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「僕の後継者になってくれ」…キャリアにコンプレックスのある40代女性が堕ちた「経営者との不倫」【前編】

  • 2024.5.26

40代になって自分が望むようなキャリアを形成できていない場合、強烈な焦りを抱くことがあります。自身の将来への不安から、嘘つきな経営者との不倫から抜け出せなくなった優子さん(仮名)のエピソードを、メンタル心理カウンセラーの並木まきがお届けします。

友人たちには敵わないとコンプレックスを抱く日々

優子さんは、30代までずっと派遣社員としていろいろな職場を転々とし、気づけば40代になっていたそう。「これ」というキャリアもなく、婚活もうまくいかなかったため、職場と自宅を往復するだけの地味な生活を送っていたと語ります。
そんなある日、友人に誘われた異業種交流会で経営者を名乗る男性の長野さん(仮名)と出会い、不倫関係へ…。その背景には、優子さんがずっと秘めてきたコンプレックスが関係しているそうです。

「学生時代の友人たちはみんな昇進したり独立したりで、社会的な地位もどんどん上がっているのに、自分だけずっと派遣社員で何のキャリアも積んでいないことに強いコンプレックスを抱いていました。
だから長野さんと出会ってすぐに、“俺は婚歴があるけれど、子どもがいない。つまり後継者がいないから、会社を継いでくれる女性を妻にしたいんだ。君にはその資質がありそうだから、僕と付き合わないか?”と口説かれたときに、こんな私にもチャンスが巡ってきた! と嬉しくなってしまったんです」

当初は、長野さんがバツイチだと思い込んでいたと話す優子さん。交際を始めて3か月ほどは、長野さんのことをずっと独身だと思っていたところ、あるときに「ウチの妻が」と長野さんが電話で話しているのが聞こえてきて、自分たちの関係は不倫関係だったと悟ったそうです。

不倫ならやめると伝えるも後継者問題で懇願され…

「不倫だと知ってからは、もう長野さんと付き合っていても将来はないだろうと思ったので、すぐに私から別れたいと話をしました。でも長野さんは“婚歴があって子どもがいないというのは真実だ。ただ妻と籍が入っているだけで、子どもがいないことで夫婦仲も冷めていて、ただの同居人だ。ゆくゆくは離婚をするし、会社を君に継いでもらいたい気持ちは変わっていない”と必死に私を繋ぎ止めようとしてきて…。
すごく迷ったのですが結局、長野さんの後継者問題には私も魅力を感じていたので、そのまま不倫でもお付き合いを継続することにしたのです」

優子さんは、できることなら長野さんに早期に離婚をしてもらいたいと思いながらも、変に離婚を迫って長野さんの機嫌を損ね、後継者の話が白紙になるのが怖かったとのこと。そのため、離婚を迫るようなことは一切せずに、長野さんの会いたいときに応じる形でデートを重ねていたと振り返ります。

「それはそれで楽しかったし、長野さんはまだまだ仕事で現役を続けるつもりっぽかったので、こうなったら私は10年、20年という単位で長野さんのそばにいるしかないなって覚悟を決めました。最終的に会社を譲ってもらえれば老後の心配もなくなるし、当時の私は、長野さんについていけば安心だって思っていたんです」

優子さんのように「好きだから」という理由以外でも、不倫をズルズルと続けてしまう人がいます。しかし自分が望んでいるものを、不倫を続けることによって得られると期待しても、その期待が叶う可能性は極めて低いと考えたほうが賢明でしょう。不倫は、世間からは認めてもらえない関係性である以上、社会的な特権が得られるケースはほとんどないのが現実ではないでしょうか。
©beeboys/Adobe Stock ©west_photo/Adobe Stock

文・並木まき

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