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<虎に翼>仲野太賀、伊藤沙莉に絶大な信頼「隣に沙莉ちゃんがいてくれると安心します」印象的なシーンや役に重ねた若手時代を語る

  • 2024.5.24
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「虎に翼」より (C)NHK
「虎に翼」より (C)NHK

【写真】新聞を見て驚く寅子(伊藤沙莉)と優三(仲野太賀)

伊藤沙莉がヒロインを務める連続テレビ小説「虎に翼」(毎週月~土曜朝8:00-8:15ほか、NHK総合ほか※土曜は月~金曜の振り返り)に出演中の仲野太賀が、合同取材会に参加し、作品と役の見どころや現場の雰囲気などを語った。

「虎に翼」とは…

同作は、日本で初めての女性弁護士、のちに裁判官となった三淵嘉子をモデルにしたオリジナルストーリー。昭和の初め、女性に法律を教える日本で唯一の学校へ入学し、法曹の世界に進んだ伊藤演じる主人公・佐田(猪爪)寅子。出会った仲間たちと切磋琢磨しながら、日本初の女性弁護士で後に裁判官となり、困難な時代に立ち向かい、道なき道を切り開く寅子の姿を描くリーガルエンターテインメント。脚本は吉田恵里香氏が担当する。

仲野は、寅子の家・猪爪家に下宿している書生の佐田優三を演じる。早くに両親を亡くした優三は、弁護士だった父に憧れて大学に通うが、高等試験(現在の司法試験)にはなかなか合格できない。昼は銀行で働き、夜は大学で勉学に励むという役柄だ。

「虎に翼」への出演は率直にとてもうれしかったです

――「虎に翼」への出演が決まった時の感想を教えてください。

率直にとてもうれしかったです。日本で初めて女性弁護士、そして裁判官になる人物が主人公の物語で、女性が社会進出していく姿が描かれるのは、現代にも通じる話になっていくのかなと思います。今、そういう題材を“朝ドラ”で描くのは、すてきだなと思いましたし、とても楽しみでした。

――仲野さん演じる佐田優三はどういう人物ですか?

佐田優三は、猪爪家に書生として住まわせてもらっています。優三は、早くに両親を亡くして天涯孤独で身寄りがない中、寅ちゃんのお父さんの直言さんに“家に住み込みなさい”と、声をかけてもらい住まわせてもらっています。書生をしながら、直言さんの仕事を手伝い、自分自身も法律の道を目指していくというキャラクターです。

優三が持つ柔和な空気感は大事にしたいなと思っています

――優三を演じるうえで心がけていることはありますか?

優三が持つ柔和な空気感は大事にしたいなと思っています。また、真っすぐに物事に立ち向かっていく猪突猛進な寅ちゃんとは対照的に、優三は頼りない一面もありますが、内には太い芯があることを表現出来たらと思っていました。

――仲野さんは優三と似ている部分はありますか?

夢に向かってひたむな姿や、自分にやりたいことがあるというのは、近いのかなと思います。ただ、僕は優三ほど柔和なキャラクターではなくクラスの中だと騒がしい方のタイプの人間なので、そこは違うかなと思います。

沙莉ちゃんは地に足がついた頼れる主役です

――伊藤さんとの再共演はいかがですか?

沙莉ちゃんは、打ち合わせをせずとも、こちらがどんな芝居をしてようとも、受け入れてくれるので、お芝居がしやすいです!コンビネーションも良いですし、隣に沙莉ちゃんがいてくれると安心します。全く知らない人との夫婦役だとぎこちなくなってしまうこともあると思いますが、沙莉ちゃんとだから、思いっきり飛び込めますし、絶大な信頼をおいています。

――伊藤さんの座長ぶりはいかがですか?

現場でのたたずまいは尊敬の一言です!沙莉ちゃんがいるから現場が明るくなりますし、地に足がついた頼れる主役です。沙莉ちゃんは、思ったことを素直に口に出すのですが、全く嫌な気がしないんです。それが率直な言葉なので、いろんな問題がスムーズに解決されるんです。

周りに気を遣っていろいろな人とコミュニケーションをとってくれますが、気を遣いすぎてない感じもして。(現場の)中心にそういう人がいると、他のキャストもスタッフも、そんな気張らなくても良いんだって、リラックスして現場に入れます。それは、座長が作り出す空気感でもありますので。みんな沙莉ちゃんのことが好きですね!

