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子どもを1人で寝かすのは何歳からがいいのか…小児科医が示す「生後6カ月で別々に寝る」という選択肢

  • 2024.5.24
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子どもは何歳から一人で寝かせるのがいいのか。小児科医の森戸やすみさんは「睡眠時間と同様、これにも正解がない。ただ、日本を始めアジア諸国で習慣的にそうしているように添い寝がマストと考える必要はない」という――。

ベビーベッドで寝ている赤ちゃん
※写真はイメージです
生まれてすぐ別室に寝かせる欧米式

――子どもが小さい頃は特に寝かしつけが大変で、保護者は子どもが寝るまで数十分、下手したら1、2時間も添い寝で絵本を読んだり寝たフリをしたりすることになります。家事や仕事を残したまま子どもと一緒に寝落ちしてしまったという苦労は、多くの保護者が体験したことのある“あるある”だと思います。

そんな中で日本でも、保護者が子どもに添い寝する従来型寝かしつけだけでなく、「子どもを1人で寝かせる」という選択肢が徐々に認知されてきました。これが実践できれば育児の負担の一部をかなり減らせるなと思える一方、これまでの寝かしつけ方法とは180度違うので、導入には心理的に抵抗を覚える方も多いと思います。

子どもを1人で寝かせることは、医学的にどのように評価されているのでしょうか?

【森戸】「消去法」という方法がいいとされています。決まった時間に別室に寝かせ、泣いたら様子を見に行くが特に危険なことがなければ一定の時間あるいは朝まで何もしないという方法です。

ところが、日本のような、親が子どもと一緒に寝る文化の子どもは特に「親がいないと私は1人で眠れない」「眠らないでいると親の関心を引くことができる」というふうに誤学習してしまっているケースが多いと見られています。

薗部容子さんという女性が、日本で1人目を産んで、イギリスで産んでフランスで産んでと、3人のお子さんがいて、ヨーロッパと日本で育児のあり方があまりにも違うのでびっくりしたというふうに著作の中で書いてらっしゃいました。ヨーロッパでは生まれてすぐの段階で別の部屋で寝かせて、泣いたから様子を見に行くというスタイルです。日本人の感覚からするとそれで大丈夫なのか心配になるんですけど、実際にヨーロッパの子たちは問題なく大きくなっています。大人になってとんでもないことになっているわけではない。

アジアは添い寝文化

【森戸】最近は外来に色々な国のお母さんたちがいらっしゃるから聞くんですけど、だいたいアジアの方だと一緒に寝る添い寝文化なんです。日本だと部屋数も少ないし。

だから子どもが「親が隣にいてくれないとダメ」と思い込んでいるわけですが、「そうじゃない文化もある」ということを知っていると、消去法がやりやすくなると思います。「あなたは寝る時間。お母さんたちはこれからおうちのことをやります」といったことを、早いうちに教えていくわけです。

始めるなら生後6カ月くらいまでに

【森戸】消去法を始めるなら6カ月くらいまでがいいと言われています。子どもの睡眠について研究している先生は、「生後数カ月のうちに『子どもは子ども。大人は大人』とすると、スムーズに一人で寝られるようになる」と言っています。でも2歳、3歳となって、喋れるようになってからそう言い聞かせてもなかなか難しいでしょう。「今までそうしてきたのになぜ急に」となってしまうから。

薗部容子さんは「明るい表情で『じゃあね、おやすみ』と言ってドアを閉める」と。「ごめんね。早く寝てね。お母さんまだやることあるから」と申し訳なさそうにすると、子どもが「私かわいそう」と思ってしまうといけないと書いてらっしゃいましたね。

――親の心持ちひとつ、見せ方ひとつで子どもに抱かせる印象が完全に変わりますね。あくまで一人寝をポジティブなものとして扱ってみせるわけですね。

世界で一番睡眠時間が短い日本人女性に知っておいてほしいこと

【森戸】日本人の女性って世界で一番寝ていないんですよ。日本人男性も短いんですけど。

“消去法”だと、子どもと親、両方の睡眠の質が上がるというメリットがあります。

ただ「“消去法”を実践すべし」ということではなく、こんな方法もあるということをお伝えしていければいいのかなと思います。今は一人っ子や二人きょうだいが多いから、「できるだけずっと一緒にいたい」という方はそうされるのがいいと思いますし、「でも別々に寝たほうが休まるし、子どもにも優しくできるかも」という人は、そうされるのがいいのかな、と。

「添い寝しなきゃいけない」や「寝かしつけないといけない」と思っている人には、「海外は全然そうじゃないから、そこを義務に感じすぎないでいいんだよ」というのは知ってほしいと思います。

寝返りを打てないうちは窒息の危険があって危ないので、枕、重いかけ布団、顔が埋まるような柔らかい敷布団、クッションやぬいぐるみは使わないほうがいい。そういう知識は持っておいてもらって、安全さえ確保できれば、1人で寝かせておいてもいいんです。

目覚まし時計と、カーテンを開ける女性
※写真はイメージです
すでにネントレの年齢を過ぎている場合は…

――ネントレ系ですぐにでも導入できるノウハウなどはありますか?

