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手元だけで車を運転! トヨタ「NEO Steer(ネオステア)」試乗体験会を「世界パラ陸上in神戸」会場で開催

  • 2024.5.23
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トヨタ自動車は、「神戸2024 世界パラ陸上選手権大会」の会場で、開発中の新技術「NEO Steer(ネオステア)」を実装した車の試乗体験会を、パラアスリート、一般車椅子ユーザー、報道関係向けに行いました。

F1や飛行機などのハンドルを思わせる「NEO Steer(ネオステア)」
F1や飛行機などのハンドルを思わせる「NEO Steer(ネオステア)」

パラアスリートの一言から開発が始まった新時代の運転デバイス

この新技術「NEO Steer(ネオステア)」は、アクセル、ブレーキといった足元の操作系をハンドルに集約した新時代の運転デバイスです。

アクセル、ブレーキなどのペダルを無くす事によって、広い足元空間がドライビングポジションの自由度や、スムーズな乗降性を実現します。また、下肢が不自由な方も、両手で安心かつ直感的な運転が可能になります。開発には、トヨタ自動車所属のパラアルペンスキーヤー・森井大輝選手も参加しています。

昨年行われたJapan Mobility Show 2023では、トヨタランドクルーザー250に搭載された車両が展示されましたが、実装車での試乗は、今回が初めてです。

「NEO Steer(ネオステア)」のパーツ構成がわかるパネル
「NEO Steer(ネオステア)」のパーツ構成がわかるパネル

この「NEO Steer(ネオステア)」見た目は四角い長方形をしていて、F1など、フォーミュラシーンで使われるハンドルに似ていますが、ベースになったのは、バイクのハンドル。

試乗車は左ハンドル車が使われていますが、特に意味はなく、右ハンドル車でも装着可能
試乗車は左ハンドル車が使われていますが、特に意味はなく、右ハンドル車でも装着可能

機能の構成は、左グリップには、バイクや自転車のような握るタイプのブレーキレバー。右グリップには、親指が来る位置にアクセル。ちょっと離れた奥にもブレーキレバーが付いています。

バイクや自転車のブレーキレバーと同じようなブレーキレバー
バイクや自転車のブレーキレバーと同じようなブレーキレバー

その他、左グリップ上部に、ウインカー、ワイパー、ライトのスイッチ。中心には、レーンデパーチャーなどの走行系スイッチ、エンタメ系スイッチなどが配置されています。

「NEO Steer(ネオステア)」開発チームの鳥生誠二さんに話を伺いました。

― 変わった形のハンドルですが、どんな事がきっかけでこの形になったのですか

鳥生さん『開発のきっかけを頂いた森井選手が、バイクに乗っていたことから、バイクのハンドルを元にしました。ただ、そのままのサイズで車につけるのは難しいので、グリップを縦にしようと。そうすると、円形のハンドルと同じようなグリップ位置になりました。

ブレーキもバイクと同じレバーを引くタイプに。ただアクセルは、バイクのように握って操作すると、ハンドルを切ったときに誤操作を起こす可能性があると言うことで、指で押す形になりました。

そのほかステアリングの下の所は、疲れたときに手が置けるように出っ張りを作ってみたり、乗り込むときに、アシストグリップが必要になるので、ハンドルの下のところを繋げて、アシストグリップにしようとか、そういうことで、この形になりました。

難しかったのは、障害をお持ちの方の感覚を感じる事でした。開発の中心となっている私たちは健常者ですので、私たちのスタンダードは、必要としている人達のスタンダードではない。と感じる事が、最初に難しかった事ですね。

技術的な所は、こうしたい言われたものを、具現化するのが私たちの仕事なので、案が出れば試してみる。トライ&エラーでやっていくだけ、これが私たちの仕事ですので』

運転席の足元には、アクセル・ブレーキといったペダルがありません
運転席の足元には、アクセル・ブレーキといったペダルがありません

見た目とは裏腹に、すぐに楽しさを感じる手元だけの運転

「NEO Steer(ネオステア)」搭載車に乗り込むと、足先にあるはずのアクセル、ブレーキがないため、少々の違和感を感じますが、助手席に乗った感覚に似た、足元の広さを感じます。

