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『ONE PIECE』エースの死は本当に無意味なのか?“無駄死に説”を否定する根拠

  • 2024.5.27
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『ONE PIECE』103巻(尾田栄一郎/集英社)

ワノ国編が終わり、佳境を迎えている大人気漫画『ONE PIECE』。同作のターニングポイントとしてよく挙げられるのが、ポートガス・D・エースの死だ。心ない読者の間では「無駄死にだった」とも言われているが、実際のところその死には意味があったのだろうか。

尊い犠牲者を生んだエース奪還作戦

エースといえば、ルフィの兄にして海賊王ゴール・D・ロジャーの実子。「白ひげ海賊団」の船長である白ひげを父のように慕っており、正義と仁義に生きる熱血漢だった。

しかしその激情型の性格が、エースの寿命を縮めることに。白ひげを裏切ったマーシャル・D・ティーチを討とうとするも、あえなく敗北し、海軍に引き渡されてしまう。そしてマリンフォード頂上戦争にて、処刑寸前のエースをめぐる海軍と海賊たちの大衝突が引き起こった。

そこからはご存じのように、エースを非業な運命が待ち受けていた。処刑台から逃れたものの、当時の海軍本部大将・赤犬(サカズキ)が白ひげを侮辱したことを許せず、バトルに突入。ルフィをかばい、命を落とす──。

白ひげが落命した上、救出対象だったエースも死亡するという最悪の展開。そのことに忸怩たる思いを抱く人も多いようで、ネット上では《エースの死って無駄だったのかな…》と疑問を抱く声も上がっている。

たしかに悲劇というほかない展開ではあるが、本当にエースは無駄死にだったのだろうか。

エースが遺していったもの

一連のエピソードがもつ意味について、よく読者の間で言われているのが、「ルフィが強くなるきっかけだった」という説だ。実際に目の前で兄を失ったルフィは、その後目覚ましい成長を遂げ、世界に名だたる大海賊へと成り上がっている。彼の胸には、エースの意志がしっかりと宿っているはずだ。

しかしその一方、ルフィが強くなるための動機付けとしては、シャボンディ諸島で十分だったという説も。バーソロミュー・くまに歯が立たず、守るべき「麦わらの一味」メンバーを次々と失っていったことはトラウマ級の出来事であり、そこから奮起するというストーリー展開もあり得ただろう。

ルフィとは無関係なところでいうと、エースはその後「ワノ国編」の回想シーンに度々登場。しかしメインストーリーの軸にはあまり絡んでこず、エースと関わりのあるヤマトも仲間にならなかった。

ただ、エースの犠牲によって表現されたものもたしかにある。マリンフォード頂上戦争では、「海軍の正義」が歪であることがハッキリと描き出されていた。その結果、なぜ「ONE PIECE」において主人公が“悪”であるはずの海賊であり、海軍に敵対するのか…というテーマを成立させることにも成功している。

なにより良し悪しはともかく、エースという人間の行動として、マリンフォード頂上戦争の行動が納得できるものであることは事実。目の前で白ひげを罵倒されて激情しつつ、弟であるルフィを命を賭して守ったのは、立派な生き様というほかない。

今後、エースの存在意義があらためて作中でフィーチャーされることに期待したい。

文=「まいじつエンタ」編集部
写真=まいじつエンタ

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