ゆり子さんが家族団らんのきっかけを作ってくださいました

――(伊藤さんとの)撮影時は、アドリブなどもありますか?

自分から意図してアドリブを仕掛けていくことはないですが、芝居の延長で、出てくるものがあった時は、(伊藤さんが)寅ちゃんとして対応してくれます。脚本からはみ出た瞬間でさえも「虎に翼」の世界観がそこなわれないような、どんな時も寅ちゃんでいてくれる姿はありがたいです。

――猪爪家でのシーンはいかがですか?

撮影の待ち時間は、みんなで折り紙したりしています。石田ゆり子さんが折り紙を持ってきてくれて、家族みんなで折りながら「最近美味しいご飯食べた?」とか、そんな他愛のない会話をしたり、ゆり子さんが家族団らんのきっかけを作ってくださいました。食事シーンが多いのですが、撮影が終わったら、そのご飯をみんなでつまみながら話したりと、終始和やかに撮影しています。

――出征のシーンを演じてみていかがでしたか?

台本を読み進め、出征のシーンが近づくと、胸が苦しくて。優三が寅ちゃんと結ばれて、ようやく本当の家族を手にすることができて。寅ちゃんだけでなく、今まで一緒に暮らしていた猪爪家のみんなとも家族になれて、愛する娘もできます。法律の道には行けなかったけど、優三が心の底から欲しかったのは家族だったんじゃないかなという思いがあり、そういう中で、戦況は悪化していって。

本当に台本を読み進めていくのがすごく苦しかったです。 “なんで戦争に自分自身の幸せを奪われなくちゃいけないんだ”という怒りはあるけど、優三の主語は常に寅ちゃんで。戦争に行くのは仕方がないからせめて、寅ちゃんが辛くならないように、悲しむような空気を作らないように、と考えていたと思います。

自分の役が育っていく感覚は“朝ドラ”ならではだなと感じました

――「あまちゃん」以来の“朝ドラ”出演ですが、現場に入った印象はいかかですか?

前回、“朝ドラ”に出させてもらった時は、少しの出演だったので。今回、初めて、がっつりと参加できるなって印象です。当時、二十歳くらいだった僕は、右も左も分からずがむしゃらにやっていましたが、そこから約10年経ち、いろいろな現場に参加させてもらったので、今は心は熱く頭は冷静に、現場と向き合えていると思います。

――“朝ドラ”らしさは何か感じていますか?

1週間に撮影する分量が多いとのは、これぞ“朝ドラ”!と感じていて、大変なところかなと思います。なおかつ、一つの役を演じる期間が長いので、じっくりと役に向き合えますし、いろんなゲスト(人)が出たり入ったりするので、自分の役が育っていく感覚は“朝ドラ”ならではだなと感じました。

また、現場の雰囲気が非常に良いです。1年以上一緒に作品を作っていく仲間として、キャストもスタッフも、他の現場にはないような温かさがあって。1週間の撮影の最後のカットを撮り終えると、みんなで“お疲れ”って拍手をしたり、スタッフからも沙莉ちゃんを支えていくんだという懐の深さを感じます。沙莉ちゃんを中心に、このチームで朝を盛り上げていくんだという良い空気が流れているのを感じました。

自分だけで一つの役をやり遂げられる喜びはあります

――一つの役を長く演じることについていかがですか?

