1. トップ
  2. エンタメ
  3. 「3人の絆に箔がついてきた」『THE3名様Ω』佐藤隆太・岡田義徳・塚本高史インタビュー。伝説の脱力系コメディが完全復活

「3人の絆に箔がついてきた」『THE3名様Ω』佐藤隆太・岡田義徳・塚本高史インタビュー。伝説の脱力系コメディが完全復活

  • 2024.5.25
  • 2104 views
写真: 宮城夏子
スタイリスト:勝見宜人(Koa△Hole△inc.)
スタイリスト勝見宜人Koa△Hole△inc

―――私は88年生まれで、高校生の頃からお三方が出ているドラマをたくさん見て育ってきました。『THE3名様』も、スタート当時、DVDを近所のレンタルショップに借りに行きました。

佐藤隆太(以下、佐藤)「嬉しいな。お小遣いあげたくなっちゃうよ(笑)」

塚本高史(以下、塚本)「簡単なおじさんだね(笑)」

岡田義徳(以下、岡田)「リュウちゃん、本当にあげちゃうから(笑)」

【写真】3人の仲の良さが伝わる取材カット。『THE3名様Ω』佐藤隆太・岡田義徳・塚本高史インタビューカット一覧

―――(笑)今回の『THE3名様Ω』は、2022年の映画『THE3名様 ~リモートだけじゃ無理じゃね?~』以来2年ぶりの再結集となりましたが、現場の雰囲気はいかがでしたか?

岡田「クランクイン前に、スタッフ・キャストの負担を減らせるように打ち合わせを沢山したんですよ。その甲斐もあって、撮影中のストレスがほとんどなくて、撮影を存分に楽しめました」

佐藤「特に『THE3名様』の撮影は、スケジュールがとてもタイトで、ものすごいスピードでこなさなければいけないんですが、今回は僕たち3人のやりたいことがかなり反映されていたこともあって、今までで一番楽しめましたね」

塚本「僕は、前回の撮影が12年のブランクがあって、正直かなり不安だったんですが今回は完全に手ごたえをつかんだ感じがあって、とても楽しめました。次回作があれば、もっとブラッシュアップできる自信があります」

―――脚本には、お三方のアイデアも反映されているのでしょうか。

佐藤「そうですね。今回は、僕たちが(石原)まこちん先生の原作から実写化したいエピソードを選んで、お互いに意見を出し合いながら作っていくという形で制作を進めたんです。逆に言うと、面白くなかったら僕たちの責任になるので、撮影は気が引き締まりましたね」

スタイリスト:上井大輔(demdem inc.)メイク:YASU
スタイリスト上井大輔demdem incメイクYASU

―――前回から演出が福田雄一さんから元々プロデューサーだった森谷雄さんにバトンタッチされていますが、それによって現場の雰囲気は変わりましたか?

塚本「ずっと一緒に仕事をして、気心は知れていますし。特になかったですね。カット割りの関係で、芝居を変えるとかはありましたが、基本はのびのびやらせてもらいました。特に今回は僕らのアイデアを取り入れながら柔軟に対応してくださったので、とてもやりやすかったし、いつにも増してクリエイティブな現場でしたね」

岡田「そうだね。監督のプランもあるから、多少の指示はあったけど、結構自由にやらせてもらいました」

―――では、現場の雰囲気とか撮影の進め方もチーム一体となって作っていけたという感じでしょうか。

佐藤「そうですね。監督は福田さんから森谷さんに変わりましたけど、カメラマンさんも衣装さんも基本スタッフが同じなんですよ。カメラの裏側にいる人たちも含めてチーム一体となってモノづくりができたという点では、今までと変わらないですね」

塚本「みんなの“3名様愛”に支えられてるよね」

佐藤「キャラクターに合うヘンテコな服を真剣に考えてくれたりね。でも、それは、スタッフさんが僕たちを面白がってくれて、僕たちもスタッフさんを信頼しているからこそできることであって。他の現場ではなかなかできないことなので、そういう意味でも特別な作品であることは間違いないです」

岡田「そうそう。僕たちも、スタッフさんに『どう?どれが面白い?』って逆に聞いたりして、みんなの声を反映したりもしてたよね」

―――伸び伸びとした空気感は、確実に映像に映っているなと思って観ていました。

佐藤「そう言ってもらえるのは嬉しいですね。」

ヘアメイク:SHUTARO(Vitamins) スタイリスト:山田陵太
ヘアメイクSHUTAROVitamins スタイリスト山田陵太

――――今回の第2話では、塚本さんが「あいにく」っていうところを「わいにく」って噛んで発音したところ、それに気づいた佐藤さんが即座に突っ込む一幕もありましたね。

塚本「あれはアドリブだったかな。僕もすぐに気づいて言い直したんですけど、この現場は、そういう小さいトラブルも全部拾われちゃうんですよね」

佐藤「そうそう、みんな見逃さないんですよね。面白くなりそうなポイントを。普通だったらギリギリセーフでスルーするはずなんだけど、『ん?』ってなって、そこから広げていく」

―――だからこそやり取りにグルーブ感が生まれて面白くなるのかもしれませんね。「OMAKE OF THE THREE」と題されたコーナーもとても楽しく、見応えがありました。

佐藤「大丈夫でした?だって五円玉に爪楊枝を刺すだけだよ?(笑)」

――――はい(笑)、とても面白かったです。細かいところですが、佐藤さんが岡田さんの代わりに、5円玉を回す役をやってあげていたじゃないですか。あの辺から3人の関係性が垣間見えるなと思って、とても微笑ましかったです。

