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固定資産税の支払いはどのキャッシュレス決済がお得?お金のプロに“最新事情”を聞いてみた

  • 2024.7.29

 

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お得に地方税を支払うなら、キャッシュレス決済が正解!

毎年、家計の大きな負担となる「自動車税」や「固定資産税」の支払い。年間の合計支払額は数万円〜数十万円以上かかることもあります。

ポイント還元のあるキャッシュレス決済で、少しでもお得に支払いたいと思う方も多いのではないでしょうか。

キャッシュレス決済の納付方法には大きく「クレジットカード」「スマホ決済」「電子マネー」の3つがありますが、本記事では、どのキャッシュレス決済で支払うのが一番お得なのか、それぞれ詳しく説明します。

なお、本記事では純粋にお得さを比較するため、クレジットカードは年会費無料のもののみを取り上げます。

 

クレカ払いは手数料を超えるポイント還元があればお得に

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まずはクレジットカードです。これまで、各自治体により対応がまちまちだったクレジットカードやスマホ決済による納付ですが、2023年4月から、原則としてすべての自治体で固定資産税や自動車税、軽自動車税をクレジットカードやスマホ決済で納付できるようになりました。「地方税統一QRコード(eL-QR)」を活用した地方税の納付が全国的に開始されたためです。

クレジットカードでの納税は、「地方税お支払サイト」で行います。カメラで納付書に載せられているQRコードを読み込んだり、「eL番号(納付書番号)」を入力したりして手続きします。

ただし、クレジットカード払いのデメリットはシステム利用のための手数料がかかること。1万円以内の納税で37円(税抜)、以降1万円を超えるごとに75円(同)ずつかかります。

仮に還元率1.0%のカードで3万円を払った場合、手数料を差し引いた実質の還元率は約0.3%(実質還元額95円)。10万円なら還元率は約0.2%です(同217円)。

そもそも、年会費無料のクレジットカードの場合、税金の支払いをポイント還元の対象外にしていたり、税金の支払いでは還元率を下げたりしているものが多くを占めます。例えば、楽天カード(年会費無料、基本還元率1.0%)も、税金の支払いは還元率が0.2%へと下がります。クレジットカード払いは、決済手数料を超える金額分のポイント還元がある場合のみお得となる点に要注意です。

 

手数料無料のスマホ決済は「ファミペイ」の一択

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次に、スマホ決済です。スマホ決済のメリットは、クレジットカードとは異なり手数料がかからないこと。ポイント還元のあるスマホ決済を選べば、そのままお得に繋がります。

先述の通り、スマホ決済での地方税納付は、アプリでQRコードを読み取ることで手続きが可能です。2024年7月現在、対応するスマホ決済は20以上。ただし、地方税の支払いに対して直接ポイント還元があるものはないため、前段階である残高へのチャージで還元が得られるものを選びましょう。 

その点を踏まえると、スマホ決済でお得なのは「ファミペイ」の一択となります。

ファミペイにチャージができるクレジットカードは、「ファミマTカードを含むJCBブランド」のカードです。チャージ時の還元率は、ファミマTカード(年会費無料)なら0.5%、それ以外のJCBブランドのカードならそのカードの還元率となります。

ただ、ファミマTカード以外のJCBブランドのカードは、ファミペイへのチャージはポイント還元対象外のものもあります。ポイント還元の対象となるJCBブランドカードのうち、年会費無料のものは「PayPayカード」「イオンカード」などがあり、いずれもチャージ時の還元率は0.5%です。

 

また、クレジットカードからのチャージのほか、「ファミペイ翌月払い」もお得です。ファミペイ翌月払いとは、事前のチャージ不要で、1ヶ月間に利用したファミペイの代金を翌月にまとめて支払うことのできるサービス。銀行口座からの引き落としを設定すれば、手数料無料で利用できます。ファミペイ翌月払いは利用額の0.5%分のファミペイボーナスが貯まり、地方税支払いも還元の対象です。ただし、利用するためには事前の審査があります。

