで、高い腸内環境の改善効果が期待できるのです。

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にんにくアレルギーにも注意!

食べ過ぎによる影響ではなく、にんにくに含まれるタンパク質が原因で、アレルギー反応を示す場合もあります。

にんにくアレルギーの症状には、以下のようなものがあります。

  • 皮膚のかゆみや発疹、発赤
  • 嘔吐、下痢
  • 咳、息切れ
  • 顔やまぶたの腫れ
  • 目のかゆみや腫れ

にんにくを食べた後にこのような症状が出た場合には、うがいや手洗いなどで付着したアレルゲンをできるだけ洗いし、すぐに医療機関を受診してください。

にんにくは適量の摂取と食べ合わせが重要

にんにくは、栄養豊富で疲労回復や血流改善など、からだにいい効果が期待できる食材です。しかし、食べ過ぎると、不調を招く原因となる可能性があるため注意しなければいけません。

生の場合は1日1〜2片、加熱する場合は1日2〜3片を目安に、食べ合わせを工夫しながらにんにくを取り入れていきましょう。

監修・執筆者プロフィール

あんしん漢方薬剤師 山形 ゆかり

薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーター。病院薬剤師として在勤中、食養生の大切さに気付き薬膳の道へ入り、牛角・吉野家他薬膳レストラン等15社以上のメニュー開発にも携わる。「健康は食から」をモットーに健康・美容情報を発信するMedical Health -メディヘルス-Youtubeチャンネルで簡単薬膳レシピ動画を公開するなど精力的に活動している。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。

<Edit:編集部>

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