佐藤「全然覚えていない(笑)。でも、そこまで細かく観てくださってとても嬉しいです(笑)確かにあのパートは脚本もテストもなしで、とりあえず、よーいドン、でアドリブでやってみるという感じで進めました」

岡田「そうだね。現場で思いついたことをとりあえずやってみるっていう感じで、シュールな面白さを追求しているので、3人も限りなく素に近いですね」

―――『THE3名様』がスタートしてまもなく今年で19年、お三方の出会いまで遡れば20年以上の月日が経ちます。

塚本「最初が『木更津キャッツアイ』ですね。2002年のドラマなので、もう22年前ですね」

岡田「もうすぐ四半世紀経っちゃうんだね」

塚本「最年少の僕も40歳を超えて、初老になってしまいましたから」

佐藤「よく考えたら、40過ぎのオッサンがファミレスに3人でたむろしてることって、日常生活であんまりないよね(笑)。10年前とかならまだわかるけど」

岡田「居酒屋だったら結構あるよ。新橋の飲み屋とか“レギュラー”がいるからね(笑)『この人、前もいた!』みたいな」

佐藤「確かに居酒屋ならあり得るなあ」

写真: 宮城夏子
写真 宮城夏子

―――初共演から22年経って、お3方も父親になられたわけですが、撮影の合間の雑談の内容も変わりましたか?

佐藤「自分で言うのも照れ臭いんですが、家族の話は自然と出てくるようになりましたね。“オレたちもこんな話をするようになったんだな”ってしみじみ感じてます」

岡田「健康の話とかね」

佐藤「そうそう。付き合いが長いからこそですけどね」

―――私自身、コロナ禍を経験したことで、人と人が集まって他愛のない話をすることの豊かさを実感したんですが、『THE3名様』はずっと昔からそのことを表現していたわけですよね。

塚本「今回の『THE3名様』は、友情にまつわる泣ける話が多いんですよ。オマエがそんなことを言うと、こっちはちょっとホロッときちゃうぞ、みたいな。19年目でようやく3人の絆に箔がついてきたのかもしれないですね」

―――そういう意味で、このドラマはフィクションではありますが、どこかドキュメンタリーを観ている気分にもさせられるから不思議です。

岡田「確かに。3人とも成長したなあ、って思いますもん。お互いに労りの心が少し出ているのかもしれないですね」

写真: 宮城夏子
写真 宮城夏子

―――最後に、お三方にとって『THE3名様』ってどういう存在なのかをそれぞれお伺いできればと思います。

塚本「一言で言うのは難しいんですが、やっぱりこの作品とこの2人、それからスタッフさんたちと出会えた人生と、出会えていなかった人生とでは、大きく世界線が違うというか…」

佐藤「めっちゃ素敵なこと言うじゃん。今の言葉、佐藤が言ったことにしてください(笑)」

塚本「やめなさい!(笑)自分の言葉で絞り出してくださいよ」

佐藤「てか、今の言葉、前の取材でオレがまんま言った言葉じゃなかったっけ?(笑)」

塚本「いやいやいやいや、言ってないでしょ(笑)」

佐藤「まあ、いいよ。大人だから。年上だから一応いいよって言っておく(笑)」

塚本「成長して急に腹黒くなったなあ(笑)」

岡田「高史がそんな良いこと言うなんて悔しいよ(笑)。まあ、高史の言葉に集約できますが、僕にとって『THE3名様』は、クランクアップの日に何年後かにまた同じスタッフ・キャストで集まってやりたいなって常に思える、そんな作品ですね」

佐藤「実は『THE3名様』は、『ロッカーズ』(2003)っていう映画で3人が共演した時に、プロデューサーの森谷さんに『この漫画をこの3人で実写化したい』って僕が無茶振りしたのがはじまりなんです。そんなきっかけから作品が実現するってなかなかないですし、こうやって復活できたことも本当に嬉しく思っています。

復活するときも待ち望んでくれていた方の沢山の応援の声があって、イベントにも本当に沢山の方に来ていただいたので、応援してくださる人がいる限りは続けていきたいですね。あと、僕たちは定期的に作戦会議をしているのですが、今後はもう一歩踏み込んで、見てくださる方が更に楽しめるようなアイデアも仕掛けていきたいな、と思っています」

写真: 宮城夏子
写真 宮城夏子

岡田「来年は20周年だけど、今度は14年後に33周年できたらいいよね。『THE3名様』だけに」

佐藤「そのときオレら何歳よ」

塚本「オレは56歳」

岡田「オレは61歳、還暦を超えているね」

佐藤「赤いちゃんちゃんこ着てやらないとね(笑)」

塚本「でも、こうやってクリエイティブなこと考えたりやったりすることって、絶対ボケ防止になるよね」

岡田「いや、オレは、面白いアイデア浮かばなくなったらもうやめて、リュウちゃんと高史に任せる」

塚本「それでもいいじゃん。ヨシのリハビリ場として使ってもらえれば」

佐藤「60歳で、ちょっと早くないですか?(笑)」

塚本「(笑)みんなボケないように、他愛のないことでも沢山会話をして頭使っていこう!」
(取材・文:山田剛志)

【配信ドラマ概要】
■タイトル: 『THE3名様Ω』 (全8話)
■配信: 2024年5月24日(金)20時 #1、#2 配信スタート / 以降2話ずつ全4回配信
■出演: 佐藤隆太/岡田義徳/塚本高史
小林大介/桃月なしこ/安藤玉恵 他

元記事で読む
の記事をもっとみる