なお、ファミペイでの地方税支払いは、チャージ残高からの支払いでも、ファミペイ翌月払いでも、税金などの納付書支払い1件につき10円相当のファミペイボーナスも追加でもらえます。

 

「楽天ペイ」はポイント還元の対象外に

これまで、地方税の納付で0.5%還元があった楽天ペイですが、2024年6月4日から、ポイント還元の対象外となりました。楽天ペイのチャージ残高にあたる「楽天キャッシュ」のルール変更が行われたためです。

楽天カードから楽天キャッシュにチャージする際、これまではチャージ時に0.5%のポイント還元がありましたが、これが対象外に。一方で、楽天キャッシュの利用時に新たに0.5%の還元が加わりました。地方税を含む税金の支払いは、楽天キャッシュ利用時のポイント還元対象外。チャージ時のポイント還元がなくなり、残念ながら地方税の支払いでは還元率がゼロとなりました。

 

電子マネーなら「nanaco」と「WAON」

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最後に電子マネーです。電子マネーも、スマホ決済と同様、支払い時にポイント還元のあるものはないので、チャージ時の還元があるものを選びましょう。電子マネーで地方税をお得に支払えるのは「nanaco」と「WAON」の2つです。

まず「nanaco」は、セブン&アイホールディングスが展開する電子マネー。固定資産税の納付書をセブン-イレブンに持っていけば、nanacoのチャージ残高で支払うことができます。

nanacoによる税金の支払いで得をするためには、年会費無料、基本還元率0.5%のクレジットカード「セブンカード・プラス」が必須。現在、nanacoにチャージができる唯一のクレジットカードであり、チャージでも0.5%分のポイントが貯まります。そのため、セブンカード・プラスでチャージしたnanacoであれば、還元率0.5%で固定資産税を支払うことができます。

 

次に紹介する「WAON」は、イオングループが展開する電子マネー。イオングループのコンビニであるミニストップでのみ地方税の支払いが可能です。

WAONで地方税をお得に支払うためには、イオン銀行のキャッシュカード・クレジットカード・電子マネーWAONが1枚になった「イオンカードセレクト(年会費無料、基本還元率0.5%)」への入会が必須。そのうえで、イオン銀行の口座からWAONへのオートチャージを設定すると、チャージ金額の0.5%分のポイントが貯まります。これは、クレジットカードからではなく、イオン銀行口座からのチャージとなります。そのため、イオンカードセレクトでチャージしたWAONなら、還元率0.5%で固定資産税を支払うことができます。

 

チャージ上限に注意

キャッシュレス決済は現金払いよりもお得になるケースがありますが、いずれもチャージに上限額があることに注意しましょう。

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編集部作成

上記のように、チャージに上限があるため、複数回に分けてチャージしたり、上限額いっぱいをチャージしていても税金を支払いきれなかったりする可能性があります。払いきれない場合には、現金支払いを併用するなどの対応が必要となります。

還元率は0.5%あれば十分

ポイント還元が受けられるキャッシュレス決済によるの納税。還元率は0.5%あれば十分と思っておきましょう。

おすすめは、「ファミペイ」「nanaco」「WAON」での支払いです。

 

年会費や手数料無料でお得に固定資産税を支払える方法を探している方は、ぜひ参考にしてください。

 


監修:酒井富士子

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経済ジャーナリスト/金融メディア専門の編集プロダクション・株式会社回遊舎 代表取締役。ファイナンシャル・プランナー 上智大学卒業。日経ホーム出版社(現日経BP社)にて「日経ウーマン」「日経マネー」副編集長を歴任。リクルートの「赤すぐ」副編集長を経て、2003年から現職。「お金のことを誰よりもわかりやすく発信」をモットーに、暮らしに役立つ最新情報を解説する。近著に『おひとりさまの終活準備BOOK』(三笠書房)、『お金の増やし方ぜんぶわかる!新NISA超活用術』(Gakken)など多数