長い期間、時代の変化を感じながら一人の役を演じるのは、“朝ドラ”ならではだと思いますし、貴重な経験だと思っています。時系列順に撮影ができるわけではないので、“今、何歳だっけ?”みたいなことはありますが、自分の中にあるものだけじゃなく、衣装やヘアメイクで完璧に役の年齢を表現してくださるので、気負わずにできて助けてもらっています。他の作品だと、同じ役を年代別に他の俳優が演じることもあると思うので、今回は自分だけで一つの役をやり遂げられる喜びはあります。

――好きなシーンを教えてください。

出征前に、二人でいつも行っている河原に行くシーンはすごく印象深いです。そのシーンでは、寅ちゃんが「私のせいで辛い思いをさせてごめん」と謝って、お互いが思いを伝えるんです。寅ちゃんは、社会的な正しさに自分の判断基準を置いていて、そこに苦しめられていて。例えば、自分の弁護した相手は本当に弁護すべきだったのか?とか、社会的地位のために優三さんに結婚してもらったことが正しかったのか?とか。

そういうことに対して、寅ちゃんは自分を厳しく責めたてるんです。でも、優三は、“社会的な正しさじゃなくて、寅ちゃんの心の正しさを大事にしてほしい”と、“誰かのためにいっぱい頑張る人だからこそ、自分の人生も大事にしてほしい”と思いを伝えます。優三の優しさが伝わるシーンになればいいなと心を込めて演じました。

今は恵まれた環境でお芝居をさせてもらっていると思う

――「虎に翼」がキャリアの大きな一つになると思いますがいかかですか?

脚本がとても面白いので、僕が優三を演じて足を引っ張りたくないなという思いもありつつ、この作品に参加できて、優三という役に出会えて本当によかったなと思いますし、見ている人の心に届くようなお芝居ができたらいいなと思います。“朝ドラ”は、見ている人の数も多くて、作品を選ばず“朝ドラ”が好き!という人もいると思うので、そういう人にも楽しんでもらいたいです。

――役者人生において、30代の展望はいかかですか?

30代の展望としては、人生は何が起きるか分からないので、予測はできないですが…。今は恵まれた環境でお芝居をさせてもらっていると思うので、良い40代を迎えるために、30代にやれる限りのことをしっかりやり、成熟していけたら良いなと思います。

――役者への情熱は、歳と共に変化はありますか?

ありますね!もっともっと良い芝居をしたいという気持ちは高まるいっぽうで。そのために何が必要なのか、今の自分には何が足りていないのかなとか、日々ぼんやり考えたりします。でも、これをすれば芝居がうまくなるとかはないので、やっていくしかないなと。いい俳優になりたいですね。

自分の好きな人に、“大丈夫だよ!”って言ってもらえたことは大きかった

――優三は高等試験になかなか合格できない役柄ですが、これまでに仲野さんがキャリアの中で体験した悲しいことや挫折を感じた経験を教えてください。

10代の頃からこの仕事をしているので、数えきれないくらいオーディションを受け、何度も落ちました。受かっていた時期もあったんですが、もらえる役が小さかったり、せりふがなかったり、チャンスをもらえたのにつかめない時間が長かったなと思います。

でも、情熱や志はあったので、しがみつくようにいろいろな現場で、自分の可能性を試していました。そんな中で一番の心の支えになったのは、尊敬する脚本家さんや監督さんから「太賀面白いよ!」って、言ってもらえたこと。みんなの注目を集めることは難しいですが、自分の好きな人に、“大丈夫だよ!”って、言ってもらえたことは大きかったです。

――悩んでいた時は誰かに相談していたりしていましたか?

その時期は言葉にしなくても負のオーラが出ていて、僕が何かを言わずとも、こいつ悩んでいるんだなと、一目瞭然だったと思うので、おのずとそういう話になっていってました。

一生懸命頑張っている寅ちゃんの姿を見届けてください

――「虎に翼」の見どころとメッセージをお願いします。

この時代は女性が社会に出て活躍することがこんなにも難しい時代だったんだと知り、また、法律としても、そういう時代だったことに驚きました。そんな女性たちの言葉に出来ないため息のような言葉が脚本に落とし込まれているので、痛快さもあります。

法の世界を目指す物語というと、硬く聞こえてしまいますが、寅ちゃんはもちろん、猪爪家の人など登場人物のキャラクターが個性豊かで、ユーモアにあふれた物語でもあり、いろんな思いを背負った寅ちゃんの生き様が、見ている人の胸に響くと思います。一生懸命頑張っている寅ちゃんの姿を見届けてください。

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