【森戸】寝る前にやることの順序や儀式を決めておくのがいいと言われています。心の準備ができるからです。

例えば保育園で講演をしたときに聞いたのですが「うちの子は決めた時間にちゃんと寝ない子だったけど、『時計の長い針があそこまで行ったら寝るんだよ』と前もって教えたら、ちゃんと寝られるようになった」という話をしてくれた人がいたんですね。突然「寝るよ」と言われると、まだ遊んでいたい場合にはものすごく抵抗されるけど、子どもに順番や流れを説明しておいて、自発的に行動の計画を立てさせることで改善したということで、なるほどと思いました。

――うちはもう5歳になってしまったし、もう間に合わない……という場合はどうしましょう。

【森戸】であれば、「5歳になったから、一人だけで寝られるね。お姉さんだよ?」と言うとか。

――おお、伝え方次第ですね。

目覚まし時計を持つ子どもの手
※写真はイメージです
私的な「認定講師」に要注意

――子どもの睡眠に関して、今はSNSで情報収集をする方も増えていますが、情報がたくさんありすぎてどれを信じていいかわからないという状態にもなっています。信頼できる情報を探す方法はありますか?

【森戸】誰が書いているかは大事かと思います。子育ての界隈は私的な認定講師がいっぱいいるんですよね。学術的な裏付けがなくても専門家を自称する人たちはいるので、本当に専門家なのか、何の専門家なのかを確かめてほしいと思います。

小児神経学会や小児内分泌学会などの学会が、一般の人に向けてメッセージを出していることがあるんですよ。たとえば小児内分泌学会だったら、「背が伸びるサプリメントというのはないですよ。そううたわれているものでも、効果は確かめられていません」とか、小児神経学会だったら「テレビ、ビデオなどの視聴は子どもの「脳とこころ」および体の成長に影響を与える可能性があるが、その時期あるいは視聴時間と方法、番組の内容などについてはさらなる科学的検討が必要である」、コロナ禍に日本小児科学会が出した、新型コロナワクチンの推奨などですね。

そういう学会だとか、国が認める資格を持った人かどうかは見てほしいですね。

あやしい情報ほど届きやすい状況になっている

――今おっしゃった学会などは、根拠を示しながら客観的な立場で説明してくれるので信頼できそうですね。多くの人に学会がそういったリリースを出していることは知ってほしいとは思いますが。言ってしまえば、胡散臭い人たちってアピールが上手なので……。

【森戸】そうなんですよ。不安につけこむから、しっかり届いてしまう。

――SNS全盛の最近では、垢抜けた伝え方をしないとなかなか、一般の人にリーチしにくいというのはあるかもしれません。

【森戸】学会のサイトに行っても、文章が長く書いてあるだけだったりします。国立成育医療研究センターがYouTubeをやってるんですけど、再生回数がまだ少ないようです。「乳幼児突然死症候群はこのように防ぎますよ」などいいことを言っているんですけど、あんまり知られないだろうなあと思って。厚生労働省も赤ちゃんが泣き止まないときに、どうしたらいいかという動画を出しています

新潟大学の小児科学教室もInstragramとXを一生懸命やっていて、いい情報を載せているんですよ。

――そういったものはさらに世の中に広まってほしいですね。

【森戸】ただ、「なんとか認定講師」と自称している人がエビデンスのないことを書いていて、お互いコピペしあっているから、たくさんの人が書いているように見える。たしかな情報のように見えてしまうのは困ったことです。イラストもキャッチーでかわいく目を引くようになっています。

――正しい情報を発信する側にもがんばってもらいつつ、それを受け取る側も精査する目を養っていきたいところですね。今回も有益なお話をありがとうございました。

長時間の寝たフリから解放されるのはバラ色

「子どもを一人で寝かせる」とは、5歳の娘を妻と交代で寝かしつけてきた筆者自身にとって、かなり酷に感じられるのだが、睡眠の質の向上といったメリットが指摘されているのであれば検討するにやぶさかではなくなる。それに、長時間の寝たフリから開放されるのはかなりバラ色に思える。

森戸先生が言われていた通り、あくまで「子どもに一人寝をさせる」という選択肢があるだけのことである。これは当然強制でもなければ、推奨というのにもちょっと憚られる。ただし、日本の従来型の寝かしつけがある一方で、欧米風の「小さい頃から一人寝」というやり方があって、それが否定されるようなものではないと知られていけば、保護者の選択肢の幅が広がってより豊かな世の中に一歩近づくはずである。

森戸 やすみ(もりと・やすみ)
小児科専門医
1971年、東京生まれ。一般小児科、NICU(新生児特定集中治療室)などを経て、現在は東京都内で開業。医療者と非医療者の架け橋となる記事や本を書いていきたいと思っている。『新装版 小児科医ママの「育児の不安」解決BOOK』『小児科医ママとパパのやさしい予防接種BOOK』など著書多数。

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