運転も、右手親指で「押す」アクセルは、ゲームのレバーにも似た感覚で、慣れてくると違和感は消えてしまいます。ちなみにこのアクセルレバー、グリップの裏側まで延びているので、人差し指など、他の指で握れるようになっています。そのおかげで、疲労などによる握力低下などの不安要素が少なくなっています。

ブレーキも、握る力が必要かと思いましたが、電気信号による制御によって、軽い力でも強いブレーキがかかるようになっています。また将来的には、握力の低い方にも個別に対応できるようなシステムにして、購入された方に対応できるようにしたいと考えているそうです。

また「NEO Steer(ネオステア)」では、これまで小回りをする時、ハンドルを90度以上曲げないと回りづらかった最小回転半径も、ハンドルを90度回せば回れる新技術を投入し、ドライバーが運転をしやすいようにしています。

市販化までの壁

「神戸2024 世界パラ陸上選手権大会」の会場にあるトヨタブースでの車両展示も好評で、海外パラアスリートとその関係者、そして日本の観戦者が次から次へと、「NEO Steer(ネオステア)」を搭載した展示用のトヨタランドクルーザー250を見ていきますし、試乗会に参加したパラアスリートや車いす利用者からの評判も上々で、多くの驚きと笑顔を見られたそうです。ちなみに、あるパラアスリートからは、「いつ販売するの?ここに担当者はいないの?今すぐ買うよ」とカードを差し出されたそうです。

そんな開発中の新技術「NEO Steer(ネオステア)」。早期の市販化が待ち望まれていますが、まだまだ壁は高いそうです。

市販化についても、開発チームの高山稔さんに伺いました。

― 市販はいつ頃になりそうですか

高山さん『この「NEO Steer(ネオステア)」が実用化するためには、法改正とか、安全を担保するための評価試験など、いろいろなものが残されています。

ハードルが高い所は、現在の法律は、<アクセルとブレーキは足踏み>という事が前提になっている事です。「NEO Steer(ネオステア)」は、<足踏みじゃないアクセルとブレーキ>なので、現状だと、その法律に合致しいていません。法改正が必要になってきます。

そして私たちは世界中の国々に対応しなければいけません。各国の法律に対応するように、しっかり調べて、抜けがないようにしていかなければいけません。

皆さんからの期待は感じています。この「NEO Steer(ネオステア)」がお披露目されたのは、去年のJapan Mobility Show 2023で、私も説明員として会場にいて、沢山の方とお話をしました。中には、下肢障害の方が家族にいらっしゃる方がいて、その方は運転が大好きと言うことで、運転補助装置をつけた車に現在乗っているそうなのですが、そうすると、他の家族と車を共有するのが難しいと。車を2台保有しなければいけないと。

でも、この「NEO Steer(ネオステア)」ならば、障害のあるなし問わず、同じ操作で車が運転できるので所有する車は1台で済む。だから実用化に向けて頑張ってください。と励まされました』

「NEO Steer(ネオステア)」をアピールするパラアルペンスキーヤー・森井大輝選手
「NEO Steer(ネオステア)」をアピールするパラアルペンスキーヤー・森井大輝選手

世界的パラアスリートもPRに協力

「神戸世界パラ陸上」の会場(神戸総合運動公園ユニバ記念競技場)内にあるトヨタブースでは、この「NEO Steer(ネオステア)」を体感できるシミュレーターが用意され、手だけで車を操る体験が誰でもできる他、「NEO Steer(ネオステア)」搭載トヨタランドクルーザーも展示されています。

そして開発チームの一員であるパラアルペンスキーヤーの森井大輝選手も来場し、見学するパラアスリートや大会関係者、会場に訪れた観客、下肢障害をもつ方や家族の方に声をかけ、この新技術「NEO Steer(ネオステア)」の魅力についてお話をしていました。

