1. トップ
  2. グルメ
  3. 【ファストフード】テイクアウトで違う商品が入っていた 一口でも食べちゃうと交換&返金は無理?法的責任は?弁護士に直撃

【ファストフード】テイクアウトで違う商品が入っていた 一口でも食べちゃうと交換&返金は無理?法的責任は?弁護士に直撃

  • 2024.5.26
飲食店のテイクアウトサービスを利用したときに注文商品とは違うものが入っていることも
飲食店のテイクアウトサービスを利用したときに注文商品とは違うものが入っていることも

ファストフード店や牛丼店などの飲食店でテイクアウトサービスを利用後、自宅で中身を確認したときに注文商品とは違う商品が入っていた経験はありませんか。紙製のカップに入っている飲み物の場合、飲んでみて初めて商品の入れ違いに気付くことがあります。

飲食店のテイクアウトサービスの利用時に注文商品とは違う商品が入っていた場合、その商品を一口でも食べたり飲んだりすると、商品の交換のほか、注文のキャンセルによる返金が認められない可能性はあるのでしょうか。

また、「400円の商品を注文したのに、700円の商品が入っていた」といった形で注文商品よりも高額な商品が間違えて入れられていた場合、店に連絡せずに黙って食べると、法的責任を問われる可能性はあるのでしょうか。芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士に聞きました。

間違いと知りながら食べると詐欺罪の可能性

Q.そもそも、飲食店のテイクアウトサービスの利用時に商品を間違えられたり、注文商品が入っていなかったりした場合、法律上、店に対してどのような要求が可能なのでしょうか。

牧野さん「飲食店と顧客との間の契約は、基本的に売買契約とされます。商品を間違えられたり、注文商品が入っていなかったりした場合は、『契約不適合』の問題となります。

売買契約に基づき、引き渡された飲食物につき、目的物の種類や数量、品質のいずれかで契約内容との間に相違(契約不適合)があった場合、顧客は飲食店に対して、履行の追完請求、つまり未納商品の引き渡しを請求できるほか、未納商品の注文をキャンセルすることで、その商品の代金分の支払いの減額を求めることができます。

通常は、その場で、未納商品の引き渡しや代金の減額で解決されるでしょう(民法562条、563条、566条)」

Q.飲食店のテイクアウトサービスの利用時に、注文商品とは違う商品が入っていることがあります。もしその商品を一口でも食べたり飲んだりしてしまった場合、商品の交換のほか、注文のキャンセルによる返金が認められない可能性はありますか。

牧野さん「例えば、注文商品とは違う商品だと気付かずに一口でも食べてしまった場合、原則として、未納商品の引き渡しのほか、当該商品の注文のキャンセルによる支払代金の減額を請求できます。

一方、注文商品とは違う商品が入っていたことに気付いたにもかかわらず、その商品が注文商品よりも高額だという理由などで一口でも食べたり飲んだりしてしまった場合は、事情が異なります」

Q.では、ファストフード店のテイクアウトサービスの利用時に400円のハンバーガーを注文したにもかかわらず、店側のミスで700円のハンバーガーが袋に入っていたとします。注文商品とは違うと気付きながら、店に連絡せずに黙って食べた場合、法的責任を問われる可能性はあるのでしょうか。

牧野さん「例えば、400円のハンバーガーを注文したのに、店側のミスで700円のハンバーガーが入れられていた場合、顧客が注文した商品とは違う商品と知りながら、飲食店に申告せずに黙って食べてしまうと、刑法246条1項の詐欺罪(法定刑は10年以下の懲役)が成立する可能性があります。

間違って入っていた商品と注文商品の差額である300円をだまし取る行為に該当するほか、店に伝えない行為(不作為)が、人をだます行為に当たる可能性があるからです。

このほか、民法709条の不法行為による損害賠償、または民法703条の不当利得の返還義務に基づき、飲食店が被った300円分の損害の賠償を請求される可能性があります。

ただし、そもそも飲食店側のミスから生じたことであり、飲食店が顧客に対して、あえて詐欺罪の告訴や差額の返金請求を行うことは、顧客がよほど悪質でない限り、現実にないものと思われます」

Q.飲食店のテイクアウトサービスの利用時に、注文していない商品が余分に入っていることがあります。もし店に連絡せずに余分に入っている商品をそのまま食べてしまった場合、法的責任を問われる可能性はあるのでしょうか。

牧野さん「飲食物が余分に入っていたと気付いたにもかかわらず、その商品を食べたり飲んだりした場合、顧客側の詐欺罪が成立する可能性があるほか、差額代金の賠償責任を負う可能性があります。

不本意な法的責任を負わないためにも、顧客はまず店に連絡をして対応を協議することがとても重要です。店に連絡すると、店側から『返却せずにお客さまの方で処分してください』などと言われ、責任を免除される場合もあるでしょう」

オトナンサー編集部

元記事で読む
の記事をもっとみる