そんな森井選手にも、お話を伺いました。

― 森井選手のお話が開発のきっかけと聞きました。

森井選手『駐車場で、乗っている車から降りる時に、豊田章男会長(トヨタ自動車代表取締役会長)にお会いして、挨拶をしたら会長から「君、このランドクルーザーに乗っているのか? 車の中はどうなっているんだ?」と言われ、車の説明をしました。

(※森井選手の車は、両手で運転ができるように運転補助装置が付いています)

アクセルとブレーキは、みなさんが乗っている車のシフトチェンジレバーのように、車体の真ん中に、引くとアクセル、押すとブレーキというレバー・コントロールグリップが付けられています。そしてハンドルには、旋回ノブという器具が付いています。これで、右手でハンドル操作、左手でアクセルとブレーキを操作しています。

その時、困り事ではないのですが「片手でハンドルを操作して、片手でアクセルとブレーキを操作するので、轍などでハンドルをとられたとき、思った以上に車が揺れて、怖い思いをする事があるのです」とお話をしたら、「そうなのか。これは、バイ・ワイアだな。よし!やろう」と言われて、その時はお別れをしたのですが、その日のうちに上司から連絡があって、「会長と何かお話した? プロジェクトが立ち上がったから頑張ってね」と言われました。

僕自身が驚いていたら、1か月後には、ある程度デザインなどまとまったものが作られていて、さらに1か月後には、デザインだった「NEO Steer(ネオステア)」が実物になって出てきたのです。

自動車レースを体験できるテレビゲームのコントローラーとして「NEO Steer(ネオステア)」が作られ、それを使って運転を体験したのですが、とても楽しく運転ができました。

そしてさらに1年後には、「NEO Steer(ネオステア)」の原型となるものが組み込まれた実働車が出来上がり、実際にテストコースで走りました。その時はもう感動しかなかったです。

そのあと、私は競技シーズン(パラアルペンスキー)が始まってしまったので、実際に乗ることはなかったのですが、この神戸パラ陸上が始まる前日、皆さんと同じコースで試乗する事ができました。ブレーキとアクセルのフィーリングとか格段に進化していて、さらに感動しているところです』

― どんな所に、良さを感じますか

森井選手『運転姿勢が安定するというか。今までは、片手でハンドル、片手でアクセル・ブレーキだったので、どうしても運転姿勢のバランスが悪いのです。なので、ワインディングロードを軽快に走ろうとすると、どうしても体が左右に振られて、ブレてしまい、怖いと感じる時がありました。

しかし「NEO Steer(ネオステア)」では、両手でステアリングを握る事ができるので、体をシートに押し付け、左右に振られる事もなく、指先でアクセルとブレーキをコントロールできます。

さらに、ハンドルを90度回すだけで、最小回転半径で曲がる事ができるようになっています。これまでは、補助器具のノブが付いたハンドルをグルグル回さないと曲がれませんでしたし、体が安定しない中で、急ハンドルをきらなければいけなかった。

しかし「NEO Steer(ネオステア)」ならば、障害を持った人でも、車の性能を最大限に出す事ができるし、しかも安全にドライビングが出来ることになるので、私は<最高だな>と思っています。

そしてこの「NEO Steer(ネオステア)」が搭載された車ならば、僕も運転ができるし、奥さんや家族でも運転ができる、同じ車を乗る事が出来るのです。これまで、車で買い物や旅行に行く時、運転補助器具が付いた車は僕だけ、ついてない車は家族だけしか運転ができなかったので、疲れた時に代わってあげられないという気持ちがあったのですが、この「NEO Steer(ネオステア)」があれば、運転をかわってあげる事が出来る、そういった所も、いいなと思っています。

自動運転技術もいいですが、この「NEO Steer(ネオステア)」に、自動運転技術が補助的についてくれば、楽しいドライブがいつでも、誰とでもできると思います』

と話してくれました。

運転の楽しさを、誰でも、誰とでも共有できる。そんな新技術「NEO Steer(ネオステア)」の登場が待たれます。

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